九州大学 2001年 文系 第5問 解説

方針・初手
半直線 $l$ と半直線 $m$ のなす角を $\theta$ とおき、$\sin\theta$ と $\cos\theta$ を $r$ で表すことが図形的な考察の基本となる。 (1) は「円の接線と割線」の関係であることから、方べきの定理を利用する。 (2) は $\triangle ACF$ において余弦定理を適用し、生じた二重根号を外して整理する。 (3) も (1) と同様に方べきの定理を用いて $AQ$ の長さを求め、$PQ$ の長さを計算して (2) の結果と比較する。
解法1
(1)
$E, F$ を通り半直線 $l$ に接する円について、点 $A$ はこの円の外部にあり、接点は $P$ である。 点 $A$ からこの円に引いた割線 $AEF$ と接線 $AP$ について、方べきの定理が成り立つ。 したがって、
$$AP^2 = AE \cdot AF$$
問題の条件より $AE = 1-r$、$AF = 1$ であるから、
$$AP^2 = (1-r) \cdot 1 = 1-r$$
点 $P$ は半直線 $l$ 上にあるため $AP > 0$ であり、
$$AP = \sqrt{1-r}$$
(2)
$B, D$ は半直線 $l$ 上にあり、$A$ からの距離はそれぞれ $AB = 1-r$、$AD = 1+r$ である。 $B, D$ を直径の両端とする円の中心は、線分 $BD$ の中点である。 点 $A$ からこの中点までの距離は、
$$\frac{AB+AD}{2} = \frac{(1-r)+(1+r)}{2} = 1$$
であり、これは $AC$ の長さに等しい。 よって、この円の中心は $C$ であり、その半径は $AD - AC = (1+r) - 1 = r$ である。 半直線 $m$ はこの円に接するため、接点を $H$ とすると、$CH \perp m$ となる。 $\triangle ACH$ は $\angle AHC = 90^\circ$ の直角三角形であり、$\angle CAH$ を $\theta$ とおくと、
$$\sin\theta = \frac{CH}{AC} = \frac{r}{1} = r$$
$0 < r < 1$ より $\theta$ は鋭角であるから、
$$\cos\theta = \sqrt{1 - \sin^2\theta} = \sqrt{1 - r^2}$$
次に、$\triangle ACF$ において余弦定理を用いる。 $AC = 1$、$AF = 1$ であり、$\angle CAF = \theta$ であるから、
$$\begin{aligned} CF^2 &= AC^2 + AF^2 - 2 \cdot AC \cdot AF \cos\theta \\ &= 1^2 + 1^2 - 2 \cdot 1 \cdot 1 \cdot \sqrt{1-r^2} \\ &= 2 - 2\sqrt{1-r^2} \end{aligned}$$
ここで、二重根号を外すために式を変形する。
$$2 - 2\sqrt{1-r^2} = (1+r) + (1-r) - 2\sqrt{(1+r)(1-r)} = (\sqrt{1+r} - \sqrt{1-r})^2$$
$0 < r < 1$ より $\sqrt{1+r} > \sqrt{1-r}$ であるため、$CF > 0$ より、
$$CF = \sqrt{1+r} - \sqrt{1-r}$$
(3)
(1) と同様に、$F, G$ を通り半直線 $l$ に接する円について、接点 $Q$ に対して方べきの定理が成り立つ。
$$AQ^2 = AF \cdot AG$$
$AF = 1$、$AG = 1+r$ であるから、
$$AQ^2 = 1 \cdot (1+r) = 1+r$$
$AQ > 0$ であるから、
$$AQ = \sqrt{1+r}$$
点 $P, Q$ はいずれも点 $A$ を端点とする半直線 $l$ 上にある。 $AP = \sqrt{1-r}$、$AQ = \sqrt{1+r}$ であり、$AP < AQ$ であるから、点 $P, Q$ は $A, P, Q$ の順に並ぶ。 したがって、線分 $PQ$ の長さは、
$$PQ = AQ - AP = \sqrt{1+r} - \sqrt{1-r}$$
(2) の結果から $CF = \sqrt{1+r} - \sqrt{1-r}$ であるから、
$$PQ = CF$$
が成り立つ。
解説
本問は、初等幾何の「方べきの定理」および「余弦定理」と、式の計算における「二重根号の簡略化」を組み合わせた標準的な問題である。 (1) および (3) では、接点と割線が与えられている図形構成から、方べきの定理を用いる発想が自然に導かれる。 (2) では、図形の条件から半直線 $l$ と $m$ のなす角の正弦 ($\sin$) が円の半径 $r$ と一致することを見抜けるかがポイントとなる。二重根号の処理 $\sqrt{2 - 2\sqrt{1-r^2}}$ は、和が $2$、積が $1-r^2$ となる2つの数 $(1+r)$ と $(1-r)$ を見つける定石通りの変形である。
答え
(1)
$$AP = \sqrt{1-r}$$
(2)
$$CF = \sqrt{1+r} - \sqrt{1-r}$$
(3) (1) と同様に方べきの定理から $AQ = \sqrt{1+r}$ を導き、$PQ = AQ - AP = \sqrt{1+r} - \sqrt{1-r}$ となることから $PQ = CF$ が成り立つことを示した。
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