九州大学 2002年 文系 第3問 解説

方針・初手
折れ線の長さの最小値を求める図形問題の定石である、「直線を軸とした対称移動(展開)」を利用する。
定点や動点を軸に関して対称移動させることで、折れ線を一本の線分に引き伸ばせるような点の配置を見つけることが基本的な方針となる。本問では、動点が複数の直線上にあるため、移動させる点や軸を順次変えながら一直線になる条件を調べる。
解法1
(1) 点 $\text{C}'$ は線分 $\text{OA}'$ 上にあり、$\text{OC} = \text{OC}'$ を満たす。
$\triangle \text{AOB}$ は $\text{OA} = \text{OB} = 1$ の二等辺三角形であり、点 $\text{A}'$ は直線 $\text{OB}$ に関して点 $\text{A}$ と対称であるから、$\text{OA}' = \text{OA} = 1$ であり、直線 $\text{OB}$ は $\angle \text{AOA}'$ の二等分線となる。
よって、線分 $\text{OA}$ 上の点 $\text{C}$ を直線 $\text{OB}$ に関して対称移動した点は、半直線 $\text{OA}'$ 上にあり、原点 $\text{O}$ からの距離が $\text{OC}$ と等しい点であるから、点 $\text{C}'$ に一致する。
したがって、直線 $\text{OB}$ 上の点 $\text{D}$ に対して、対称性より常に $\text{CD} = \text{C}'\text{D}$ が成り立つ。
これより、折れ線 $\text{ADC}$ の長さは $\text{AD} + \text{CD} = \text{AD} + \text{C}'\text{D}$ と表せる。
この長さが最小となるのは、3点 $\text{A}, \text{D}, \text{C}'$ がこの順に同一直線上にあるときである。
ここで、$\angle \text{AOB} = \angle \text{A}'\text{OB} = \alpha$ より $\angle \text{AOA}' = 2\alpha$ である。$\alpha < 90^\circ$ より $2\alpha < 180^\circ$ であるため、点 $\text{A}$ と点 $\text{C}'$ を結ぶ線分 $\text{AC}'$ は、$\angle \text{AOA}'$ の内部にある半直線 $\text{OB}$ と必ず交点を持つ。
点 $\text{D}$ をこの交点とすれば $\text{AD} + \text{C}'\text{D}$ は最小となるため、折れ線の長さが最小となるとき、線分 $\text{AC}'$ は点 $\text{D}$ を通る。
(2) (1)と同様に、点 $\text{E}$ を直線 $\text{OB}$ に関して対称移動した点を $\text{E}'$ とすると、点 $\text{E}'$ は線分 $\text{OA}'$ 上の点であり、$\text{FE} = \text{FE}'$ となる。
折れ線 $\text{AFE}$ の長さは $\text{AF} + \text{FE} = \text{AF} + \text{FE}'$ となる。
点 $\text{E}$ (および $\text{E}'$) を固定したとき、この長さが最小となるのは 3点 $\text{A}, \text{F}, \text{E}'$ が一直線上にあるときであり、このときの最小値は線分 $\text{AE}'$ の長さとなる。
さらに点 $\text{E}$ を線分 $\text{OA}$ 上で動かすと、点 $\text{E}'$ は線分 $\text{OA}'$ 上を動く。よって、折れ線の長さの最小値は、点 $\text{A}$ と線分 $\text{OA}'$ 上の点 $\text{E}'$ を結ぶ線分 $\text{AE}'$ の長さの最小値に等しい。
線分 $\text{AE}'$ の長さが最小となるのは、$\text{AE}' \perp \text{OA}'$ となるときである。
$\triangle \text{AOA}'$ において $\text{OA} = \text{OA}' = 1, \angle \text{AOA}' = 2\alpha$ であり、$\alpha < 45^\circ$ より $2\alpha < 90^\circ$ である。点 $\text{A}$ から直線 $\text{OA}'$ に下ろした垂線の足は、原点 $\text{O}$ からの距離が $\cos 2\alpha$ となり、$0 < \cos 2\alpha < 1$ であるから線分 $\text{OA}'$ 上に存在する。よって、この垂線の足が点 $\text{E}'$ となる。
このとき、$\angle \text{AE}'\text{O} = 90^\circ$ である。
ここで、図形全体を直線 $\text{OB}$ に関して対称移動することを考える。
点 $\text{A} \mapsto \text{A}'$、点 $\text{E}' \mapsto \text{E}$、点 $\text{O} \mapsto \text{O}$ であり、点 $\text{F}$ は直線 $\text{OB}$ 上の点なので自分自身に移る。
直線 $\text{AE}'$ が直線 $\text{OB}$ と交わる点が $\text{F}$ であったから、対称移動した直線 $\text{A}'\text{E}$ は点 $\text{F}$ を通る。すなわち、3点 $\text{A}', \text{F}, \text{E}$ は一直線上にある。
$\angle \text{AE}'\text{O} = 90^\circ$ の対称性から、$\angle \text{A}'\text{EO} = 90^\circ$ が成り立つ。
点 $\text{E}$ は線分 $\text{OA}$ 上の点なので、3点 $\text{O, E, A}$ はこの順に一直線上にある。
したがって、$\angle \text{A}'\text{EA} = 180^\circ - \angle \text{A}'\text{EO} = 90^\circ$ である。
点 $\text{F}$ は線分 $\text{A}'\text{E}$ 上にあるため、$\angle \text{AEF} = \angle \text{AEA}' = 90^\circ$ となる。よって $\angle \text{AEF}$ は直角となる。
(3) 折れ線 $\text{AHGB}$ の長さを $\text{AH} + \text{HG} + \text{GB}$ とする。
(1)と同様に、点 $\text{A}$ を直線 $\text{OB}$ に関して対称移動した点を $\text{A}_1$(問題文の点 $\text{A}'$ に一致)とすると、$\text{AH} = \text{A}_1\text{H}$ である。
これにより、折れ線の長さは $\text{A}_1\text{H} + \text{HG} + \text{GB}$ となる。
次に、点 $\text{A}_1$ と点 $\text{H}$ を、直線 $\text{OA}$ に関して対称移動した点をそれぞれ $\text{A}_2, \text{H}'$ とする。
$\text{A}_1\text{H} = \text{A}_2\text{H}'$ であり、点 $\text{G}$ は直線 $\text{OA}$ 上にあるため $\text{H}'\text{G} = \text{HG}$ となる。
したがって、折れ線の長さは $\text{A}_2\text{H}' + \text{H}'\text{G} + \text{GB}$ と変形できる。
ここで、点 $\text{B}$ は固定されており、点 $\text{G}, \text{H}'$ を動かすときの最小値を考える。この長さは、点 $\text{A}_2$ から点 $\text{H}', \text{G}$ を経由して点 $\text{B}$ に至る道のりであり、4点 $\text{A}_2, \text{H}', \text{G}, \text{B}$ がこの順に同一直線上にあるとき、最小値となる線分 $\text{A}_2\text{B}$ の長さをとる。
点 $\text{A}_2$ の位置を確認する。
$\angle \text{AOB} = \alpha, \angle \text{A}_1\text{OB} = \alpha$ より $\angle \text{A}_1\text{OA} = 2\alpha$ である。点 $\text{A}_2$ は点 $\text{A}_1$ を直線 $\text{OA}$ に関して対称移動した点であるから、$\angle \text{A}_1\text{OA} = \angle \text{A}_2\text{OA} = 2\alpha$ である。
よって、$\angle \text{A}_2\text{OB} = \angle \text{A}_2\text{OA} + \angle \text{AOB} = 2\alpha + \alpha = 3\alpha$ である。また、$\text{OA}_2 = \text{OA}_1 = 1$ である。
$\alpha < 60^\circ$ より $3\alpha < 180^\circ$ であるため、線分 $\text{A}_2\text{B}$ は原点 $\text{O}$ を通らない。
点 $\text{H}$ は半直線 $\text{OB}$(これを偏角 $0$ とする)上の点であり、これを直線 $\text{OA}$(偏角 $\alpha$)に関して対称移動した点 $\text{H}'$ は、偏角 $2\alpha$ の半直線上の点である。点 $\text{G}$ は半直線 $\text{OA}$(偏角 $\alpha$)上の点である。
点 $\text{A}_2$ は偏角 $3\alpha$ であり、点 $\text{B}$ は偏角 $0$ である。線分 $\text{A}_2\text{B}$ は、偏角 $3\alpha$ の点と偏角 $0$ の点を結ぶため、その内部で必ず偏角 $2\alpha$ の半直線および偏角 $\alpha$ の半直線とこの順に交わる。
それらの交点をそれぞれ $\text{H}', \text{G}$ とすれば、対応する点 $\text{H}, \text{G}$ は必ずそれぞれ線分 $\text{OB}, \text{OA}$ 上に存在する。
以上より、折れ線の長さの最小値は線分 $\text{A}_2\text{B}$ の長さに等しい。
$\triangle \text{A}_2\text{OB}$ において、$\text{OA}_2 = 1, \text{OB} = 1, \angle \text{A}_2\text{OB} = 3\alpha$ であるから、余弦定理より
$$\text{A}_2\text{B}^2 = 1^2 + 1^2 - 2 \cdot 1 \cdot 1 \cdot \cos 3\alpha = 2(1 - \cos 3\alpha)$$
半角の公式を用いて変形すると、
$$2(1 - \cos 3\alpha) = 4\sin^2 \frac{3\alpha}{2}$$
$\alpha < 60^\circ$ より $0 < \frac{3\alpha}{2} < 90^\circ$ であるから、$\sin \frac{3\alpha}{2} > 0$ である。
したがって、最小値となる折れ線の長さは
$$2\sin \frac{3\alpha}{2}$$
解説
「折れ線の長さの最小値」を求める問題の定型処理である、対称な点(鏡像)をとって直線の長さに帰着させるテクニックの応用である。
(1) では1回の対称移動で済むが、(2) では「動点を動かしたときの最小値(垂線)」の要素が加わり、(3) では動点が2つあるため、対称移動を2回繰り返して始点と終点を結ぶ必要がある。
特に (3) のように複数の動点を含む場合は、線分を1つずつ順番に折り返して展開図を作り、最終的な始点と終点が一直線に結べるかを(角度の条件などから)確認することがポイントとなる。
答え
(1) 解法1を参照(線分 $\text{AC}'$ が $\angle \text{AOA}'$ の内部の半直線 $\text{OB}$ と交わることから示される)
(2) 解法1を参照(折れ線の長さが最小となるとき $\text{AE}' \perp \text{OA}'$ となり、対称性から示される)
(3) $$ 2\sin \frac{3\alpha}{2} $$$$
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