九州大学 2014年 文系 第2問 解説

方針・初手
整数問題における基本的なアプローチである剰余に注目する。 (1)は法を3として場合分けを行い、平方数の剰余を調べる。 (2)は(1)の結果を用いて、$a^2+b^2$ が3の倍数となる条件を絞り込む。 (3)は(2)の結果から、解が無限に小さくなってしまうこと(無限降下法)を示し、自然数解が存在しないことを背理法で証明する。
解法1
(1)
任意の自然数 $a$ は、自然数 $k$ を用いて $3k, 3k-1, 3k-2$ のいずれかで表すことができる。
(i) $a = 3k$ のとき
$$ a^2 = (3k)^2 = 9k^2 = 3(3k^2) $$
$3k^2$ は0以上の整数であるから、$a^2$ を3で割った余りは0である。
(ii) $a = 3k-1$ のとき
$$ a^2 = (3k-1)^2 = 9k^2 - 6k + 1 = 3(3k^2 - 2k) + 1 $$
$3k^2 - 2k = k(3k - 2)$ は0以上の整数であるから、$a^2$ を3で割った余りは1である。
(iii) $a = 3k-2$ のとき
$$ a^2 = (3k-2)^2 = 9k^2 - 12k + 4 = 3(3k^2 - 4k + 1) + 1 $$
$3k^2 - 4k + 1 = (3k-1)(k-1)$ は0以上の整数であるから、$a^2$ を3で割った余りは1である。
以上より、任意の自然数 $a$ に対し、$a^2$ を3で割った余りは0か1のいずれかである。(証明終)
(2)
$a^2+b^2=3c^2$ を満たす自然数 $a, b, c$ が存在すると仮定する。
この等式の右辺は3の倍数であるから、$a^2+b^2$ は3の倍数である。すなわち、$a^2+b^2$ を3で割った余りは0である。
(1)より、$a^2, b^2$ をそれぞれ3で割った余りは0または1である。 このとき、$a^2+b^2$ を3で割った余りが0となるのは、$a^2$ と $b^2$ を3で割った余りがともに0の場合に限られる。
したがって、$a^2$ および $b^2$ はともに3の倍数である。 3は素数であるから、$a^2$ が3の倍数ならば $a$ も3の倍数であり、$b^2$ が3の倍数ならば $b$ も3の倍数である。
ゆえに、$a, b$ はともに3の倍数であるので、自然数 $a_1, b_1$ を用いて $a=3a_1, b=3b_1$ と表せる。 これを元の等式に代入すると、
$$ (3a_1)^2 + (3b_1)^2 = 3c^2 $$
$$ 9a_1^2 + 9b_1^2 = 3c^2 $$
$$ 3(a_1^2 + b_1^2) = c^2 $$
$a_1^2 + b_1^2$ は整数であるから、$c^2$ は3の倍数である。 先ほどと同様に3は素数であるから、$c$ も3の倍数である。
以上より、$a, b, c$ はすべて3で割り切れる。(証明終)
(3)
$a^2+b^2=3c^2$ を満たす自然数の組 $(a, b, c)$ が存在すると仮定する。 その中で、$a$ の値が最小となるような組の1つを $(a_0, b_0, c_0)$ とする。
(2)で証明した事実より、$a_0, b_0, c_0$ はすべて3で割り切れるため、自然数 $a_1, b_1, c_1$ を用いて以下のように表せる。
$$ a_0 = 3a_1, \quad b_0 = 3b_1, \quad c_0 = 3c_1 $$
これを $a_0^2+b_0^2=3c_0^2$ に代入すると、
$$ (3a_1)^2 + (3b_1)^2 = 3(3c_1)^2 $$
$$ 9a_1^2 + 9b_1^2 = 27c_1^2 $$
両辺を9で割ると、
$$ a_1^2 + b_1^2 = 3c_1^2 $$
となる。これは $(a_1, b_1, c_1)$ も $a^2+b^2=3c^2$ を満たす自然数の組であることを示している。
しかし、$a_0 = 3a_1$ より $a_1 < a_0$ であり、これは $(a_0, b_0, c_0)$ が $a$ の値が最小となる組であるという仮定に矛盾する。
したがって、$a^2+b^2=3c^2$ を満たす自然数 $a, b, c$ は存在しない。(証明終)
解説
整数方程式が解を持たないことを示す典型的な手法である「無限降下法」の誘導問題である。(1)で平方数の剰余の性質を示し、(2)で解が特定の素因数を持つことを導き、(3)でそれを利用して矛盾を導くという、非常に親切な構成になっている。
無限降下法は背理法の一種であり、「条件を満たす自然数解が存在すると仮定して最小の解を考える。すると、より小さい自然数解が構成できてしまい、最小性に矛盾する」という論法である。入試頻出の考え方なので、誘導がなくても自力でこの流れを組み立てられるようにしておきたい。
答え
(1) 題意の通り証明された。
(2) 題意の通り証明された。
(3) 題意の通り証明された。
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