名古屋大学 2002年 理系 第4問 解説

方針・初手
与えられた連立方程式 $x^a = y^b = z^c = xyz$ に対して、この等しい値を $K$ とおき、$x, y, z$ を $K$ の累乗として表すことで、変数 $a, b, c$ の関係式を導きます。底となる $K$ が $1$ ではない正の実数であることを確認したうえで指数の比較を行い、$\frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} = 1$ という典型的な単位分数の不定方程式に帰着させます。
解法1
関係式 $x^a = y^b = z^c = xyz$ の等しい値を $K$ とおく。
$x, y, z$ は $1$ とは異なる正の実数であり、$a, b, c$ は正の整数であるから、$K$ は $1$ とは異なる正の実数となる。
$$ x^a = K, \quad y^b = K, \quad z^c = K $$
より、$x, y, z$ はそれぞれ以下のように表せる。
$$ x = K^{\frac{1}{a}}, \quad y = K^{\frac{1}{b}}, \quad z = K^{\frac{1}{c}} $$
これらを $xyz = K$ に代入すると、
$$ K^{\frac{1}{a}} \cdot K^{\frac{1}{b}} \cdot K^{\frac{1}{c}} = K $$
$$ K^{\frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c}} = K^1 $$
$K$ は $1$ とは異なる正の実数であるから、両辺の指数を比較して以下の式を得る。
$$ \frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} = 1 $$
条件 $a \leqq b \leqq c$ より、$\frac{1}{a} \geqq \frac{1}{b} \geqq \frac{1}{c} > 0$ であるから、
$$ 1 = \frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} \leqq \frac{1}{a} + \frac{1}{a} + \frac{1}{a} = \frac{3}{a} $$
したがって、$a \leqq 3$ を得る。$a$ は正の整数であるから、$a = 1, 2, 3$ のいずれかである。
(i) $a = 1$ のとき
$$ 1 + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} = 1 $$
$$ \frac{1}{b} + \frac{1}{c} = 0 $$
$b, c$ は正の整数であるため、この等式を満たす組 $(b, c)$ は存在しない。
(ii) $a = 2$ のとき
$$ \frac{1}{2} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} = 1 $$
$$ \frac{1}{b} + \frac{1}{c} = \frac{1}{2} $$
$b \leqq c$ より $\frac{1}{b} \geqq \frac{1}{c}$ であるから、
$$ \frac{1}{2} = \frac{1}{b} + \frac{1}{c} \leqq \frac{1}{b} + \frac{1}{b} = \frac{2}{b} $$
これより $b \leqq 4$ となる。また、$b \geqq a = 2$ であるが、$b=2$ とすると $\frac{1}{c} = 0$ となり不適であるため、$b = 3, 4$ に絞られる。
- $b = 3$ のとき、$\frac{1}{c} = \frac{1}{2} - \frac{1}{3} = \frac{1}{6}$ より $c = 6$。これは $b \leqq c$ を満たす。
- $b = 4$ のとき、$\frac{1}{c} = \frac{1}{2} - \frac{1}{4} = \frac{1}{4}$ より $c = 4$。これは $b \leqq c$ を満たす。
(iii) $a = 3$ のとき
$$ \frac{1}{3} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} = 1 $$
$$ \frac{1}{b} + \frac{1}{c} = \frac{2}{3} $$
$b \leqq c$ より $\frac{1}{b} \geqq \frac{1}{c}$ であるから、
$$ \frac{2}{3} = \frac{1}{b} + \frac{1}{c} \leqq \frac{1}{b} + \frac{1}{b} = \frac{2}{b} $$
これより $b \leqq 3$ となる。また、$b \geqq a = 3$ であるから、$b = 3$ である。
$b = 3$ のとき、$\frac{1}{c} = \frac{2}{3} - \frac{1}{3} = \frac{1}{3}$ より $c = 3$。これは $b \leqq c$ を満たす。
以上より、関係式を導くことができる $(a, b, c)$ の候補は以下の3組である。
$$ (a, b, c) = (2, 3, 6), (2, 4, 4), (3, 3, 3) $$
十分性の確認
逆に、これらの組 $(a, b, c)$ に対しては $\frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} = 1$ が成り立つ。
ここで $K$ を $1$ とは異なる任意の正の実数とし、$x = K^{\frac{1}{a}}, y = K^{\frac{1}{b}}, z = K^{\frac{1}{c}}$ とおくと、$x, y, z$ はいずれも $1$ とは異なる正の実数となる。このとき、
$$ x^a = K, \quad y^b = K, \quad z^c = K $$
であり、同時に
$$ xyz = K^{\frac{1}{a}} \cdot K^{\frac{1}{b}} \cdot K^{\frac{1}{c}} = K^{\frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c}} = K^1 = K $$
となるため、$x^a = y^b = z^c = xyz$ を満たす $1$ とは異なる正の実数の組 $(x, y, z)$ が少なくとも1組(実際には無数に)存在する。
したがって、求めた候補はすべて題意を満たす。
解説
指数を含む連立方程式から整数問題へ帰着させる総合的な問題です。各辺の値を文字でおき、指数法則を用いるか、あるいは各辺の自然対数をとることで $\frac{1}{a} + \frac{1}{b} + \frac{1}{c} = 1$ という式を導くのが最大のポイントです。
導かれた不定方程式は、分数の和が $1$ になる整数の組を求める典型問題(エジプト分数の問題)です。大小関係 $a \leqq b \leqq c$ を利用して、もっとも影響力の大きい(値が大きくなる) $\frac{1}{a}$ を不等式で評価し、変数のとりうる範囲を絞り込む手法は頻出ですので確実にマスターしておきましょう。
また、本問は「~が存在するような」という条件であるため、必要条件として候補を絞ったあと、実際にそのような $(x, y, z)$ が構成できること(十分性)を最後に言及する必要があります。
答え
$$ (a, b, c) = (2, 3, 6), \ (2, 4, 4), \ (3, 3, 3) $$
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