トップ 九州大学 1963年 文系 第6問

九州大学 1963年 文系 第6問 解説

数学1/立体図形数学2/微分法数学2/図形と式テーマ/最大・最小テーマ/空間図形
九州大学 1963年 文系 第6問 解説

方針・初手

2つの正方形の1辺の長さをそれぞれ文字で置くことから始める。 面積の和と周の和に関する条件式を立てると、2つの文字の対称式が現れるため、基本対称式(和と積)の値を求める方針が有効である。 立方体の体積の和も対称式となるため、求めた基本対称式の値を用いて表現できる。

解法1

2つの正方形の1辺の長さをそれぞれ $x, y$ とおく。これらは辺の長さであるから $x > 0, y > 0$ である。

問題の条件より、面積の和について

$$x^2 + y^2 = a^2$$

周の和について

$$4x + 4y = 4k \iff x + y = k$$

が成り立つ。

(1)

それぞれの正方形を底とする2つの立方体の体積の和 $V$ は $x^3 + y^3$ である。

$(x+y)^2 = x^2 + y^2 + 2xy$ より

$$k^2 = a^2 + 2xy$$

$$xy = \frac{k^2 - a^2}{2}$$

よって、$V$ は次のように計算できる。

$$\begin{aligned} V &= x^3 + y^3 \\ &= (x + y)(x^2 - xy + y^2) \\ &= k \left( a^2 - \frac{k^2 - a^2}{2} \right) \\ &= k \left( \frac{3a^2 - k^2}{2} \right) \\ &= \frac{3a^2 k - k^3}{2} \end{aligned}$$

(2)

正方形が実際に作られるための条件は、連立方程式

$$\begin{cases} x + y = k \\ xy = \frac{k^2 - a^2}{2} \end{cases}$$

を満たす実数 $x, y$ が存在し、かつ $x > 0, y > 0$ となることである。

これは、$x, y$ を解とする $t$ の2次方程式

$$t^2 - kt + \frac{k^2 - a^2}{2} = 0$$

が、正の実数解を2つ持つ(重解を含む)ことと同値である。

この2次方程式の判別式を $D$ とし、関数を $f(t) = t^2 - kt + \frac{k^2 - a^2}{2}$ とおく。条件は以下の3つを満たすことである。

  1. $D \geqq 0$
  2. 軸 $> 0$
  3. $f(0) > 0$

まず、$D \geqq 0$ より

$$\begin{aligned} D &= (-k)^2 - 4 \cdot 1 \cdot \frac{k^2 - a^2}{2} \\ &= k^2 - 2(k^2 - a^2) \\ &= 2a^2 - k^2 \geqq 0 \end{aligned}$$

$a > 0$ であるから、これを解いて

$$-\sqrt{2}a \leqq k \leqq \sqrt{2}a$$

次に、軸は直線 $t = \frac{k}{2}$ であるから

$$\frac{k}{2} > 0 \iff k > 0$$

最後に、$f(0) > 0$ より

$$\frac{k^2 - a^2}{2} > 0 \iff k^2 > a^2$$

$k > 0$ と合わせて考えると

$$k > a$$

以上の3つの条件を同時に満たす $k$ の範囲は

$$a < k \leqq \sqrt{2}a$$

(3)

(1)より $V = -\frac{1}{2}k^3 + \frac{3}{2}a^2 k$ である。これを $k$ の関数 $V(k)$ とみる。

$k$ について微分すると

$$V'(k) = -\frac{3}{2}k^2 + \frac{3}{2}a^2 = -\frac{3}{2}(k^2 - a^2)$$

(2)で求めた範囲 $a < k \leqq \sqrt{2}a$ においては、$k > a$ であるから $k^2 - a^2 > 0$ となり、常に $V'(k) < 0$ である。

したがって、関数 $V(k)$ はこの区間において単調に減少する。

$V(k)$ を最小にするのは $k$ が最大のとき、すなわち $k = \sqrt{2}a$ のときである。

$$\begin{aligned} V(\sqrt{2}a) &= \frac{3a^2 (\sqrt{2}a) - (\sqrt{2}a)^3}{2} \\ &= \frac{3\sqrt{2}a^3 - 2\sqrt{2}a^3}{2} \\ &= \frac{\sqrt{2}}{2}a^3 \end{aligned}$$

解法2

(2)のみ図形的に解く別解

$x > 0, y > 0$ の条件のもとで、

$$\begin{cases} x^2 + y^2 = a^2 \\ x + y = k \end{cases}$$

を満たす実数 $(x, y)$ の存在範囲を考える。

$x^2 + y^2 = a^2$ は、原点を中心とする半径 $a$ の円である。 $x + y = k$ は、傾き $-1$、切片 $k$ の直線である。

これらが第1象限(軸を含まない領域)において共有点を持つ条件を求める。

まず、直線が円と接するとき、原点と直線の距離 $d$ が半径 $a$ と等しくなる。

$$d = \frac{|-k|}{\sqrt{1^2 + 1^2}} = \frac{k}{\sqrt{2}}$$

共有点を持つには $d \leqq a$ であればよいので

$$\frac{k}{\sqrt{2}} \leqq a \implies k \leqq \sqrt{2}a$$

また、第1象限で交わるためには、直線が円の第1象限の端点 $(a, 0), (0, a)$ を通るときよりも上側(原点から遠い側)にある必要がある。

端点を通るときの直線の式は $x + y = a$ であるため、これより切片 $k$ が大きい必要がある。

したがって

$$k > a$$

以上より、求める範囲は

$$a < k \leqq \sqrt{2}a$$

解説

2変数の対称式に関する標準的な問題である。面積の和と周の和から $x+y$ と $x^2+y^2$ を導き、それを基本対称式 $x+y$ と $xy$ に帰着させて他の対称式(今回は $x^3+y^3$)を表現する。

(2) の「正方形が作られる」という条件は、「辺の長さが正の実数として存在する」と言い換えられる。和と積が与えられた2数の存在条件は、解と係数の関係を用いて2次方程式の解の配置問題に帰着させる手法(解法1)が定石である。また、式を円と直線の方程式とみなして図形的にアプローチする手法(解法2)も視覚的に分かりやすく、計算ミスを防ぐのに有効である。

(3) は(2)で求めた定義域における3次関数の最大・最小を求める問題であり、微分して増減表(または導関数の符号)を調べればよい。今回は定義域内で単調減少であることがすぐに分かるため、境界値で最小値が決定する。

答え

(1)

$$V = \frac{3a^2 k - k^3}{2}$$

(2)

$$a < k \leqq \sqrt{2}a$$

(3)

$$\frac{\sqrt{2}}{2}a^3$$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。