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名古屋大学 1975年 文系 第4問 解説

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名古屋大学 1975年 文系 第4問 解説

方針・初手

(1) は2次方程式の実数解の配置問題である。関数 $f(x) = x^2 - 2ax + b$ とおき、$x=0$ や $x=1$ における関数の値の符号を調べることで、解の存在範囲を特定する。

(2) は2次方程式の解の累乗の和に関する問題である。解と係数の関係と、2根 $\alpha, \beta$ が方程式を満たすことから導かれる漸化式 $S_{n+2} = 2aS_{n+1} - bS_k$ を利用して、数学的帰納法で証明する。

解法1

(1)

$f(x) = x^2 - 2ax + b$ とおく。

条件 $0 < b < 2a - 1$ より、$b > 0$ かつ $2a - 1 - b > 0$ である。

$x = 0, 1$ における $f(x)$ の値を調べると、

$$ f(0) = b > 0 $$

$$ f(1) = 1 - 2a + b = -(2a - 1 - b) < 0 $$

となる。

関数 $f(x)$ は連続であり、$f(0) > 0$ かつ $f(1) < 0$ であるから、中間値の定理より、方程式 $f(x) = 0$ は $0 < x < 1$ の範囲に少なくとも1つの実数解をもつ。

$f(x) = 0$ は2次方程式であるから、実数解は高々2個である。

さらに、関数 $y = f(x)$ のグラフは下に凸な放物線であり、$f(1) < 0$ であるから、$x > 1$ の範囲で必ず $x$ 軸と交わる。すなわち、$x > 1$ の範囲にも実数解をもつ。

以上より、2次方程式 $x^2 - 2ax + b = 0$ は相異なる2実根をもち、一方は0と1の間にあって、他方は1より大きいことが示された。

(2)

$a, b$ を正の整数とする。2根を $\alpha, \beta$ とし、$n$ 乗の和を $S_n = \alpha^n + \beta^n$ とおく。

解と係数の関係より、

$$ \alpha + \beta = 2a $$

$$ \alpha \beta = b $$

である。

$\alpha, \beta$ は $x^2 - 2ax + b = 0$ の解であるから、

$$ \alpha^2 - 2a\alpha + b = 0 $$

$$ \beta^2 - 2a\beta + b = 0 $$

が成り立つ。これらの中辺にそれぞれ $\alpha^k, \beta^k$ ($k$ は正の整数) を掛けると、

$$ \alpha^{k+2} - 2a\alpha^{k+1} + b\alpha^k = 0 $$

$$ \beta^{k+2} - 2a\beta^{k+1} + b\beta^k = 0 $$

辺々を足し合わせると、

$$ (\alpha^{k+2} + \beta^{k+2}) - 2a(\alpha^{k+1} + \beta^{k+1}) + b(\alpha^k + \beta^k) = 0 $$

すなわち、

$$ S_{k+2} - 2aS_{k+1} + bS_k = 0 $$

$$ S_{k+2} = 2aS_{k+1} - bS_k $$

という漸化式が得られる。

すべての正の整数 $n$ について、$S_n$ が偶数であることを数学的帰納法で証明する。

(i) $n=1, 2$ のとき

$$ S_1 = \alpha + \beta = 2a $$

$a$ は正の整数であるから、$S_1$ は偶数である。

$$ S_2 = \alpha^2 + \beta^2 = (\alpha + \beta)^2 - 2\alpha\beta = (2a)^2 - 2b = 2(2a^2 - b) $$

$a, b$ は正の整数であるから、$2a^2 - b$ は整数であり、$S_2$ も偶数である。

よって、$n=1, 2$ のときは成り立つ。

(ii) $n=k, k+1$ ($k$ は正の整数) のとき成り立つと仮定する。

すなわち、$S_k, S_{k+1}$ がともに偶数であると仮定し、$S_k = 2M, S_{k+1} = 2N$ ($M, N$ は整数) とおく。

このとき、$n=k+2$ について考えると、漸化式より

$$ S_{k+2} = 2aS_{k+1} - bS_k = 2a(2N) - b(2M) = 2(2aN - bM) $$

となる。$a, b, M, N$ は整数であるから、$2aN - bM$ も整数である。

したがって、$S_{k+2}$ は偶数となり、$n=k+2$ のときも成り立つ。

(i), (ii) より、すべての正の整数 $n$ に対して、2根の $n$ 乗の和 $S_n$ は偶数であることが示された。

解説

(1) はグラフの上下を考える典型的な解の配置問題である。判別式や軸の位置をわざわざ調べる必要はなく、端点 $x=0, 1$ における $y$ 座標の符号のみでグラフの形状が決定できることに気付けるかがポイントとなる。

(2) は「対称式の累乗の和は漸化式を作って帰納法」という定石を用いる。$S_{n+2} = pS_{n+1} + qS_n$ の形を導出することは、入試数学における頻出テーマである。帰納法の仮定を $n=k$ だけでなく $n=k, k+1$ の2つに設定する「隣接3項間の漸化式における帰納法」の書き方をマスターしておきたい。

答え

(1) 題意の通り証明された。($f(0) > 0$ かつ $f(1) < 0$ より示される)

(2) 題意の通り証明された。($S_{k+2} = 2aS_{k+1} - bS_k$ を用いた数学的帰納法により示される)

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