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九州大学 2011年 理系 第5問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学B/数列テーマ/確率漸化式
九州大学 2011年 理系 第5問 解説

方針・初手

解法1

袋から球を2個取り出す組合せは ${}_4\mathrm{C}_2 = 6$ 通りあり、各操作は確率 $\frac{1}{6}$ で起こる。

(1) 1回の操作を行うと、必ず2枚のカードが入れ替わるため、カードの並びは元の $(1, 2, 3, 4)$ 以外の状態になる。 2回の操作で元の並び $(1, 2, 3, 4)$ に戻るためには、2回目の操作において、1回目に選んだ2つの数字と全く同じペアを選ぶ必要がある。 1回目の操作は6通りのどれでもよく、2回目の操作は1回目と同じ1通りに限られるため、求める確率は

$$ \frac{6 \times 1}{6^2} = \frac{1}{6} $$

(2) 初めの状態 $(1, 2, 3, 4)$ から2回の操作で $(4, 3, 2, 1)$ になる場合を考える。 この状態は、数字1と4のカードが入れ替わり、かつ数字2と3のカードが入れ替わった状態である。 1回の操作では1組のペアしか入れ替えることができないため、この状態になるには、以下の2つの手順のいずれかを行うしかない。

したがって、求める確率は

$$ \frac{2}{6^2} = \frac{1}{18} $$

(3) $n$ 回の操作後に左端のカードの数字が 1 である確率を $p_n$ とする。初めは左端が 1 なので $p_0 = 1$ である。 1回の操作で、左端に 1 がある状態から次も左端に 1 がある状態のまま保たれるには、1 以外のカード2枚が選ばれればよい。その選び方は $\{2, 3\}, \{2, 4\}, \{3, 4\}$ の3通りなので、確率は $\frac{3}{6} = \frac{1}{2}$ である。 一方、左端に 1 がない状態(確率は $1 - p_n$)から、次の操作で左端に 1 がある状態になるには、数字 1 と、その時点で左端にある数字のペアが選ばれればよい。この選び方は1通りのみなので、確率は $\frac{1}{6}$ である。 これらより、次の漸化式が成り立つ。

$$ p_{n+1} = \frac{1}{2} p_n + \frac{1}{6} (1 - p_n) $$

$$ p_{n+1} = \frac{1}{3} p_n + \frac{1}{6} $$

この漸化式を用いて $p_1, p_2$ を順に求める。

$$ p_1 = \frac{1}{3} p_0 + \frac{1}{6} = \frac{1}{3} \cdot 1 + \frac{1}{6} = \frac{1}{2} $$

$$ p_2 = \frac{1}{3} p_1 + \frac{1}{6} = \frac{1}{3} \cdot \frac{1}{2} + \frac{1}{6} = \frac{1}{3} $$

よって、$n=2$ のとき左端のカードの数字が 1 になる確率は $\frac{1}{3}$ である。

(4) (3) の結果より、$n=3$ のとき左端のカードの数字が 1 になる確率 $p_3$ は、

$$ p_3 = \frac{1}{3} p_2 + \frac{1}{6} = \frac{1}{3} \cdot \frac{1}{3} + \frac{1}{6} = \frac{5}{18} $$

ここで、カードの数字 2, 3, 4 については、操作において完全に対称に扱われる。したがって、$n$ 回の操作後に左端のカードの数字が 2, 3, 4 になる確率はすべて等しくなる。 $n=3$ のとき左端のカードが 2, 3, 4 になる確率をそれぞれ $q_3$ とおくと、左端のカードの数字が 1, 2, 3, 4 になる確率の総和は 1 であるから、

$$ p_3 + 3q_3 = 1 $$

$$ \frac{5}{18} + 3q_3 = 1 $$

$$ 3q_3 = \frac{13}{18} $$

$$ q_3 = \frac{13}{54} $$

求める期待値 $E$ は、左端のカードの数字とその確率の積の和であるから、

$$ E = 1 \cdot p_3 + 2 \cdot q_3 + 3 \cdot q_3 + 4 \cdot q_3 $$

$$ E = p_3 + 9q_3 $$

$p_3 = \frac{5}{18}, q_3 = \frac{13}{54}$ を代入して、

$$ E = \frac{5}{18} + 9 \cdot \frac{13}{54} = \frac{5}{18} + \frac{13}{6} = \frac{5 + 39}{18} = \frac{44}{18} = \frac{22}{9} $$

解説

本問は、有限回の操作による状態の推移を考える確率・期待値の典型問題である。 (1)、(2)のような回数が少ない場合は、具体的な操作の手順を数え上げる方が素早く正確に解答できる。 (3)、(4)については、特定のカード(この場合は「1」のカード)の位置のみに注目することで、状態を「左端にある」か「左端以外にある」かの2つに集約できる。これにより、複雑な全事象を追うことなく、シンプルな2項間の確率漸化式を立てることが可能になる。 さらに(4)では、期待値を計算する際に「2, 3, 4 は対称である」という性質を利用することで、個々の確率を個別に計算する手間を大幅に省くことができる。対称性の活用は、確率や期待値の問題において計算量を減らし、計算ミスを防ぐための強力な定石である。

答え

(1) $\frac{1}{6}$ (2) $\frac{1}{18}$ (3) $\frac{1}{3}$ (4) $\frac{22}{9}$

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