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九州大学 2014年 文系 第3問 解説

数学A/図形の性質数学2/三角関数数学C/平面ベクトルテーマ/図形総合
九州大学 2014年 文系 第3問 解説

方針・初手

正弦定理や円周角の定理などの図形の基本的な性質を用いて、辺の長さや線分の長さを角と外接円の半径 $R$ で表す。 (2)では重心と外心の定義に従い、図形的な性質から正三角形であることを導くか、外心を始点とするベクトルを用いて証明する。 (3)では、$OG \parallel BC$ という条件から、「$O$ と $G$ の辺 $BC$ からの距離が等しい」ことを利用して長さを関係付ける。

解法1

(1)

$\triangle ABC$ の外接円の半径が $R$ であるから、正弦定理より $$ \frac{AB}{\sin C} = 2R $$ よって、$AB = 2R \sin C$ である。

$\triangle ABD$ は $\angle ADB = 90^\circ$ の直角三角形であるから $$ AD = AB \sin B $$ これに $AB = 2R \sin C$ を代入して $$ AD = 2R \sin B \sin C $$

次に、$O$ は $\triangle ABC$ の外心であるから、外接円の中心である。$E$ は $O$ から弦 $BC$ に下ろした垂線の足であるから、$E$ は辺 $BC$ の中点である。 円周角と中心角の定理より、弧 $BC$ に対する中心角は円周角の2倍であるから $$ \angle BOC = 2A $$ $\triangle OBC$ は $OB = OC = R$ の二等辺三角形であり、$OE \perp BC$ であるから、$OE$ は $\angle BOC$ を2等分する。 よって、$\angle BOE = A$ である。

直角三角形 $\triangle OBE$ において $$ OE = OB \cos(\angle BOE) = R \cos A $$ 以上より、$AD = 2R \sin B \sin C, OE = R \cos A$ が示された。

(2)

重心 $G$ と辺 $BC$ の中点 $E$ を結ぶ直線 $AE$ は、$\triangle ABC$ の中線である。 $G$ と $O$ が一致するとき、外心 $O$ は中線 $AE$ 上にある。 $O$ は外心であるから、$OE \perp BC$ である。 したがって、$AE \perp BC$ となる。

$\triangle ABE$ と $\triangle ACE$ において、$AE$ は共通の辺であり、$E$ は $BC$ の中点であるから $BE = CE$、さらに $\angle AEB = \angle AEC = 90^\circ$ である。 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいから $$ \triangle ABE \equiv \triangle ACE $$ よって、$AB = AC$ である。

同様に、辺 $CA$ の中点を $F$ とすると、中線 $BF$ 上に外心 $O$ があり、$OF \perp CA$ となることから $BF \perp CA$ となり、$BC = BA$ が導かれる。 以上より、$AB = BC = CA$ となり、$\triangle ABC$ は正三角形である。

(3)

$E$ は辺 $BC$ の中点であるから、中線 $AE$ 上に重心 $G$ がある。 重心の性質より、$G$ は中線 $AE$ を $2 : 1$ に内分する。 $G$ から辺 $BC$ に下ろした垂線の足を $H$ とすると、$AD \perp BC, GH \perp BC$ であるから、$AD \parallel GH$ である。 $\triangle ADE$ と $\triangle GHE$ において、$AD \parallel GH$ より相似であり、その相似比は $AE : GE = 3 : 1$ である。 したがって、$GH = \frac{1}{3}AD$ である。

一方、$OG \parallel BC$ であり、$OE \perp BC, GH \perp BC$ であるから、四角形 $OGHE$ は長方形となる。 よって、$OE = GH$ である。 ゆえに $$ OE = \frac{1}{3}AD $$ すなわち $$ AD = 3OE $$ が成り立つ。

(1) の結果より、$AD = 2R \sin B \sin C, OE = R \cos A$ を $AD = 3OE$ に代入すると $$ 2R \sin B \sin C = 3R \cos A $$ 両辺を $R$ ($R \neq 0$) で割ると $$ 2 \sin B \sin C = 3 \cos A $$ $\triangle ABC$ において $A + B + C = 180^\circ$ より $A = 180^\circ - (B + C)$ であるから $$ \cos A = \cos(180^\circ - (B + C)) = -\cos(B + C) $$ これを代入して加法定理を用いると $$ \begin{aligned} 2 \sin B \sin C &= -3 \cos(B + C) \\ 2 \sin B \sin C &= -3 (\cos B \cos C - \sin B \sin C) \\ 2 \sin B \sin C &= -3 \cos B \cos C + 3 \sin B \sin C \\ \sin B \sin C &= 3 \cos B \cos C \end{aligned} $$ $\triangle ABC$ は鋭角三角形であるから、$B < 90^\circ, C < 90^\circ$ より $\cos B > 0, \cos C > 0$ である。 両辺を $\cos B \cos C$ で割ると $$ \frac{\sin B}{\cos B} \frac{\sin C}{\cos C} = 3 $$ よって $$ \tan B \tan C = 3 $$ が示された。

解法2

(2) の別解(ベクトルを用いる方法)

外心 $O$ を始点とする各頂点の位置ベクトルを $\vec{a} = \overrightarrow{OA}, \vec{b} = \overrightarrow{OB}, \vec{c} = \overrightarrow{OC}$ とする。 $O$ は外心であるから $$ |\vec{a}| = |\vec{b}| = |\vec{c}| = R $$ である。

重心 $G$ の位置ベクトル $\overrightarrow{OG}$ は $$ \overrightarrow{OG} = \frac{1}{3}(\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}) $$ と表される。 $G$ と $O$ が一致するとき、$\overrightarrow{OG} = \vec{0}$ であるから $$ \vec{a} + \vec{b} + \vec{c} = \vec{0} $$ すなわち $$ \vec{a} + \vec{b} = -\vec{c} $$ 両辺の大きさを2乗すると $$ |\vec{a} + \vec{b}|^2 = |-\vec{c}|^2 $$ $$ |\vec{a}|^2 + 2\vec{a} \cdot \vec{b} + |\vec{b}|^2 = |\vec{c}|^2 $$ $|\vec{a}| = |\vec{b}| = |\vec{c}| = R$ を代入すると $$ R^2 + 2\vec{a} \cdot \vec{b} + R^2 = R^2 $$ $$ 2\vec{a} \cdot \vec{b} = -R^2 $$ $$ \vec{a} \cdot \vec{b} = -\frac{1}{2} R^2 $$ ベクトルの内積の定義より $$ \cos \angle AOB = \frac{\vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|} = \frac{-\frac{1}{2}R^2}{R \cdot R} = -\frac{1}{2} $$ $0^\circ < \angle AOB < 180^\circ$ であるから、$\angle AOB = 120^\circ$ である。 円周角と中心角の定理より $$ C = \angle ACB = \frac{1}{2} \angle AOB = 60^\circ $$ 同様の計算を $\vec{b} + \vec{c} = -\vec{a}$ などで行うことにより、$A = 60^\circ, B = 60^\circ$ も導かれる。 したがって、$A = B = C = 60^\circ$ となり、$\triangle ABC$ は正三角形である。

解説

オイラー線の性質や三角形の五心に関する古典的な有名問題である。 (1)は正弦定理や円周角の定理などの基本定理を用いれば容易に導出できる。 (2)は幾何的に中線と垂直二等分線が一致することから二等辺三角形を導く方法と、外心を原点としたベクトルを用いて $\vec{a} + \vec{b} + \vec{c} = \vec{0}$ からなす角を求める方法が代表的であり、どちらも標準的な手法として習熟しておきたい。 (3)は、「$O$ と $G$ の $BC$ からの距離」に着目することがポイントである。平行条件を距離の等式に翻訳し、(1)で求めた式に代入することで三角関数の等式へと帰着できる。関係式 $A+B+C=180^\circ$ を用いた角の消去も三角比の計算における定石である。

答え

(1) 幾何的性質と正弦定理により $AD = 2R \sin B \sin C, OE = R \cos A$ を示した。

(2) 重心と外心の一致から中線と垂直二等分線が一致すること(あるいは位置ベクトル)を示し、正三角形であることを証明した。

(3) $OG \parallel BC$ より $OE = \frac{1}{3}AD$ となることを利用し、$AD = 3OE$ および $\tan B \tan C = 3$ を示した。

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