トップ 九州大学 2003年 理系 第6問

九州大学 2003年 理系 第6問 解説

数学A/確率数学B/確率分布・統計的推測数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/最大・最小
九州大学 2003年 理系 第6問 解説

方針・初手

ボールが正方形内の各点に落ちる確率は同様に確からしいので、当たる確率は、正方形領域と当たりとなる領域の共通部分の面積を、正方形の面積で割った値に等しい。 当たり領域の境界である放物線 $y = x(a-x)$ と正方形の境界線との位置関係を、$a$ の値によって場合分けして面積を求めることが第一歩となる。

解法1

ボールが落ちる正方形の領域を $D$ とすると、$D$ の面積は $1 \times 1 = 1$ である。 したがって、当たる確率は、条件 $y \leqq x(a-x)$ を満たす $D$ 内の領域の面積の数値に等しい。 当たる領域を $E$ とすると、$E$ は連立不等式

$$ \begin{cases} 0 \leqq x \leqq 1 \\ 0 \leqq y \leqq 1 \\ y \leqq x(a-x) \end{cases} $$

が表す領域である。

放物線 $y = -x^2 + ax$ の頂点の $y$ 座標は $\frac{a^2}{4}$ であり、$0 < a \leqq 2$ のとき $\frac{a^2}{4} \leqq 1$ である。 したがって、放物線が $y = 1$ の直線を上回ることはない。 ゆえに、領域 $E$ を考える際、$y \leqq 1$ の条件は放物線の下側であれば常に満たされる。 また、領域 $D$ 内では $y \geqq 0$ であるから、放物線が $y \geqq 0$ となる $x$ の範囲を考える必要がある。 $x(a-x) \geqq 0$ となるのは $0 \leqq x \leqq a$ のときである。

(1)

正方形の右端 $x = 1$ と放物線の右端 $x = a$ の位置関係により、以下の2つの場合に分けて面積を求める。

(i) $0 < a \leqq 1$ のとき

放物線の $y \geqq 0$ となる部分全体が $0 \leqq x \leqq 1$ の範囲に含まれる。 当たる領域 $E$ の面積 $S$ は、

$$ S = \int_{0}^{a} x(a-x) dx = \left[ \frac{a}{2}x^2 - \frac{1}{3}x^3 \right]_{0}^{a} = \frac{1}{6}a^3 $$

となる。

(ii) $1 < a \leqq 2$ のとき

放物線の $x=1$ における $y$ 座標は $1 \cdot (a-1) = a-1 > 0$ である。 したがって、当たる領域 $E$ の面積 $S$ は、

$$ S = \int_{0}^{1} x(a-x) dx = \left[ \frac{a}{2}x^2 - \frac{1}{3}x^3 \right]_{0}^{1} = \frac{a}{2} - \frac{1}{3} $$

となる。

以上より、当たる確率は、 $0 < a \leqq 1$ のとき $\frac{1}{6}a^3$ $1 < a \leqq 2$ のとき $\frac{a}{2} - \frac{1}{3}$

(2)

1回目における $a$ の値は $\frac{1}{2}$ であり、$0 < a \leqq 1$ を満たす。 1回目に当たる確率 $p_1$ は、(1) の結果より、

$$ p_1 = \frac{1}{6} \left(\frac{1}{2}\right)^3 = \frac{1}{48} $$

2回目における $a$ の値は $\frac{3}{2}$ であり、$1 < a \leqq 2$ を満たす。 2回目に当たる確率 $p_2$ は、(1) の結果より、

$$ p_2 = \frac{1}{2} \cdot \frac{3}{2} - \frac{1}{3} = \frac{3}{4} - \frac{1}{3} = \frac{5}{12} $$

2回のうち1回だけ当たる事象は、「1回目が当たりで2回目が外れる」または「1回目が外れで2回目が当たる」のいずれかであり、これらは互いに排反である。 したがって、求める確率は、

$$ p_1(1 - p_2) + (1 - p_1)p_2 = \frac{1}{48} \cdot \left(1 - \frac{5}{12}\right) + \left(1 - \frac{1}{48}\right) \cdot \frac{5}{12} $$

$$ = \frac{1}{48} \cdot \frac{7}{12} + \frac{47}{48} \cdot \frac{5}{12} = \frac{7}{576} + \frac{235}{576} = \frac{242}{576} = \frac{121}{288} $$

(3)

ボールを1回落としたときに当たる確率を $p$ とする。 ボールを3回落とす試行において、「少なくとも1回は当たる」という事象の余事象は「3回とも外れる」であるから、少なくとも1回は当たる確率は $1 - (1-p)^3$ と表せる。 また、当たりの数は二項分布 $B(3, p)$ に従うため、その期待値は $3p$ である。 与えられた条件より、

$$ 1 - (1-p)^3 \geqq \frac{19}{27} $$

および

$$ 3p \leqq \frac{3}{2} $$

が同時に成り立つ。 第1の不等式を整理すると、

$$ (1-p)^3 \leqq \frac{8}{27} $$

$$ 1-p \leqq \frac{2}{3} $$

$$ p \geqq \frac{1}{3} $$

となる。 第2の不等式を解くと、

$$ p \leqq \frac{1}{2} $$

となる。 よって、$p$ が満たすべき条件は、

$$ \frac{1}{3} \leqq p \leqq \frac{1}{2} $$

である。

(1) の結果を用いて、この条件を満たす $a$ の範囲を調べる。

(i) $0 < a \leqq 1$ のとき

$p = \frac{1}{6}a^3$ であり、この範囲で $p$ は単調増加する。 $p$ の最大値は $a=1$ のときの $\frac{1}{6}$ であるため、$p \geqq \frac{1}{3}$ を満たす $a$ は存在しない。

(ii) $1 < a \leqq 2$ のとき

$p = \frac{a}{2} - \frac{1}{3}$ であり、条件より、

$$ \frac{1}{3} \leqq \frac{a}{2} - \frac{1}{3} \leqq \frac{1}{2} $$

各辺に $\frac{1}{3}$ を足して、

$$ \frac{2}{3} \leqq \frac{a}{2} \leqq \frac{5}{6} $$

各辺を2倍して、

$$ \frac{4}{3} \leqq a \leqq \frac{5}{3} $$

これは $1 < a \leqq 2$ の範囲を満たしている。

以上より、求める $a$ の値の範囲は $\frac{4}{3} \leqq a \leqq \frac{5}{3}$ である。

解説

図形上の点を選ぶ試行における事象の起こる割合を、面積の比に帰着させる幾何学的確率の典型問題である。 放物線 $y = -x^2 + ax$ の頂点の $y$ 座標の最大値が正方形の高さ以下であることに気づけば、$y \leqq 1$ の条件について考える必要がなくなり、単なる放物線と $x$ 軸、直線 $x=1$ で囲まれた部分の面積計算に帰着できる。 (3) は反復試行の確率と期待値の基本公式を正しく適用する力が問われる。条件の不等式を解いて1回あたりの確率 $p$ の範囲を絞り込み、その後で (1) で求めた $a$ の関数と照らし合わせるという逆算のプロセスが重要である。

答え

(1) $0 < a \leqq 1$ のとき $\frac{1}{6}a^3$ 、 $1 < a \leqq 2$ のとき $\frac{a}{2} - \frac{1}{3}$ (2) $\frac{121}{288}$ (3) $\frac{4}{3} \leqq a \leqq \frac{5}{3}$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。