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九州大学 1988年 理系 第4問 解説

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九州大学 1988年 理系 第4問 解説

方針・初手

各区間において与えられた微分方程式を解き、一般解を求める。関数 $f(x)$ が $x \geqq 0$ で連続であるという条件から、区間の境界となる $x = 0, a, a+1$ における極限と関数の値が一致することを利用し、積分定数を順に決定していく。最後に得られた関数形を用いて方程式を解き、$b$ の最小値を相加平均と相乗平均の大小関係を用いて求める。

解法1

(1) $0 < x < a$ において、$y' = y$ である。 $y=0$ はこの微分方程式を満たすが、$f(0)=1$ と連続性から不適であるため $y \neq 0$ として変数分離法を用いると、

$$\frac{y'}{y} = 1$$

両辺を $x$ で積分して、

$$\log |y| = x + C_1 \quad (C_1 \text{は積分定数})$$

$$y = \pm e^{C_1} e^x$$

$A = \pm e^{C_1}$ とおくと、$y = A e^x$ となる。 $f(x)$ は $x \geqq 0$ で連続であり、$f(0) = 1$ が与えられている。 $x \to +0$ の極限を考えると、連続性より $f(0) = \lim_{x \to +0} f(x)$ となるため、

$$1 = A e^0 = A$$

よって、$0 \leqq x \leqq a$ において、

$$f(x) = e^x$$

となる。したがって、

$$f(a) = e^a$$

である。

(2) $a < x < a + 1$ において、$y' = 0$ であるから、

$$y = C_2 \quad (C_2 \text{は積分定数})$$

$f(x)$ は $x = a$ で連続であるから、$f(a) = \lim_{x \to a+0} f(x)$ となり、(1)の結果を用いると、

$$e^a = C_2$$

よって、$a \leqq x \leqq a + 1$ において、$f(x) = e^a$ である。

さらに、$a + 1 < x$ において、$y' = a^2 y$ である。 同様に変数分離法を用いて、

$$\frac{y'}{y} = a^2$$

$$\log |y| = a^2 x + C_3 \quad (C_3 \text{は積分定数})$$

$$y = B e^{a^2 x} \quad (B \text{は0以外の定数})$$

$f(x)$ は $x = a + 1$ で連続であるから、$f(a + 1) = \lim_{x \to (a+1)+0} f(x)$ より、

$$e^a = B e^{a^2 (a + 1)}$$

$$B = e^a e^{-a^2 (a + 1)} = e^{a - a^2 (a + 1)}$$

これより、$a + 1 < x$ において、

$$f(x) = e^{a - a^2 (a + 1)} e^{a^2 x} = e^{a^2 (x - a - 1) + a}$$

となる。

(3) (1) より $\{f(a)\}^2 = (e^a)^2 = e^{2a}$ である。 条件より、$f(b) = e^{2a}$ を満たす $x$ の値 $b$ を考える。

$a > 0$ であるから、$2a > a$ より $e^{2a} > e^a$ である。 $0 \leqq x \leqq a + 1$ の範囲において、関数の最大値は $e^a$ であるため、$f(x) = e^{2a}$ を満たす $x$ はこの区間には存在しない。 したがって、$b$ は $a + 1 < x$ の範囲に存在する。

(2) の結果より、

$$f(b) = e^{a^2 (b - a - 1) + a} = e^{2a}$$

両辺の指数を比較して、

$$a^2 (b - a - 1) + a = 2a$$

$$a^2 (b - a - 1) = a$$

$a > 0$ より $a^2 \neq 0$ であるから、両辺を $a^2$ で割ると、

$$b - a - 1 = \frac{1}{a}$$

$$b = a + \frac{1}{a} + 1$$

ここで、$a > 0, \frac{1}{a} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、

$$a + \frac{1}{a} \geqq 2 \sqrt{a \cdot \frac{1}{a}} = 2$$

が成り立つ。よって、

$$b = a + \frac{1}{a} + 1 \geqq 2 + 1 = 3$$

等号が成立するのは $a = \frac{1}{a}$ のときであり、$a > 0$ であるから $a = 1$ のときである。 ゆえに、$b$ を最小にする $a$ の値は $a = 1$ である。

解説

区分的に定義された微分方程式と、関数の連続性をテーマにした標準的な微積分の問題である。各区間での一般解を求めた後、境界の点での連続性(右側極限、左側極限、関数の値の一致)を利用して積分定数を確定していくのが基本方針となる。(3)の最小値問題では、$b$ がどの区間に存在するかの議論を省かないことが重要である。また、分母に変数を含む正の和の最小値を求めるため、相加平均と相乗平均の大小関係を用いるという典型的な手法に帰着する。

答え

(1)

$$f(a) = e^a$$

(2)

$$f(x) = e^{a^2 (x - a - 1) + a}$$

(3)

$$a = 1$$

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