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名古屋大学 2002年 文系 第3問 解説

数学C/平面ベクトル数学2/図形と式数学1/二次関数テーマ/軌跡・領域テーマ/最大・最小
名古屋大学 2002年 文系 第3問 解説

方針・初手

点 $A, B$ は曲線 $y = x^2$ 上にあるため、座標を $(a, a^2), (b, b^2)$ とおくことができます。 内積 $\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OB}$ を $a, b$ を用いて表すと、積 $ab$ のみの式になります。$ab$ を1つの変数とみて、2次関数の値域を求めるのが (1) の方針です。 (2) では、$\overrightarrow{OP} = \overrightarrow{OA} + \overrightarrow{OB}$ の成分を計算し、基本対称式 $a+b, ab$ を用いて点 $P$ の座標を表します。ここで、与えられた $t$ の値から $ab$ の値が定まるため、それを代入して軌跡の方程式を導きます。 その際、「$a, b$ が実数として存在する条件(判別式)」から、軌跡の定義域($X$ の範囲)に制限がかかることに注意が必要です。問題文の「2点 $A, B$」は通常「異なる2点」を意味するため、$a \neq b$ として扱います。

解法1

(1)

$A, B$ は曲線 $y = x^2$ 上の異なる2点であるから、$A(a, a^2), B(b, b^2)$ ($a \neq b$)とおく。 このとき、

$$ \overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OB} = a \cdot b + a^2 \cdot b^2 = ab + (ab)^2 $$

ここで、$ab = u$ とおくと、

$$ t = u^2 + u = \left( u + \frac{1}{2} \right)^2 - \frac{1}{4} $$

$a, b$ は、2次方程式 $x^2 - (a+b)x + u = 0$ の異なる2つの実数解である。 この方程式が異なる2つの実数解をもつための条件は、判別式を $D$ とすると、

$$ D = (a+b)^2 - 4u > 0 $$

となることである。 $a+b$ は任意の実数値をとりうるため、どのような実数 $u$ に対しても、$(a+b)^2 > 4u$ を満たすように $a+b$ を選ぶことができる。(たとえば $u \leqq 0$ のときは $a+b=0$、$u > 0$ のときは $a+b = 2\sqrt{u}+1$ とすればよい) よって、$u$ はすべての実数値をとりうる。 したがって、$t = u^2 + u$ のとりうる値の範囲は、

$$ t \geqq -\frac{1}{4} $$

(2)

$t=2$ のとき、(1) より

$$ u^2 + u = 2 $$

$$ (u+2)(u-1) = 0 $$

よって、$u = 1, -2$ である。

点 $P$ の座標を $(X, Y)$ とおく。 $\overrightarrow{OP} = \overrightarrow{OA} + \overrightarrow{OB} = (a+b, a^2+b^2)$ であるから、

$$ \begin{aligned} X &= a+b \\ Y &= a^2+b^2 = (a+b)^2 - 2ab = X^2 - 2u \end{aligned} $$

また、(1) と同様に $a, b$ は $x^2 - Xx + u = 0$ の異なる2実数解であるから、判別式について

$$ D = X^2 - 4u > 0 $$

が成り立つ必要がある。

(i) $u = 1$ のとき

$$ Y = X^2 - 2 $$

条件 $X^2 - 4 > 0$ より、$X < -2, 2 < X$ である。

(ii) $u = -2$ のとき

$$ Y = X^2 + 4 $$

条件 $X^2 - 4(-2) > 0$ すなわち $X^2 + 8 > 0$ は、すべての実数 $X$ について成り立つ。

以上より、点 $P$ の軌跡は、 放物線 $y = x^2 - 2$ の $x < -2, 2 < x$ の部分、および 放物線 $y = x^2 + 4$ 全体 である。

図示の際は、座標平面上に以下の2つのグラフを描く。 ・$y = x^2 - 2$ :頂点が $(0, -2)$ の下凸の放物線。ただし、境界点 $(-2, 2)$ と $(2, 2)$ は白丸で抜き、その外側の部分のみを実線とする。 ・$y = x^2 + 4$ :頂点が $(0, 4)$ の下凸の放物線。すべての実数範囲を実線で描く。

解説

ベクトルと軌跡の融合問題ですが、実質的には対称式と解と係数の関係を問う問題です。 成分計算から $a+b$ と $ab$ の対称式が現れることに気づき、基本対称式で変数を置き換えるという定石に従います。 本問における最大のポイントは、(2) で「軌跡の定義域(変域)を調べるために、実数解をもつ条件(判別式 $D > 0$)を忘れない」ことです。単に $X, Y$ の関係式を導いただけで終わらせてしまうと、(i) の $x < -2, 2 < x$ という制限を見落としてしまいます。 なお、問題文の「2点 $A, B$」は個数が2であること(すなわち異なる点であること)を暗黙に要求していると解釈するのが一般的です。もし一致することを許すと解釈した場合は、判別式が $D \geqq 0$ となり、軌跡に点 $(\pm 2, 2)$ が含まれることになります。

答え

(1)

$$ t \geqq -\frac{1}{4} $$

(2) 点 $P$ の軌跡は、 放物線 $y = x^2 - 2$ の $x < -2, 2 < x$ の部分 および 放物線 $y = x^2 + 4$ 全体。

(図示のポイント:$y = x^2 - 2$ は境界点 $(-2, 2)$ と $(2, 2)$ を含まない外側部分。$y = x^2 + 4$ は放物線全体を描く)

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