九州大学 2005年 文系 第3問 解説

方針・初手
ガウス記号 $[x]$ を含む不等式と、対数関数・三角関数が組み合わさった問題である。 まずは対数不等式やガウス記号の性質を用いて、中身の関数($\cos\theta$ や $\log_2 \sin\theta$)に関する不等式に帰着させる。
ガウス記号について、整数 $n$ に対して以下の性質が成り立つことを利用する。
- $[X] = n \iff n \leqq X < n+1$
- $[X] \geqq n \iff X \geqq n$
また、対数の真数条件(真数は正)や、定義域 $0^\circ < \theta < 180^\circ$ における $\cos\theta, \sin\theta$ のとりうる値の範囲にも注意して処理を進める。
解法1
(1)
不等式 $\log_2 \left[\frac{5}{2} + \cos\theta\right] \leqq 1$ を解く。 対数の真数条件より、$\left[\frac{5}{2} + \cos\theta\right] > 0$ である。 また、右辺は $1 = \log_2 2$ であり、底 $2$ は $1$ より大きいので、真数の大小関係は以下のようになる。
$$ 0 < \left[\frac{5}{2} + \cos\theta\right] \leqq 2 $$
ガウス記号 $\left[\frac{5}{2} + \cos\theta\right]$ がとる値は整数であるから、その値は $1$ または $2$ に限られる。 すなわち、
$$ \left[\frac{5}{2} + \cos\theta\right] = 1, 2 $$
ガウス記号の定義より、これは以下と同値である。
$$ 1 \leqq \frac{5}{2} + \cos\theta < 3 $$
各辺から $\frac{5}{2}$ を引いて整理する。
$$ -\frac{3}{2} \leqq \cos\theta < \frac{1}{2} $$
ここで、問題の条件 $0^\circ < \theta < 180^\circ$ より、$-1 < \cos\theta < 1$ であるから、満たすべき $\cos\theta$ の範囲は次のようになる。
$$ -1 < \cos\theta < \frac{1}{2} $$
$0^\circ < \theta < 180^\circ$ の範囲でこれを解くと、求める $\theta$ の範囲は以下のようになる。
$$ 60^\circ < \theta < 180^\circ $$
(2)
不等式 $\left[\frac{3}{2} + \log_2 \sin\theta\right] \geqq 1$ を解く。 $n$ が整数のとき、$[X] \geqq n \iff X \geqq n$ が成り立つので、与えられた不等式は以下の不等式と同値である。
$$ \frac{3}{2} + \log_2 \sin\theta \geqq 1 $$
整理すると、以下のようになる。
$$ \log_2 \sin\theta \geqq -\frac{1}{2} $$
$-\frac{1}{2} = \log_2 2^{-\frac{1}{2}} = \log_2 \frac{1}{\sqrt{2}}$ であり、底 $2$ は $1$ より大きいので、真数の大小関係より以下を得る。
$$ \sin\theta \geqq \frac{1}{\sqrt{2}} $$
なお、$0^\circ < \theta < 180^\circ$ において $\sin\theta > 0$ は常に成り立つため、対数の真数条件は満たされている。 $0^\circ < \theta < 180^\circ$ の範囲でこの不等式を解くと、求める $\theta$ の範囲は以下のようになる。
$$ 45^\circ \leqq \theta \leqq 135^\circ $$
(3)
与えられた連立不等式は、以下の2つの不等式を同時に満たす $\theta$ の範囲を求めることと同じである。
(A) $\log_2 \left[\frac{5}{2} + \cos\theta\right] \leqq 0$
(B) $0 \leqq \left[\frac{3}{2} + \log_2 \sin\theta\right]$
まず (A) について考える。 真数条件および底 $2 > 1$ であることから、以下の不等式を得る。
$$ 0 < \left[\frac{5}{2} + \cos\theta\right] \leqq 1 $$
ガウス記号の値は整数なので、$\left[\frac{5}{2} + \cos\theta\right] = 1$ となる。 定義より、以下が成り立つ。
$$ 1 \leqq \frac{5}{2} + \cos\theta < 2 $$
各辺から $\frac{5}{2}$ を引き、$0^\circ < \theta < 180^\circ$ より $-1 < \cos\theta < 1$ であることを考慮すると、以下のようになる。
$$ -1 < \cos\theta < -\frac{1}{2} $$
これを解いて、条件(A) を満たす範囲は以下の通りとなる。
$$ 120^\circ < \theta < 180^\circ $$
次に (B) について考える。 $[X] \geqq 0 \iff X \geqq 0$ であるから、以下の不等式となる。
$$ \frac{3}{2} + \log_2 \sin\theta \geqq 0 $$
整理すると、$\log_2 \sin\theta \geqq -\frac{3}{2}$ となる。 $-\frac{3}{2} = \log_2 2^{-\frac{3}{2}} = \log_2 \frac{1}{2\sqrt{2}}$ であり、底 $2 > 1$ より以下を得る。
$$ \sin\theta \geqq \frac{1}{2\sqrt{2}} $$
問題文で与えられた $\sin\alpha = \frac{1}{2\sqrt{2}}$ ($0^\circ < \alpha < 90^\circ$)を用いると、不等式は $\sin\theta \geqq \sin\alpha$ となる。 $0^\circ < \theta < 180^\circ$ においてこれを解くと、条件(B) を満たす範囲は以下の通りとなる。
$$ \alpha \leqq \theta \leqq 180^\circ - \alpha $$
最後に、(A) と (B) の共通範囲を求めるために、$\alpha$ の大きさを評価する。 $\sin\alpha = \frac{1}{2\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}}{4}$ であり、$\sin 30^\circ = \frac{1}{2} = \frac{2}{4}$ であるから、$\sin\alpha < \sin 30^\circ$ である。 $0^\circ < x < 90^\circ$ において $\sin x$ は単調増加であるから、$0^\circ < \alpha < 30^\circ$ が成り立つ。 よって、$180^\circ - \alpha > 150^\circ$ となり、$180^\circ - \alpha$ は $120^\circ$ よりも確実に大きい。
したがって、$120^\circ < \theta < 180^\circ$ と $\alpha \leqq \theta \leqq 180^\circ - \alpha$ の共通範囲をとると、以下のようになる。
$$ 120^\circ < \theta \leqq 180^\circ - \alpha $$
解説
ガウス記号の扱いの基本事項を問う問題である。 直接的な代入で考えるよりも、$[X] = n \iff n \leqq X < n+1$ という定義式や、$[X] \geqq n \iff X \geqq n$ という性質を利用して、早めにガウス記号を外してしまうのがセオリーである。 (3)の最後では、求めた2つの角度の範囲の共通部分をとる際に、与えられた角 $\alpha$ がどの程度の大きさなのかを評価する必要がある。有名角である $30^\circ$ の正弦と比較することで、大小関係を明確に示すことができる。
答え
(1) $$ 60^\circ < \theta < 180^\circ $$
(2) $$ 45^\circ \leqq \theta \leqq 135^\circ $$
(3) $$ 120^\circ < \theta \leqq 180^\circ - \alpha $$
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