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東京大学 1996年 文系 第4問 解説

数学1/立体図形数学2/積分法テーマ/空間図形テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
東京大学 1996年 文系 第4問 解説

方針・初手

回転体の体積を求める定石に従い、回転軸である $z$ 軸に垂直な平面 $z = k$ で立体を切断したときの断面積を考える。 線分 $PQ$ 上の点と $z$ 軸との距離の2乗を $k$ を用いて表し、これを $k=0$ から $k=1$ の範囲で定積分することで体積 $V(a)$ を導出する。得られた $V(a)$ は $a$ の2次関数となるため、平方完成を用いて最小値を求める。

解法1

線分 $PQ$ と平面 $z = k \ (0 \leqq k \leqq 1)$ との交点を $R_k$ とする。 点 $P(1, 0, 1)$ の $z$ 座標は $1$、点 $Q(a, a+1, 0)$ の $z$ 座標は $0$ であるから、点 $R_k$ は線分 $PQ$ を $(1-k) : k$ に内分する点である。 したがって、点 $R_k$ の $x$ 座標、 $y$ 座標はそれぞれ

$$ \begin{aligned} x(k) &= k \cdot 1 + (1-k) \cdot a = a(1-k) + k \\ y(k) &= k \cdot 0 + (1-k) \cdot (a+1) = (a+1)(1-k) \end{aligned} $$

と表せる。 線分 $PQ$ を $z$ 軸のまわりに回転させるとき、点 $R_k$ は $z$ 軸を中心とする半径 $r(k) = \sqrt{\{x(k)\}^2 + \{y(k)\}^2}$ の円を描く。 求める立体は、この円板を $k=0$ から $k=1$ まで積み重ねたものであるから、その体積 $V(a)$ は次のように表される。

$$ V(a) = \int_0^1 \pi \{r(k)\}^2 dk = \pi \int_0^1 \left[ \{a(1-k) + k\}^2 + \{(a+1)(1-k)\}^2 \right] dk $$

ここで被積分関数を展開して整理すると、

$$ \begin{aligned} \{a(1-k) + k\}^2 + \{(a+1)(1-k)\}^2 &= a^2(1-k)^2 + 2ak(1-k) + k^2 + (a^2+2a+1)(1-k)^2 \\ &= (2a^2+2a+1)(1-k)^2 + 2ak(1-k) + k^2 \end{aligned} $$

となる。各項の $0$ から $1$ までの定積分は、

$$ \begin{aligned} \int_0^1 (1-k)^2 dk &= \left[ -\frac{1}{3}(1-k)^3 \right]_0^1 = \frac{1}{3} \\ \int_0^1 k(1-k) dk &= \int_0^1 (k - k^2) dk = \left[ \frac{1}{2}k^2 - \frac{1}{3}k^3 \right]_0^1 = \frac{1}{6} \\ \int_0^1 k^2 dk &= \left[ \frac{1}{3}k^3 \right]_0^1 = \frac{1}{3} \end{aligned} $$

であるから、これらを代入して $V(a)$ を計算する。

$$ \begin{aligned} V(a) &= \pi \left\{ (2a^2+2a+1) \cdot \frac{1}{3} + 2a \cdot \frac{1}{6} + \frac{1}{3} \right\} \\ &= \frac{\pi}{3} ( 2a^2 + 2a + 1 + a + 1 ) \\ &= \frac{\pi}{3} (2a^2 + 3a + 2) \end{aligned} $$

$a$ が実数全体を動くときの最小値を求めるため、括弧内を平方完成する。

$$ \begin{aligned} V(a) &= \frac{2\pi}{3} \left( a^2 + \frac{3}{2}a + 1 \right) \\ &= \frac{2\pi}{3} \left\{ \left( a + \frac{3}{4} \right)^2 - \frac{9}{16} + 1 \right\} \\ &= \frac{2\pi}{3} \left\{ \left( a + \frac{3}{4} \right)^2 + \frac{7}{16} \right\} \\ &= \frac{2\pi}{3} \left( a + \frac{3}{4} \right)^2 + \frac{7}{24}\pi \end{aligned} $$

したがって、$V(a)$ は $a = -\frac{3}{4}$ のとき、最小値 $\frac{7}{24}\pi$ をとる。

解法2

断面の円の面積 $S(k) = \pi [\{x(k)\}^2 + \{y(k)\}^2]$ は $k$ の2次式である。 一般に、2次以下の整式 $f(x)$ に対して、定積分に関する次の公式(シンプソンの公式)が成り立つ。

$$ \int_0^1 f(x) dx = \frac{1}{6} \left\{ f(0) + 4f\left(\frac{1}{2}\right) + f(1) \right\} $$

これを利用して $V(a) = \int_0^1 S(k) dk$ を求める。

(i)

$k=0$ のとき、点 $R_0$ は点 $Q(a, a+1, 0)$ に一致するため、

$$ S(0) = \pi \{ a^2 + (a+1)^2 \} = \pi(2a^2 + 2a + 1) $$

(ii)

$k=1$ のとき、点 $R_1$ は点 $P(1, 0, 1)$ に一致するため、

$$ S(1) = \pi (1^2 + 0^2) = \pi $$

(iii)

$k=\frac{1}{2}$ のとき、点 $R_{1/2}$ は線分 $PQ$ の中点であり、その座標は $\left( \frac{a+1}{2}, \frac{a+1}{2}, \frac{1}{2} \right)$ となるため、

$$ S\left(\frac{1}{2}\right) = \pi \left\{ \left(\frac{a+1}{2}\right)^2 + \left(\frac{a+1}{2}\right)^2 \right\} = \frac{\pi}{2}(a+1)^2 $$

公式にこれらを代入する。

$$ \begin{aligned} V(a) &= \frac{1}{6} \left\{ S(0) + 4S\left(\frac{1}{2}\right) + S(1) \right\} \\ &= \frac{\pi}{6} \left\{ (2a^2 + 2a + 1) + 4 \cdot \frac{1}{2}(a^2 + 2a + 1) + 1 \right\} \\ &= \frac{\pi}{6} (2a^2 + 2a + 1 + 2a^2 + 4a + 2 + 1) \\ &= \frac{\pi}{6} (4a^2 + 6a + 4) \\ &= \frac{\pi}{3} (2a^2 + 3a + 2) \end{aligned} $$

以降は解法1と同様に平方完成を行い、最小値を求める。

解説

空間図形の回転体の体積を求める標準的な問題である。回転軸が $z$ 軸であるため、$z = k$ という平面で切断し、断面の円の半径を求めるのが鉄則である。 定積分の計算においては、被積分関数をすべて展開してから積分してもよいが、解法1のように $(1-k)^2$ や $k(1-k)$ といった塊を残したまま積分公式を活用すると、計算ミスを減らしやすい。 また、被積分関数が2次式となることから、解法2で示したようにシンプソンの公式を利用すると計算量が大幅に軽減される。本番で一から公式を証明せずに記述で使うのはリスクがあるかもしれないが、見直しのための検算テクニックとしては非常に強力である。

答え

$a = -\frac{3}{4}$ のとき、最小値 $\frac{7}{24}\pi$

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