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名古屋大学 1985年 文系 第3問 解説

数学C/式と曲線数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域
名古屋大学 1985年 文系 第3問 解説

方針・初手

定点 $A$ を通る直線 $l$ の方程式を設定し、だ円の式と連立して交点 $P, Q$ の中点 $M$ の座標を求めるのが基本方針である。 具体的な解法としては、直線 $l$ の傾きを文字でおき、連立方程式の解と係数の関係を利用して $M$ の座標を媒介変数で表す方法(解法1)と、だ円上の2点から直線の傾きと中点の関係式を直接導く方法(解法2)がある。

解法1

定点 $A(a,0)$ を通る直線 $l$ が $y$ 軸に平行でないとき、その方程式は傾きを $m$ として以下のように表せる。

$$ y = m(x-a) $$

これをだ円の方程式 $\frac{x^2}{4} + y^2 = 1$ に代入して整理する。

$$ x^2 + 4m^2(x-a)^2 = 4 $$

$$ (1+4m^2)x^2 - 8m^2ax + 4m^2a^2 - 4 = 0 $$

ここで、$0 < a < 2$ であるため、定点 $A(a,0)$ はだ円 $\frac{x^2}{4} + y^2 = 1$ の内部にある。したがって、直線 $l$ は必ずだ円と異なる2点で交わる。 交点 $P, Q$ の $x$ 座標をそれぞれ $\alpha, \beta$ とすると、2次方程式の解と係数の関係より以下の式が成り立つ。

$$ \alpha + \beta = \frac{8m^2a}{1+4m^2} $$

線分 $PQ$ の中点 $M$ の座標を $(X,Y)$ とすると、$X$ は次のように求まる。

$$ X = \frac{\alpha+\beta}{2} = \frac{4m^2a}{1+4m^2} \quad \cdots (1) $$

また、点 $M$ は直線 $y = m(x-a)$ 上にあるため、$Y$ は次のようになる。

$$ Y = m(X-a) = m\left(\frac{4m^2a}{1+4m^2} - a\right) = \frac{-ma}{1+4m^2} \quad \cdots (2) $$

(1), (2) より媒介変数 $m$ を消去して $X$ と $Y$ の関係式を求める。

$$ X = -4m \cdot \frac{-ma}{1+4m^2} = -4mY $$

$Y=0$ のとき、この式から $X=0$ となるが、これは (1), (2) に $m=0$ を代入した結果と一致する。 $Y \neq 0$ のとき、$m = -\frac{X}{4Y}$ となり、これを $Y = m(X-a)$ に代入する。

$$ Y = -\frac{X}{4Y}(X-a) $$

$$ 4Y^2 = -X^2 + aX $$

$$ X^2 - aX + 4Y^2 = 0 $$

平方完成して整理すると、以下のようになる。

$$ \left(X - \frac{a}{2}\right)^2 + 4Y^2 = \frac{a^2}{4} \quad \cdots (3) $$

$m$ がすべての実数値をとって変化するとき、点 $M$ は $Y \neq 0$ においてこの方程式を満たす曲線を描く。 また、直線 $l$ が $y$ 軸に平行($x$ 軸に垂直)なとき、直線の方程式は $x = a$ である。このとき、だ円との交点 $P, Q$ の $y$ 座標は符号が逆で絶対値が等しいため、中点 $M$ は $(a,0)$ となる。 $(X,Y) = (a,0)$ は (3) の方程式を満たす。また $(X,Y) = (0,0)$ のときも (3) は満たされる。 したがって、点 $M$ は(3)が表す図形全体を描く。

解法2

交点 $P, Q$ の座標をそれぞれ $(x_1, y_1), (x_2, y_2)$ とし、線分 $PQ$ の中点 $M$ を $(X,Y)$ とする。 $P, Q$ はだ円 $\frac{x^2}{4} + y^2 = 1$ 上にあるから、以下の関係が成り立つ。

$$ x_1^2 + 4y_1^2 = 4 \quad \cdots (1) $$

$$ x_2^2 + 4y_2^2 = 4 \quad \cdots (2) $$

(1) から (2) を辺々引いて因数分解する。

$$ (x_1^2 - x_2^2) + 4(y_1^2 - y_2^2) = 0 $$

$$ (x_1 - x_2)(x_1 + x_2) + 4(y_1 - y_2)(y_1 + y_2) = 0 \quad \cdots (3) $$

点 $M(X,Y)$ は $PQ$ の中点であるから、以下が成り立つ。

$$ X = \frac{x_1 + x_2}{2}, \quad Y = \frac{y_1 + y_2}{2} $$

これを (3) に代入すると、次の式を得る。

$$ 2X(x_1 - x_2) + 8Y(y_1 - y_2) = 0 $$

$$ X(x_1 - x_2) + 4Y(y_1 - y_2) = 0 \quad \cdots (4) $$

(i) $x_1 \neq x_2$ のとき 直線 $l$ は $y$ 軸に平行ではない。また、$0 < a < 2$ より定点 $A$ はだ円の内部にあるため、弦の中点 $M$ が $A$ と一致することはなく $X \neq a$ である。 直線 $l$ の傾きを $m$ とすると、$m = \frac{y_1 - y_2}{x_1 - x_2}$ である。(4) の両辺を $x_1 - x_2$ で割る。

$$ X + 4Y \cdot \frac{y_1 - y_2}{x_1 - x_2} = 0 $$

$$ X + 4Ym = 0 \quad \cdots (5) $$

また、点 $M(X,Y)$ は点 $A(a,0)$ を通る直線 $l$ 上にあるから、その傾き $m$ は $m = \frac{Y}{X-a}$ と表せる。これを (5) に代入する。

$$ X + 4Y \cdot \frac{Y}{X-a} = 0 $$

両辺に $X-a$ を掛けて整理する。

$$ X(X-a) + 4Y^2 = 0 $$

$$ X^2 - aX + 4Y^2 = 0 $$

(ii) $x_1 = x_2$ のとき 直線 $l$ は $x$ 軸に垂直な直線 $x=a$ となり、だ円の対称性から交点 $P, Q$ の中点 $M$ の座標は $(a,0)$ となる。 これは $X=a, Y=0$ であり、$X^2 - aX + 4Y^2 = 0$ を満たす。

以上から、任意の直線 $l$ に対して点 $M(X,Y)$ は以下の式を満たす。

$$ \left(X - \frac{a}{2}\right)^2 + 4Y^2 = \frac{a^2}{4} $$

$l$ が定点 $A$ を中心にすべての方向へ動くとき、点 $M$ はこの方程式が表す図形全体を過不足なく描く。

解説

2次曲線における弦の中点の軌跡を求める典型的な問題である。 解法1は、直線を文字でおいて連立方程式を作成し、解と係数の関係を利用して中点の座標を媒介変数表示にする王道の手法である。計算を進めれば確実に解に辿り着けるが、媒介変数の消去において、分母が0になる場合($Y=0$ のとき)などの除外点・極限の扱いに注意が必要となる。 解法2は、2次曲線上の2点の座標を設定し、方程式の辺々の差をとることで「中点の座標」と「弦の傾き」の関係を導き出す手法である。この手法を用いると、複雑な解と係数の関係や媒介変数の消去を避けることができ、計算量を大幅に減らすことができる。2次曲線の弦の中点が絡む問題において非常に有効なテクニックである。

答え

だ円 $\left(x - \frac{a}{2}\right)^2 + 4y^2 = \frac{a^2}{4}$

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