名古屋大学 1979年 文系 第4問 解説

方針・初手
定積分を計算して対数の不等式を導き、対数の性質から真数の不等式へ変換する。得られた自然数間の不等式に対して、$p=1$ の場合を検証し、整数の離散性(連続する整数の間に整数は存在しないこと)を利用して $p$ と $q$ の条件を絞り込む。
解法1
与えられた不等式の各辺の定積分を計算する。
$$ \int_1^n \frac{1}{x} dx = \big[ \log x \big]_1^n = \log n $$
$$ \int_p^q \frac{1}{x} dx = \big[ \log x \big]_p^q = \log q - \log p = \log \frac{q}{p} $$
$$ \int_1^{n+1} \frac{1}{x} dx = \big[ \log x \big]_1^{n+1} = \log (n+1) $$
これらを与えられた不等式に代入すると、以下のようになる。
$$ \log n < \log \frac{q}{p} < \log (n+1) $$
底は $e$ であり $e > 1$ であるから、関数 $\log x$ は単調増加である。したがって、真数の大小関係はそのまま保たれ、次の不等式を得る。
$$ n < \frac{q}{p} < n+1 $$
$p$ は自然数であるから $p > 0$ である。各辺に $p$ を掛けると、以下のようになる。
$$ np < q < p(n+1) $$
ここで、$p = 1$ と仮定する。このとき、上の不等式は次のようになる。
$$ n < q < n+1 $$
$n$ は自然数であるから、$n$ と $n+1$ は連続する整数である。連続する整数の間に存在する整数(自然数)$q$ は存在しないため、これは $q$ が自然数であるという条件に矛盾する。
$p$ は自然数であるから、$p \neq 1$ より、以下が成り立つ。
$$ p \ge 2 $$
次に、不等式の左側の部分 $np < q$ について考える。$n$ は自然数($n \ge 1$)であり、上で示した $p \ge 2$ を用いると、以下が成り立つ。
$$ np \ge n \cdot 2 = 2n $$
これと $np < q$ を合わせると、次の不等式が得られる。
$$ 2n \le np < q $$
すなわち $q > 2n$ である。
$q$ は自然数であり、$2n$ も自然数(整数)である。$q > 2n$ を満たす整数 $q$ は $2n+1$ 以上でなければならないため、以下が成り立つ。
$$ q \ge 2n+1 $$
以上により、$p \ge 2$ および $q \ge 2n+1$ であることが証明された。
解説
積分計算自体は基本的な対数関数の導出である。積分を実行した後は、「自然数(整数)の性質」を利用する整数問題へと帰着される。
整数問題において、$a < x < b$ のような不等式が現れた際、$x$ が整数であるという条件から、$x \le b-1$ や $x \ge a+1$ といったように評価を強める手法は非常に重要である。本問では、$p=1$ のときに $n < q < n+1$ となり解が存在しなくなることに気づけるかどうかが最初の関門となる。
答え
定積分を計算して得られる不等式 $np < q < p(n+1)$ において、$n, p, q$ が自然数であるという条件を用いる。$p=1$ と仮定すると $n < q < n+1$ となり、これを満たす自然数 $q$ が存在せず矛盾するため $p \ge 2$ が示される。さらに不等式の左側から $q > np \ge 2n$ となり、$q$ が整数であることから $q \ge 2n+1$ となることが証明された。
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