名古屋大学 1985年 文系 第2問 解説

方針・初手
「少なくとも1回」というキーワードから、余事象を利用して確率の式を立てる。確率の条件から $m$ と $n$ を含む不等式を導き、両辺の常用対数をとることで $\frac{n}{m}$ について解いていく。
解法1
サイコロを1回投げて偶数の目が出る確率と奇数の目が出る確率はともに $\frac{1}{2}$ である。 $m$ 回投げたとき、すべて奇数の目が出る確率は $\left(\frac{1}{2}\right)^m$ となるため、少なくとも1回偶数の目が出る確率 $p$ は、余事象の確率より以下のように表される。
$$ p = 1 - \left(\frac{1}{2}\right)^m $$
また、サイコロを1回投げて6の目が出ない確率は $\frac{5}{6}$ である。 $n$ 回投げたとき、6の目が少なくとも1回出る確率は、余事象の確率より以下のようになる。
$$ 1 - \left(\frac{5}{6}\right)^n $$
この確率が $p$ 以上になるための条件は、次の不等式で表される。
$$ 1 - \left(\frac{5}{6}\right)^n \geqq p $$
先ほど求めた $p$ の式を代入して整理する。
$$ 1 - \left(\frac{5}{6}\right)^n \geqq 1 - \left(\frac{1}{2}\right)^m $$
$$ \left(\frac{5}{6}\right)^n \leqq \left(\frac{1}{2}\right)^m $$
両辺の常用対数をとる。底の $10$ は $1$ より大きいので不等号の向きは変わらない。
$$ \log_{10} \left(\frac{5}{6}\right)^n \leqq \log_{10} \left(\frac{1}{2}\right)^m $$
$$ n (\log_{10} 5 - \log_{10} 6) \leqq -m \log_{10} 2 $$
ここで、与えられた値を用いて左辺の対数を計算する。
$$ \log_{10} 5 = \log_{10} \frac{10}{2} = 1 - \log_{10} 2 = 1 - 0.3010 = 0.6990 $$
$$ \log_{10} 6 = \log_{10} (2 \times 3) = \log_{10} 2 + \log_{10} 3 = 0.3010 + 0.4771 = 0.7781 $$
したがって、左辺の括弧の中身は次のようになる。
$$ \log_{10} 5 - \log_{10} 6 = 0.6990 - 0.7781 = -0.0791 $$
これを元の不等式に代入する。
$$ -0.0791 n \leqq -0.3010 m $$
サイコロを投げる回数 $m$ は自然数であり正の値である。両辺を正の数 $m$ と負の数 $-0.0791$ で割る。負の数で割るため不等号の向きが変わることに注意する。
$$ \frac{n}{m} \geqq \frac{-0.3010}{-0.0791} $$
$$ \frac{n}{m} \geqq \frac{3010}{791} $$
右辺の分数を計算する。
$$ \frac{3010}{791} = 3.8053\dots $$
問題の指示に従い、答の中の数値を小数第2位で四捨五入する。小数第2位は $0$ なので切り捨てとなり、$3.8$ を得る。
したがって、不等式は次のようになる。
$$ \frac{n}{m} \geqq 3.8 $$
解説
「少なくとも1回〜」の確率を求める定石として、余事象の確率を利用して立式する典型的な問題である。 指数部分に変数を持つ不等式を解くために、両辺の対数をとるという流れも標準的である。$\log_{10} 5 = 1 - \log_{10} 2$ の変形は頻出であるため、すぐに引き出せるようにしておくこと。また、不等式を負の数で割るときに不等号の向きが反転する点に注意したい。
答え
$3.8$ 以上にとる。
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











