名古屋大学 1994年 文系 第3問 解説

方針・初手
赤が勝つのは、白が2回出るより先に赤が3回出る場合である。 試行は最大でも4回で終了することに着目する。したがって、赤が勝つのは「3回目に赤が3回目として出る」か「4回目に赤が3回目として出る」場合のいずれかである。 問題の条件(球を戻すか戻さないか)に応じて、各回の確率を正しく計算し、和をとる。
解法1
(1)
取り出した球を箱に戻さない場合。 赤が勝つのは、次の2つの場合である。
(i) 3回目で赤が勝つ場合
3回連続で赤球が出る確率である。
$$ \frac{3}{5} \times \frac{2}{4} \times \frac{1}{3} = \frac{1}{10} $$
(ii) 4回目で赤が勝つ場合
3回目までに赤球2個、白球1個が出て、4回目に赤球が出る確率である。 3回目までの色の出方は ${}_3\mathrm{C}_{1} = 3$ 通りあり、そのいずれも確率は等しい。 たとえば「赤・赤・白」の順に出る確率は $\frac{3}{5} \times \frac{2}{4} \times \frac{2}{3} = \frac{1}{5}$ であるから、
$$ 3 \times \frac{1}{5} \times \frac{1}{2} = \frac{3}{10} $$
(i), (ii) は互いに排反であるから、求める確率は
$$ \frac{1}{10} + \frac{3}{10} = \frac{2}{5} $$
(2)
取り出した球を常に戻す場合。 毎回、赤球が出る確率は $\frac{3}{5}$、白球が出る確率は $\frac{2}{5}$ であり、独立な反復試行となる。
(i) 3回目で赤が勝つ場合
3回連続で赤球が出る確率である。
$$ \left( \frac{3}{5} \right)^3 = \frac{27}{125} $$
(ii) 4回目で赤が勝つ場合
3回目までに赤球が2回、白球が1回出て、4回目に赤球が出る確率である。
$$ {}_3\mathrm{C}_{1} \left( \frac{3}{5} \right)^2 \left( \frac{2}{5} \right)^1 \times \frac{3}{5} = 3 \times \frac{9}{25} \times \frac{2}{5} \times \frac{3}{5} = \frac{162}{625} $$
(i), (ii) は互いに排反であるから、求める確率は
$$ \frac{27}{125} + \frac{162}{625} = \frac{135}{625} + \frac{162}{625} = \frac{297}{625} $$
(3)
取り出した球が赤なら戻し、白なら戻さない場合。 赤が勝つのは、3回目または4回目に赤球が3回目として出る場合である。
(i) 3回目で赤が勝つ場合
3回連続で赤球が出る確率である。毎回赤球は戻されるため、箱の中身は変わらない。
$$ \frac{3}{5} \times \frac{3}{5} \times \frac{3}{5} = \frac{27}{125} $$
(ii) 4回目で赤が勝つ場合
3回目までに赤球が2回、白球が1回出て、4回目に赤球が出る。 白球が出たタイミングで箱の中の球の総数が減るため、白球が出る順番によって確率が異なる。白球が出るのが1回目、2回目、3回目のそれぞれの場合に分けて計算する。
・「白・赤・赤・赤」の順に出る確率 1回目に白球が出た後は、箱の中は赤球3個、白球1個の計4個となる。
$$ \frac{2}{5} \times \frac{3}{4} \times \frac{3}{4} \times \frac{3}{4} = \frac{54}{320} = \frac{27}{160} $$
・「赤・白・赤・赤」の順に出る確率 2回目に白球が出た後、箱の中は計4個となる。
$$ \frac{3}{5} \times \frac{2}{5} \times \frac{3}{4} \times \frac{3}{4} = \frac{54}{400} = \frac{27}{200} $$
・「赤・赤・白・赤」の順に出る確率 3回目に白球が出た後、箱の中は計4個となる。
$$ \frac{3}{5} \times \frac{3}{5} \times \frac{2}{5} \times \frac{3}{4} = \frac{54}{500} = \frac{27}{250} $$
これらは互いに排反であるから、求める確率は
$$ \frac{27}{125} + \frac{27}{160} + \frac{27}{200} + \frac{27}{250} $$
分母を $4000$ で通分して計算する。
$$ \frac{27 \times 32}{4000} + \frac{27 \times 25}{4000} + \frac{27 \times 20}{4000} + \frac{27 \times 16}{4000} = \frac{27(32 + 25 + 20 + 16)}{4000} = \frac{27 \times 93}{4000} = \frac{2511}{4000} $$
解法2
(1)の別解
5個の球をすべて取り出して一列に並べると考える。 赤球3個、白球2個の並べ方の総数は ${}_5\mathrm{C}_{2} = 10$ 通りであり、これらは同様に確からしい。
赤が勝つのは、白球が2回出るよりも先に赤球が3回出る場合である。 これは、5回の試行をすべて行ったとしたとき、最後(5回目)に出る球が白球であることと同値である。 5回目が白球となるような並べ方は、5箇所から白球の場所を2箇所選ぶうち、一番右端が白球に固定されているものなので、残り4箇所からもう1つの白球の場所を選ぶ ${}_4\mathrm{C}_{1} = 4$ 通りである。
よって求める確率は
$$ \frac{4}{10} = \frac{2}{5} $$
解説
勝負が決まる条件を「どちらが先に規定回数に達するか」で整理する問題である。 ゲームは最大でも赤3回と白1回の合計4回目で決着がつくことに気づくのが第一歩となる。
(1)と(2)は典型的な非復元抽出と復元抽出の確率計算である。(1)は「すべて取り出す」とみなして組合せで解く視点を持つと、計算ミスを防ぎやすく見通しが良い。 (3)は事象が起こるたびに確率の分母(全事象の数)が変化する。順序を入れ替えても確率が等しくならないため、反復試行の公式は使えない。地道に樹形図の要領ですべてのパターンを書き出し、丁寧に足し合わせるのが確実である。
答え
(1) $$ \frac{2}{5} $$
(2) $$ \frac{297}{625} $$
(3) $$ \frac{2511}{4000} $$
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