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名古屋大学 1990年 文系 第2問 解説

旧課程/行列・一次変換数学C/式と曲線数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/整式の証明
名古屋大学 1990年 文系 第2問 解説

方針・初手

与えられた1次変換の行列を $A$ とし、移動前の直線上にある点 $(X, Y)$ と、移動後の点 $(x, y)$ の関係式を立てます。変換の式から $X, Y$ を $x, y$ で表し、それを元の直線の方程式に代入することで、移動後の直線 $l$ の方程式を求めます。 (1) は、直線 $l$ と円が交わる条件(円の中心と直線との距離 $d$ が半径 $r$ 以下)を立式し、点 $(p, q)$ の満たす不等式を導いて図示します。 (2) は、直線 $l$ が円に接する(中心との距離が半径と等しい)条件を利用し、接点における円の接線の方程式と直線 $l$ の係数を比較することで接点を求めます。

解法1

(1)

1次変換を表す行列を $A = \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ -2 & 1 \end{pmatrix}$ とする。 直線 $y = px + q$ 上の任意の点を $(X, Y)$ とし、これが1次変換によって点 $(x, y)$ に移るとすると、以下の関係が成り立つ。

$$ \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ -2 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} X \\ Y \end{pmatrix} $$

両辺に左から逆行列を掛けると、

$$ \begin{pmatrix} X \\ Y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ -2 & 1 \end{pmatrix}^{-1} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 2 & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} x \\ 2x + y \end{pmatrix} $$

これより、$X = x, Y = 2x + y$ を得る。 点 $(X, Y)$ は直線 $Y = pX + q$ 上にあるので、代入すると、

$$ 2x + y = px + q $$

整理すると、移された直線 $l$ の方程式は以下のように求まる。

$$ y = (p - 2)x + q $$

一般形に直すと、

$$ (p - 2)x - y + q = 0 $$

直線 $l$ が単位円 $C: x^2 + y^2 = 1$ と交わるための条件は、円 $C$ の中心 $(0, 0)$ と直線 $l$ との距離 $d$ が、円の半径 $1$ 以下となることである。 点と直線の距離の公式より、

$$ \frac{|q|}{\sqrt{(p - 2)^2 + (-1)^2}} \leqq 1 $$

分母を払って両辺を2乗すると、

$$ q^2 \leqq (p - 2)^2 + 1 $$

$$ q^2 - (p - 2)^2 \leqq 1 $$

点 $(p, q)$ の動く範囲は、上式を満たす領域である。 境界となる図形は双曲線 $q^2 - (p - 2)^2 = 1$ であり、その中心は $(2, 0)$、漸近線は $q = \pm(p - 2)$、頂点は $(2, 1)$ と $(2, -1)$ である。 領域は $p = 2$ のとき $q^2 \leqq 1 \iff -1 \leqq q \leqq 1$ を満たすことから、上下に開く双曲線の「間」の領域($p$ 軸を含む側)となる。

(2)

直線 $l$ が円 $C$ に接するとき、(1) の不等式において等号が成立する。すなわち、

$$ q^2 = (p - 2)^2 + 1 $$

が成り立つ。このとき $q^2 \geqq 1$ であるから $q \neq 0$ である。 接点を $(x_1, y_1)$ とおくと、この点における円 $C$ の接線の方程式は、

$$ x_1 x + y_1 y = 1 $$

となる。一方、この接線は直線 $l$ に他ならない。直線 $l$ の方程式 $(p - 2)x - y + q = 0$ を変形すると、

$$ (2 - p)x + y = q $$

$q \neq 0$ より両辺を $q$ で割ると、

$$ \frac{2 - p}{q} x + \frac{1}{q} y = 1 $$

これが $x_1 x + y_1 y = 1$ と一致するので、各係数を比較して、

$$ x_1 = \frac{2 - p}{q}, \quad y_1 = \frac{1}{q} $$

したがって、求める接点は $\left( \frac{2 - p}{q}, \frac{1}{q} \right)$ である。

解法2

(2) について

接点の座標を、円の中心から直線 $l$ に下ろした垂線の足として直接求めることもできる。 直線 $l: (p - 2)x - y + q = 0$ に垂直で、原点 $(0, 0)$ を通る直線 $m$ の方程式は、

$$ x + (p - 2)y = 0 $$

すなわち、$x = -(p - 2)y$ である。 直線 $l$ と直線 $m$ の交点が接点となる。これを $l$ の方程式に代入すると、

$$ (p - 2)\{-(p - 2)y\} - y + q = 0 $$

$$ -\{(p - 2)^2 + 1\}y + q = 0 $$

接する条件 $q^2 = (p - 2)^2 + 1$ を用いると、

$$ -q^2 y + q = 0 $$

$$ q(1 - qy) = 0 $$

$q^2 \geqq 1$ より $q \neq 0$ であるから、

$$ 1 - qy = 0 \iff y = \frac{1}{q} $$

このとき、$x$ 座標は直線 $m$ の式に代入して、

$$ x = -(p - 2)y = -\frac{p - 2}{q} = \frac{2 - p}{q} $$

よって、接点の座標は $\left( \frac{2 - p}{q}, \frac{1}{q} \right)$ と求まる。

解説

1次変換による図形の移動は、移動前と後の点の関係を逆行列を用いて導出し、元の図形の方程式に代入して新しい方程式を得るのが基本です。(1) は双曲線の不等式領域を図示する問題です。中心や漸近線、頂点の座標を明確にした上で、どの領域に該当するか(不等式の向き)を慎重に判断する必要があります。(2) では接点を求めるために、解法1のように「円上の点における接線の公式」を用いて係数比較に持ち込むのが、計算ミスを減らしやすく汎用性の高い有効な手法です。

答え

(1) 点 $(p, q)$ の範囲は、不等式 $q^2 - (p - 2)^2 \leqq 1$ が表す領域である。 図示すると、中心が $(2, 0)$、漸近線が $q = p - 2$ および $q = -p + 2$ であり、頂点が $(2, 1)$ および $(2, -1)$ である双曲線 $q^2 - (p - 2)^2 = 1$ によって挟まれた、点 $(2, 0)$ を含む側の領域となる。境界線を含む。

(2) $\left( \frac{2 - p}{q}, \frac{1}{q} \right)$

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