九州大学 2011年 理系 第4問 解説

方針・初手
(1) 球面の方程式を一般形 $x^2+y^2+z^2+ax+by+cz+d=0$ で設定し、4点の座標を代入して未定係数を決定する。または、中心の座標を $(x,y,z)$ とおき、4点からの距離が等しいこと($OD^2=AD^2=BD^2=CD^2$)を利用して連立方程式を解く。
(2) 点と平面の距離の公式を利用するため、まずは3点 $A, B, C$ を通る平面の方程式を求める。法線ベクトルを未定係数で設定し、$\vec{AB}, \vec{AC}$ との内積が $0$ になることを利用して決定する。
(3) 底面を $\triangle ABC$、高さを $DF$ とみて四面体の体積を計算する。(2) で高さを求めているので、あとはベクトルを用いて $\triangle ABC$ の面積を求めればよい。
解法1
(1)
求める球面の中心を $D(x,y,z)$ とする。
点 $D$ は4点 $O, A, B, C$ を通る球面上の中心であるから、各点までの距離は等しく、$OD^2=AD^2=BD^2=CD^2$ が成り立つ。
各点の座標を用いて距離の2乗を計算すると、以下のようになる。
$$OD^2 = x^2+y^2+z^2$$
$$AD^2 = x^2+(y-2)^2+(z-3)^2 = x^2+y^2+z^2-4y-6z+13$$
$$BD^2 = (x-1)^2+y^2+(z-3)^2 = x^2+y^2+z^2-2x-6z+10$$
$$CD^2 = (x-1)^2+(y-2)^2+z^2 = x^2+y^2+z^2-2x-4y+5$$
これらから以下の連立方程式を得る。
$OD^2=AD^2$ より、
$$4y+6z = 13 \quad \cdots \text{①}$$
$OD^2=BD^2$ より、
$$2x+6z = 10 \iff x+3z = 5 \quad \cdots \text{②}$$
$OD^2=CD^2$ より、
$$2x+4y = 5 \quad \cdots \text{③}$$
②より $x = 5-3z$ となる。これを③に代入して、
$$2(5-3z)+4y = 5 \iff 4y-6z = -5 \quad \cdots \text{④}$$
①と④を辺々足すと、
$$8y = 8 \iff y = 1$$
①に代入して、
$$4+6z = 13 \iff 6z = 9 \iff z = \frac{3}{2}$$
②に代入して、
$$x + \frac{9}{2} = 5 \iff x = \frac{1}{2}$$
したがって、求める中心 $D$ の座標は $\left(\frac{1}{2}, 1, \frac{3}{2}\right)$ となる。
(2)
平面 $ABC$ の法線ベクトルを $\vec{n} = (a,b,c)$ ($\vec{n} \neq \vec{0}$)とする。
$\vec{AB} = (1, -2, 0)$、$\vec{AC} = (1, 0, -3)$ であるから、$\vec{n}$ との内積は $0$ になる。
$$\vec{n} \cdot \vec{AB} = 0 \iff a - 2b = 0 \iff a = 2b$$
$$\vec{n} \cdot \vec{AC} = 0 \iff a - 3c = 0 \iff a = 3c$$
$a=6$ とすると $b=3, c=2$ となるので、$\vec{n} = (6,3,2)$ とできる。
平面 $ABC$ は点 $A(0,2,3)$ を通るため、その方程式は、
$$6(x-0) + 3(y-2) + 2(z-3) = 0$$
$$6x + 3y + 2z - 12 = 0$$
点 $D\left(\frac{1}{2}, 1, \frac{3}{2}\right)$ からこの平面に下ろした垂線の長さ $DF$ は、点と平面の距離の公式より、
$$DF = \frac{\left| 6 \cdot \frac{1}{2} + 3 \cdot 1 + 2 \cdot \frac{3}{2} - 12 \right|}{\sqrt{6^2+3^2+2^2}}$$
$$DF = \frac{|3+3+3-12|}{\sqrt{36+9+4}} = \frac{|-3|}{\sqrt{49}} = \frac{3}{7}$$
(3)
$\triangle ABC$ の面積を $S$ とする。
$$|\vec{AB}|^2 = 1^2 + (-2)^2 + 0^2 = 5$$
$$|\vec{AC}|^2 = 1^2 + 0^2 + (-3)^2 = 10$$
$$\vec{AB} \cdot \vec{AC} = 1 \cdot 1 + (-2) \cdot 0 + 0 \cdot (-3) = 1$$
したがって、面積 $S$ は、
$$S = \frac{1}{2} \sqrt{|\vec{AB}|^2 |\vec{AC}|^2 - (\vec{AB} \cdot \vec{AC})^2}$$
$$S = \frac{1}{2} \sqrt{5 \cdot 10 - 1^2} = \frac{1}{2} \sqrt{49} = \frac{7}{2}$$
四面体 $ABCD$ の体積を $V$ とすると、底面を $\triangle ABC$ とみたときの高さが $DF$ となるので、
$$V = \frac{1}{3} S \cdot DF = \frac{1}{3} \cdot \frac{7}{2} \cdot \frac{3}{7} = \frac{1}{2}$$
解法2
(1)の別解
球面の方程式を $x^2+y^2+z^2+lx+my+nz+p=0$ とおく。
点 $O(0,0,0)$ を通るから、$p=0$ である。
点 $A(0,2,3)$ を通るから、
$$0+4+9+2m+3n = 0 \iff 2m+3n = -13 \quad \cdots \text{①}$$
点 $B(1,0,3)$ を通るから、
$$1+0+9+l+3n = 0 \iff l+3n = -10 \quad \cdots \text{②}$$
点 $C(1,2,0)$ を通るから、
$$1+4+0+l+2m = 0 \iff l+2m = -5 \quad \cdots \text{③}$$
②$-$③より、
$$3n-2m = -5 \quad \cdots \text{④}$$
①と④を足し合わせると、
$$6n = -18 \iff n = -3$$
①に代入して、
$$2m-9 = -13 \iff 2m = -4 \iff m = -2$$
③に代入して、
$$l-4 = -5 \iff l = -1$$
よって、球面の方程式は $x^2+y^2+z^2-x-2y-3z=0$ となる。これを平方完成すると、
$$\left(x-\frac{1}{2}\right)^2 + (y-1)^2 + \left(z-\frac{3}{2}\right)^2 = \frac{1}{4} + 1 + \frac{9}{4} = \frac{14}{4} = \frac{7}{2}$$
したがって、中心 $D$ の座標は $\left(\frac{1}{2}, 1, \frac{3}{2}\right)$ となる。
(2)の別解
平面 $ABC$ の法線ベクトル $\vec{n} = (6,3,2)$ を求める手順は解法1と同じである。
点 $F$ は点 $D$ を通り $\vec{n}$ に平行な直線上にあるので、実数 $k$ を用いて次のように表せる。
$$\vec{OF} = \vec{OD} + k\vec{n} = \left(\frac{1}{2}+6k, 1+3k, \frac{3}{2}+2k\right)$$
点 $F$ は平面 $6x+3y+2z-12=0$ 上にあるから、
$$6\left(\frac{1}{2}+6k\right) + 3(1+3k) + 2\left(\frac{3}{2}+2k\right) - 12 = 0$$
$$3 + 36k + 3 + 9k + 3 + 4k - 12 = 0$$
$$49k - 3 = 0 \iff k = \frac{3}{49}$$
線分 $DF$ の長さは、ベクトル $\vec{DF}$ の大きさであるから、
$$DF = |\vec{DF}| = |k\vec{n}| = |k| \sqrt{6^2+3^2+2^2}$$
$$DF = \frac{3}{49} \cdot 7 = \frac{3}{7}$$
解説
空間座標における図形計量の標準的な問題である。
(1) は解法1のように中心の座標を変数として距離の条件から立式するか、解法2のように球面の方程式を一般形から決定するかのいずれかを選択すればよい。計算量はどちらも同程度である。
(2) は、平面の方程式を求めてから点と平面の距離の公式を利用するのがもっとも素早い。平面の方程式の法線ベクトルは、平面上の2つの1次独立なベクトルとの内積が $0$ になることから求められる。空間における平面の方程式および点と平面の距離の公式は、検定教科書では発展扱いの場合もあるが、大学入試では必須の知識として習熟しておきたい。
(3) は、(2) で四面体の高さを求めているため、底面の三角形の面積をベクトルで求める定石に帰着される。
答え
(1) $\left( \frac{1}{2}, 1, \frac{3}{2} \right)$
(2) $\frac{3}{7}$
(3) $\frac{1}{2}$
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