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九州大学 1988年 理系 第5問 解説

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九州大学 1988年 理系 第5問 解説

方針・初手

確率変数 $X$ と $Y$ が互いに独立であることから、同時確率分布を求め、$Z=X-Y$ のとりうる値とその確率を導出する。(2)、(3)ではそれぞれ与えられた条件から $p, q$ に関する不等式を導き、$pq$ 平面上に領域を図示する。(4)では、(2)と(3)で求めた領域が共有点をもつための $a$ の条件を、不等式の解の存在条件として処理する。

解法1

(1)

$X$ と $Y$ のそれぞれの確率分布は以下の通りである。

$$P(X=1) = p, \quad P(X=a) = 1-p$$

$$P(Y=1) = q, \quad P(Y=3) = 1-q$$

$X$ と $Y$ は互いに独立であるため、$Z = X - Y$ のとりうる値とその確率は次のように計算できる。

$X=1, Y=3$ のとき、 $Z = -2$ 確率: $P(X=1)P(Y=3) = p(1-q)$

$X=1, Y=1$ のとき、 $Z = 0$ 確率: $P(X=1)P(Y=1) = pq$

$X=a, Y=3$ のとき、 $Z = a-3$ 確率: $P(X=a)P(Y=3) = (1-p)(1-q)$

$X=a, Y=1$ のとき、 $Z = a-1$ 確率: $P(X=a)P(Y=1) = (1-p)q$

ここで $a > 3$ であるから、$-2 < 0 < a-3 < a-1$ となり、$Z$ のとりうる値はすべて異なる。 したがって、$Z$ の確率分布は以下の表のようになる。

$$\begin{array}{|c|c|c|c|c|} \hline Z & -2 & 0 & a-3 & a-1 \\ \hline 確率 & p(1-q) & pq & (1-p)(1-q) & (1-p)q \\ \hline \end{array}$$

(2)

事象 $Z \geqq 0$ となるのは、$Z = 0, a-3, a-1$ のいずれかをとるときであるから、その確率は余事象を用いて次のように求められる。

$$P(Z \geqq 0) = 1 - P(Z = -2) = 1 - p(1-q)$$

$P(Z \geqq 0) \leqq \frac{1}{2}$ であるから、

$$1 - p(1-q) \leqq \frac{1}{2}$$

$$p(1-q) \geqq \frac{1}{2}$$

求める領域は、$pq$ 平面上において、$0 \leqq p \leqq 1, 0 \leqq q \leqq 1$ かつ $p(1-q) \geqq \frac{1}{2}$ を満たす部分である。 $1-q > 0$ すなわち $q < 1$ に注意すると、$p \geqq \frac{1}{2(1-q)}$ と変形できる。 境界となる曲線は $p = \frac{1}{2(1-q)}$ (または $q = 1 - \frac{1}{2p}$)であり、点 $\left(\frac{1}{2}, 0\right)$ と点 $\left(1, \frac{1}{2}\right)$ を結ぶ単調増加な曲線である。 集合はこの曲線の右下側と直線 $p=1, q=0$ に囲まれた領域であり、境界線を含む。

(3)

$E(Z) = E(X) - E(Y)$ であり、$X, Y$ の期待値はそれぞれ以下のようになる。

$$E(X) = 1 \cdot p + a \cdot (1-p) = a - (a-1)p$$

$$E(Y) = 1 \cdot q + 3 \cdot (1-q) = 3 - 2q$$

したがって、$Z$ の期待値 $E(Z)$ は

$$E(Z) = a - (a-1)p - (3 - 2q) = -(a-1)p + 2q + a - 3$$

$E(Z) \geqq 0$ より、

$$-(a-1)p + 2q + a - 3 \geqq 0$$

$$q \geqq \frac{a-1}{2}p - \frac{a-3}{2}$$

求める領域は、$pq$ 平面上において、$0 \leqq p \leqq 1, 0 \leqq q \leqq 1$ かつ上記の不等式を満たす部分である。 境界線である直線 $q = \frac{a-1}{2}p - \frac{a-3}{2}$ は、点 $(1, 1)$ と点 $\left(\frac{a-3}{a-1}, 0\right)$ を通る直線である。$a > 3$ より、$0 < \frac{a-3}{a-1} < 1$ かつ傾き $\frac{a-1}{2} > 1$ である。 集合は、$0 \leqq p \leqq 1, 0 \leqq q \leqq 1$ が表す正方形の内部において、この直線の上側の領域であり、境界線を含む。

(4)

(2)で求めた領域を $D_1$、(3)で求めた領域を $D_2$ とする。条件を満たす点 $(p, q)$ が存在するための必要十分条件は、$D_1$ と $D_2$ が共有点をもつことである。

$D_1$ 内の点は $q \leqq 1 - \frac{1}{2p}$ (ただし $\frac{1}{2} \leqq p \leqq 1$)を満たす。 $D_2$ 内の点は $q \geqq \frac{a-1}{2}p - \frac{a-3}{2}$ を満たす。 これらが共有点をもつには、$\frac{1}{2} \leqq p \leqq 1$ を満たすある $p$ に対して、

$$\frac{a-1}{2}p - \frac{a-3}{2} \leqq 1 - \frac{1}{2p}$$

が成り立てばよい。この不等式を整理する。

$$\frac{a-1}{2}p - \frac{a-1}{2} + 1 \leqq 1 - \frac{1}{2p}$$

$$\frac{a-1}{2}(p-1) \leqq -\frac{1}{2p}$$

両辺に $2p (> 0)$ を掛けて移項すると、

$$(a-1)p(p-1) + 1 \leqq 0$$

$$(a-1)p^2 - (a-1)p + 1 \leqq 0$$

ここで、$f(p) = (a-1)p^2 - (a-1)p + 1$ とおく。 $f(p)$ は $p^2$ の係数 $a-1$ が正 ($a > 3$) であるから下に凸の2次関数であり、軸の方程式は $p = \frac{1}{2}$ である。 したがって、$f(p)$ は $p \geqq \frac{1}{2}$ において単調増加となる。

$\frac{1}{2} \leqq p \leqq 1$ の範囲で $f(p) \leqq 0$ となる実数 $p$ が存在するための条件は、この区間における $f(p)$ の最小値が $0$ 以下となることである。 最小値は $p = \frac{1}{2}$ のときにとるため、条件は以下のようになる。

$$f\left(\frac{1}{2}\right) = (a-1)\frac{1}{4} - (a-1)\frac{1}{2} + 1 \leqq 0$$

$$-\frac{a-1}{4} + 1 \leqq 0$$

$$a-1 \geqq 4$$

$$a \geqq 5$$

これは $a > 3$ の条件も満たしている。

解説

2つの独立な確率変数の差 $Z=X-Y$ の分布を求める基本的な問題である。(1)では $a>3$ という条件から $Z$ のとりうる値の大小関係が確定し、すべて異なる値をとることが重要である。 (2)および(3)は、得られた確率や期待値の条件を $p, q$ の不等式に帰着させ、2変数関数の領域図示問題として処理する。 (4)では、2つの領域が共有点をもつ条件を考える。グラフの上下関係を不等式で表し、それが解をもつようなパラメータ $a$ の条件を求めるという、数学II・数学Iの融合的な処理が求められる。軸が固定された2次関数の最小値に注目することで簡潔に解くことができる。

答え

(1) $Z$ の確率分布は以下の通り。 $Z = -2$ のとき、確率 $p(1-q)$ $Z = 0$ のとき、確率 $pq$ $Z = a-3$ のとき、確率 $(1-p)(1-q)$ $Z = a-1$ のとき、確率 $(1-p)q$

(2) $pq$ 平面において、$0 \leqq p \leqq 1, 0 \leqq q \leqq 1$ かつ $p(1-q) \geqq \frac{1}{2}$ を満たす領域(境界を含む)。

(3) $pq$ 平面において、$0 \leqq p \leqq 1, 0 \leqq q \leqq 1$ かつ $q \geqq \frac{a-1}{2}p - \frac{a-3}{2}$ を満たす領域(境界を含む)。

(4) $a \geqq 5$

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