九州大学 1963年 文系 第7問 解説

方針・初手
2つの正方形の1辺の長さをそれぞれ $x, y$ とおくことで、与えられた面積と周の条件を $x, y$ の関係式として表す。 これらは対称式となるため、基本対称式である和 $x+y$ と積 $xy$ の形に帰着させて処理していくことが本問の主眼となる。 (1) は体積の和 $x^3+y^3$ を基本対称式を用いて変形する。 (2) は $x>0, y>0$ となる実数 $x, y$ が存在する条件を求める。これは2次方程式の解の配置問題として解くか、図形的な共有点の条件として捉えることができる。 (3) は (1) で得られた関数について、(2) で求めた定義域における最小値を微分を用いて調べる。
解法1
(1)
2つの正方形の1辺の長さをそれぞれ $x, y$($x > 0, y > 0$)とする。 題意より、面積の和が $a^2$、周の和が $4k$ であるから、以下の関係式が成り立つ。
$$\begin{cases} x^2 + y^2 = a^2 \\ 4x + 4y = 4k \end{cases}$$
第2式より $x + y = k$ である。 これを第1式に代入して $xy$ について解く。
$$x^2 + y^2 = (x + y)^2 - 2xy = a^2$$
$$k^2 - 2xy = a^2$$
$$xy = \frac{k^2 - a^2}{2}$$
2つの正方形を底とする2つの立方体の体積の和 $V$ は $x^3 + y^3$ で表されるため、
$$\begin{aligned} V &= x^3 + y^3 \\ &= (x + y)(x^2 - xy + y^2) \\ &= k \left( a^2 - \frac{k^2 - a^2}{2} \right) \\ &= \frac{k(3a^2 - k^2)}{2} \end{aligned}$$
(2)
(1) より、$x, y$ は和が $k$、積が $\frac{k^2 - a^2}{2}$ であるから、$t$ についての2次方程式
$$t^2 - kt + \frac{k^2 - a^2}{2} = 0$$
の2つの解である。 それぞれの正方形が実際に作られるための条件は、この2次方程式が正の実数解を2つ(重解を含む)もつことである。 $f(t) = t^2 - kt + \frac{k^2 - a^2}{2}$ とおく。$y=f(t)$ のグラフは下に凸の放物線であり、軸は $t = \frac{k}{2}$ である。 条件を満たすためには、以下の3つが同時に成り立つ必要がある。
(i) 判別式 $D \ge 0$
$$D = (-k)^2 - 4 \cdot \frac{k^2 - a^2}{2} = 2a^2 - k^2$$
$$2a^2 - k^2 \ge 0 \iff -\sqrt{2}a \le k \le \sqrt{2}a$$
$a$ は正の定数であることに注意する。
(ii) 軸が正
$$\frac{k}{2} > 0 \iff k > 0$$
(iii) $f(0) > 0$
$$f(0) = \frac{k^2 - a^2}{2} > 0 \iff k^2 > a^2$$
$k > 0, a > 0$ より $k > a$
(i), (ii), (iii) の共通範囲を求めて、
$$a < k \le \sqrt{2}a$$
(3)
(1) より $V = \frac{3a^2k - k^3}{2}$ である。これを $k$ の関数とみなし、$g(k)$ とおく。
$$g'(k) = \frac{3a^2 - 3k^2}{2} = \frac{3}{2}(a + k)(a - k)$$
(2) で求めた範囲 $a < k \le \sqrt{2}a$ においては、$k > a$ であるため $a - k < 0$ となり、$g'(k) < 0$ となる。 したがって、関数 $g(k)$ はこの区間において単調に減少する。 よって、$k$ が区間内の最大値 $\sqrt{2}a$ をとるとき、$V$ は最小値をとる。
$$\begin{aligned} V &= \frac{\sqrt{2}a \{ 3a^2 - (\sqrt{2}a)^2 \}}{2} \\ &= \frac{\sqrt{2}a (3a^2 - 2a^2)}{2} \\ &= \frac{\sqrt{2}}{2}a^3 \end{aligned}$$
解法2
(2) の別解
正方形が実際に作られるための条件を、図形と方程式の観点から考える。 2つの正方形の1辺の長さを $x, y$ とすると、$x > 0, y > 0$ の領域において、以下の2つの図形が共有点をもつ条件を求めればよい。
- 円: $x^2 + y^2 = a^2$(第1象限の部分。端点を含まない)
- 直線: $x + y = k$
直線 $x + y = k$ は、傾きが $-1$ で $y$ 切片が $k$ の直線である。 $k > 0$ であるから、この直線と円が第1象限で共有点をもつための条件を調べる。
下限について: 直線が点 $(a, 0)$ や $(0, a)$ を通るとき、$k = a$ となる。 第1象限の内部(端点を含まない)で交わるためには、直線はこれより原点から遠い位置になければならないため、
$$k > a$$
上限について: 直線が円の第1象限部分と接するとき、$k$ は最大となる。 原点と直線 $x + y - k = 0$ の距離 $d$ が円の半径 $a$ と等しくなるときであるから、点と直線の距離の公式より
$$d = \frac{|-k|}{\sqrt{1^2 + 1^2}} = \frac{k}{\sqrt{2}} = a$$
$k > 0$ より $k = \sqrt{2}a$ 接点も「2つの正方形が作られる」(1辺の長さが同じになる)状態に含まれるため、このときも条件を満たす。 したがって、求める範囲は
$$a < k \le \sqrt{2}a$$
解説
2変数の対称式の基本となる問題である。面積と周長という幾何学的な条件を、数式(基本対称式)に翻訳して処理する力が問われている。
- (1) では、対称式を基本対称式 $x+y$ と $xy$ で表す典型的な変形を用いる。
- (2) は実数存在条件を求める問題である。2つの変数を解にもつ2次方程式を作成し、その解の配置(2解がともに正)の条件に帰着させるのが王道である(解法1)。また、解法2のように図形的に共有点の存在範囲として視覚化して解く手法も非常に有効であり、見通しが良くなる。
- (3) は定義域が制限された関数の最大・最小問題である。微分を用いて導関数の符号を調べれば、単調減少であることがすぐに分かるため容易に結論が得られる。
答え
(1) $V = \frac{k(3a^2 - k^2)}{2}$
(2) $a < k \le \sqrt{2}a$
(3) $\frac{\sqrt{2}}{2}a^3$
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