トップ 名古屋大学 2009年 理系 第4問

名古屋大学 2009年 理系 第4問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学B/数列テーマ/漸化式テーマ/確率漸化式
名古屋大学 2009年 理系 第4問 解説

方針・初手

さいころを $n$ 回投げたときの目の積の一の位に注目し、特定の数字が出た場合の「一の位の遷移」を考える問題である。 (1) は $n=2$ なので、全事象 $6^2=36$ 通りについて具体的に数え上げる。 (2) は漸化式の立式であるが、$n$ 回目の状態から $n+1$ 回目に「1」となるための条件(掛け合わせる数)を逆算する。 (3) および (4) は、漸化式を解くのではなく、「積の一の位が特定のグループに属する条件」を素因数(2 や 5)の観点から言い換えることで、直接確率を求めるアプローチをとる。

解法1

(1)

さいころを2回投げたときの目の出方は $6 \times 6 = 36$ 通りであり、これらは同様に確からしい。

目の積の一の位が 0 となるのは、積が 10, 20, 30 となるときである。 積が10となる目の出方は $(2, 5), (5, 2)$ の2通り。 積が20となる目の出方は $(4, 5), (5, 4)$ の2通り。 積が30となる目の出方は $(5, 6), (6, 5)$ の2通り。 よって、積の一の位が 0 となる確率は、

$$ p_2(0) = \frac{2+2+2}{36} = \frac{1}{6} $$

目の積の一の位が 1 となるのは、積が 1 になるとき、すなわち目の組み合わせが $(1, 1)$ のときのみである。 積が 11, 21, 31 になることはない。 よって、積の一の位が 1 となる確率は、

$$ p_2(1) = \frac{1}{36} $$

目の積の一の位が 2 となるのは、積が 2, 12 となるときである。 積が 2 となる目の出方は $(1, 2), (2, 1)$ の2通り。 積が 12 となる目の出方は $(2, 6), (6, 2), (3, 4), (4, 3)$ の4通り。 積が 22, 32 になることはない。 よって、積の一の位が 2 となる確率は、

$$ p_2(2) = \frac{2+4}{36} = \frac{6}{36} = \frac{1}{6} $$

(2)

$n$ 回目までの目の積の一の位を $X_n$、$n+1$ 回目に出る目を $Y$ とする。 $n+1$ 回目までの目の積の一の位 $X_{n+1}$ は、$X_n \times Y$ の一の位に等しい。

$X_{n+1} = 1$ となる条件を考える。 $Y \in \{1, 2, 3, 4, 5, 6\}$ であり、$X_{n+1}$ が奇数となるためには、$X_n$ と $Y$ はともに奇数でなければならない。 また、$Y=5$ のとき、積の一の位は必ず 5 になるため不適である。 ゆえに、$Y \in \{1, 3\}$ に絞られる。

($Y=1$ の場合) $X_n \times 1$ の一の位が 1 となるため、$X_n = 1$ である必要がある。

($Y=3$ の場合) $X_n \times 3$ の一の位が 1 となるため、$X_n = 7$ である必要がある。

これら2つの場合は互いに排反である。 したがって、$n+1$ 回目の積の一の位が 1 となるのは、以下のいずれかの場合である。 ・$n$ 回目までの積の一の位が 1 であり、$n+1$ 回目に 1 の目が出る。 ・$n$ 回目までの積の一の位が 7 であり、$n+1$ 回目に 3 の目が出る。

これより、次の漸化式が成り立つ。

$$ p_{n+1}(1) = p_n(1) \times \frac{1}{6} + p_n(7) \times \frac{1}{6} $$

よって、

$$ p_{n+1}(1) = \frac{1}{6} \{ p_n(1) + p_n(7) \} $$

(3)

$p_n(1) + p_n(3) + p_n(7) + p_n(9)$ は、$n$ 回目までの目の積の一の位が $1, 3, 7, 9$ のいずれかになる確率である。 これらの数はすべて奇数であり、かつ 5 ではない。 目の積の一の位が奇数かつ 5 でないことと、積の素因数に 2 および 5 が含まれないことは同値である。

すなわち、$n$ 回の試行において、1回も偶数 $(2, 4, 6)$ の目が出ず、かつ 5 の目が出ない場合である。 この条件を満たすさいころの目は $1, 3$ のみである。 したがって、$n$ 回すべてにおいて 1 または 3 の目が出ればよく、1回の試行で 1 または 3 の目が出る確率は $\frac{2}{6} = \frac{1}{3}$ である。 求める確率は $n$ 回連続してこの事象が起こる確率であるから、

$$ p_n(1) + p_n(3) + p_n(7) + p_n(9) = \left( \frac{1}{3} \right)^n $$

(4)

$p_n(5)$ は、$n$ 回目までの目の積の一の位が 5 になる確率である。 積の一の位が 5 になることは、積が奇数であり、かつ 5 の倍数であることと同値である。 すなわち、$n$ 回の試行において、偶数の目が1回も出ず、かつ 5 の目が少なくとも1回は出る場合である。

「偶数の目が1回も出ない(すべての目が奇数である)」事象を $A$、「5の目が1回も出ない」事象を $B$ とすると、求める確率は $P(A \cap \overline{B})$ である。

事象 $A$ はすべて奇数の目 $(1, 3, 5)$ が出る事象であり、その確率は、

$$ P(A) = \left( \frac{3}{6} \right)^n = \left( \frac{1}{2} \right)^n $$

事象 $A \cap B$ はすべて 1 または 3 の目が出る事象であり、その確率は、

$$ P(A \cap B) = \left( \frac{2}{6} \right)^n = \left( \frac{1}{3} \right)^n $$

事象 $A \cap B$ は事象 $A$ に含まれる($A \cap B \subset A$)ため、求める確率は、

$$ P(A \cap \overline{B}) = P(A) - P(A \cap B) $$

よって、

$$ p_n(5) = \left( \frac{1}{2} \right)^n - \left( \frac{1}{3} \right)^n $$

解説

確率の推移を扱う問題であるが、(3)(4)では漸化式を解くのではなく、「積の性質」から出目の条件を絞り込む方針が有効である。 「一の位が $1, 3, 7, 9$ になる=素因数に2も5も持たない」「一の位が $5$ になる=素因数に2を持たず、5を持つ」といった整数の基本性質に帰着させることで、複雑な計算を回避できる。 また、(4)における「少なくとも1回」という条件に対しては、補事象や集合の考え方(全体から条件を満たさないものを引く)を用いるのが定石である。

答え

(1) $$ p_2(0) = \frac{1}{6}, \quad p_2(1) = \frac{1}{36}, \quad p_2(2) = \frac{1}{6} $$

(2) $$ p_{n+1}(1) = \frac{1}{6} \{ p_n(1) + p_n(7) \} $$

(3) $$ p_n(1) + p_n(3) + p_n(7) + p_n(9) = \left( \frac{1}{3} \right)^n $$

(4) $$ p_n(5) = \left( \frac{1}{2} \right)^n - \left( \frac{1}{3} \right)^n $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。