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名古屋大学 2010年 文系 第1問 解説

数学C/平面ベクトル数学2/図形と式数学1/方程式不等式テーマ/軌跡・領域テーマ/最大・最小
名古屋大学 2010年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) 原点 $O$ が長方形 $ABCD$ の対角線の交点であるという条件から、頂点 $C$ は $A$ と、頂点 $D$ は $B$ と原点に関して対称な位置にあることを利用します。また、条件 (c) の「$A$ の $y$ 座標が最大である」という制約を、座標の大小関係やベクトルの成分の符号に翻訳して絞り込みを行います。

(2) 「長方形が円(およびその内部)に含まれる」という条件は、円が凸領域であることから、「長方形の4つの頂点がすべて円の内部または周上にある」という条件に帰着させることができます。各頂点の座標を円の不等式に代入し、$a>0, b>0$ の条件下で最も厳しいものを探します。

解法1

(1)

長方形の対角線の交点が原点 $O$ であるから、頂点 $C$ は $A$ と、頂点 $D$ は $B$ と原点に関して対称である。 したがって、$A(x_1, y_1), B(x_2, y_2)$ とおくと、$C(-x_1, -y_1), D(-x_2, -y_2)$ と表せる。

条件 (c) より、$A$ の $y$ 座標は $B, C, D$ のどの $y$ 座標よりも大きいので、以下の不等式が成り立つ。

$$ y_1 > y_2, \quad y_1 > -y_1, \quad y_1 > -y_2 $$

これより、$y_1 > 0$ かつ $y_1 + y_2 > 0$ がわかる。 また、$y_1 > y_2$ より $y_2 - y_1 < 0$ である。

条件 (b) より直線 $AB$ の傾きは $2$ であるから、次が成り立つ。

$$ y_2 - y_1 = 2(x_2 - x_1) $$

辺 $AB$ の長さは $2\sqrt{5}a$ であるから、

$$ (x_2 - x_1)^2 + (y_2 - y_1)^2 = (2\sqrt{5}a)^2 = 20a^2 $$

これらを連立させると、

$$ (x_2 - x_1)^2 + 4(x_2 - x_1)^2 = 5(x_2 - x_1)^2 = 20a^2 $$

$$ (x_2 - x_1)^2 = 4a^2 $$

ここで $y_2 - y_1 < 0$ であることから $2(x_2 - x_1) < 0$、すなわち $x_2 - x_1 < 0$ となる。$a > 0$ であるから、

$$ x_2 - x_1 = -2a $$

このとき、$y_2 - y_1 = -4a$ となる。

次に、四角形 $ABCD$ は長方形であるから $AB \perp BC$ であり、$\overrightarrow{AB} \cdot \overrightarrow{BC} = 0$ が成り立つ。 $\overrightarrow{AB} = (-2a, -4a)$、$\overrightarrow{BC} = (-x_1-x_2, -y_1-y_2)$ より、

$$ (-2a)(-x_1-x_2) + (-4a)(-y_1-y_2) = 0 $$

$a > 0$ より両辺を $2a$ で割ると、

$$ x_1 + x_2 + 2(y_1 + y_2) = 0 \iff x_1 + x_2 = -2(y_1 + y_2) $$

また、辺 $BC$ の長さは $2\sqrt{5}b$ であるから、

$$ (-x_1 - x_2)^2 + (-y_1 - y_2)^2 = (2\sqrt{5}b)^2 = 20b^2 $$

先ほどの式を代入すると、

$$ 4(y_1 + y_2)^2 + (y_1 + y_2)^2 = 5(y_1 + y_2)^2 = 20b^2 $$

$$ (y_1 + y_2)^2 = 4b^2 $$

前述の通り $y_1 + y_2 > 0$ であり、$b > 0$ であるから、

$$ y_1 + y_2 = 2b $$

このとき、$x_1 + x_2 = -4b$ となる。

以上より、次の $x$ 座標についての連立方程式を得る。

$$ \begin{cases} x_2 - x_1 = -2a \\ x_1 + x_2 = -4b \end{cases} $$

これを解いて、$x_1 = a - 2b, \ x_2 = -a - 2b$。 同様に $y$ 座標について、

$$ \begin{cases} y_2 - y_1 = -4a \\ y_1 + y_2 = 2b \end{cases} $$

これを解いて、$y_1 = 2a + b, \ y_2 = -2a + b$。

よって、$A$ と $B$ の座標は $A(a - 2b, 2a + b), \ B(-a - 2b, -2a + b)$。 $C, D$ は原点対称であるから、$C(-a + 2b, -2a - b), \ D(a + 2b, 2a - b)$ となる。

(2)

領域 $x^2 + (y - 5)^2 \leqq 100$ は中心 $(0, 5)$、半径 $10$ の円およびその内部を表す凸領域である。 長方形がこの領域に含まれるための必要十分条件は、4つの頂点 $A, B, C, D$ がすべてこの領域に含まれることである。

各頂点の座標を $x^2 + y^2 - 10y \leqq 75$ に代入する。

頂点 $A$ について:

$$ (a - 2b)^2 + (2a + b)^2 - 10(2a + b) \leqq 75 $$

$$ 5a^2 + 5b^2 - 20a - 10b - 75 \leqq 0 $$

$$ a^2 + b^2 - 4a - 2b - 15 \leqq 0 $$

$$ (a - 2)^2 + (b - 1)^2 \leqq 20 \quad \cdots \text{①} $$

頂点 $B$ について:

$$ (-a - 2b)^2 + (-2a + b)^2 - 10(-2a + b) \leqq 75 $$

$$ 5a^2 + 5b^2 + 20a - 10b - 75 \leqq 0 $$

$$ (a + 2)^2 + (b - 1)^2 \leqq 20 \quad \cdots \text{②} $$

頂点 $C$ について:

$$ (-a + 2b)^2 + (-2a - b)^2 - 10(-2a - b) \leqq 75 $$

$$ 5a^2 + 5b^2 + 20a + 10b - 75 \leqq 0 $$

$$ (a + 2)^2 + (b + 1)^2 \leqq 20 \quad \cdots \text{③} $$

頂点 $D$ について:

$$ (a + 2b)^2 + (2a - b)^2 - 10(2a - b) \leqq 75 $$

$$ 5a^2 + 5b^2 - 20a + 10b - 75 \leqq 0 $$

$$ (a - 2)^2 + (b + 1)^2 \leqq 20 \quad \cdots \text{④} $$

ここで、$a > 0, b > 0$ であるから、$4a > 0, 2b > 0$ である。 したがって、$a^2 + b^2 \pm 4a \pm 2b - 15$ のうち、最大となるのは $a^2 + b^2 + 4a + 2b - 15$ である。 すなわち、不等式 ③ が成り立てば、①、②、④ は必然的に成り立つ。

ゆえに、求める条件は次のようになる。

$$ a > 0, \ b > 0 \ \text{かつ} \ (a + 2)^2 + (b + 1)^2 \leqq 20 $$

この領域を図示するため、境界となる円 $(a + 2)^2 + (b + 1)^2 = 20$ と $a$ 軸、$b$ 軸との交点を求める。

$a = 0$ のとき、

$$ 4 + (b + 1)^2 = 20 \implies (b + 1)^2 = 16 $$

$b > 0$ より $b = 3$ であるから、点 $(0, 3)$ を通る。

$b = 0$ のとき、

$$ (a + 2)^2 + 1 = 20 \implies (a + 2)^2 = 19 $$

$a > 0$ より $a = \sqrt{19} - 2$ であるから、点 $(\sqrt{19} - 2, 0)$ を通る。

以上より、求める領域は $ab$ 平面において、中心 $(-2, -1)$、半径 $2\sqrt{5}$ の円の内部および周のうち、第1象限($a > 0, b > 0$)に含まれる部分である。 境界については、円弧部分は含むが、軸上の境界線および点 $(0, 3), (\sqrt{19} - 2, 0)$ は含まない。

解法2

(1)

ベクトルを用いて頂点の座標を求める。 長方形の中心が原点 $O$ であるから、各頂点の位置ベクトルについて次が成り立つ。

$$ \overrightarrow{OA} = -\frac{1}{2}(\overrightarrow{AB} + \overrightarrow{AD}) $$

直線 $AB$ の傾きは $2$ で、辺 $AB$ の長さは $2\sqrt{5}a$ である。方向ベクトル $(1, 2)$ の大きさが $\sqrt{1^2 + 2^2} = \sqrt{5}$ であることから、

$$ \overrightarrow{AB} = \pm \frac{2\sqrt{5}a}{\sqrt{5}}(1, 2) = \pm (2a, 4a) $$

辺 $AD$ は辺 $AB$ に垂直であるため、直線 $AD$ の傾きは $-\frac{1}{2}$ である。辺 $AD$ の長さは辺 $BC$ と等しく $2\sqrt{5}b$ であるから、方向ベクトル $(2, -1)$ の大きさが $\sqrt{5}$ であることを用いて、

$$ \overrightarrow{AD} = \pm \frac{2\sqrt{5}b}{\sqrt{5}}(2, -1) = \pm (4b, -2b) $$

条件 (c) より $A$ の $y$ 座標は最大である。これは、$A$ から $B$ へ向かう方向、および $A$ から $D$ へ向かう方向のどちらにおいても $y$ 座標が減少することを意味する。すなわち、$\overrightarrow{AB}$ と $\overrightarrow{AD}$ の $y$ 成分はともに負でなければならない。 $a > 0, b > 0$ より、各ベクトルは以下に一意に定まる。

$$ \overrightarrow{AB} = (-2a, -4a), \quad \overrightarrow{AD} = (4b, -2b) $$

これらを $\overrightarrow{OA}$ の式に代入する。

$$ \overrightarrow{OA} = -\frac{1}{2} \{ (-2a, -4a) + (4b, -2b) \} = (a - 2b, 2a + b) $$

これより $A$ の座標は $A(a - 2b, 2a + b)$ となる。 他の頂点の位置ベクトルは次のように求まる。

$$ \overrightarrow{OB} = \overrightarrow{OA} + \overrightarrow{AB} = (a - 2b, 2a + b) + (-2a, -4a) = (-a - 2b, -2a + b) $$

$$ \overrightarrow{OC} = -\overrightarrow{OA} = (-a + 2b, -2a - b) $$

$$ \overrightarrow{OD} = -\overrightarrow{OB} = (a + 2b, 2a - b) $$

よって、$A(a - 2b, 2a + b), \ B(-a - 2b, -2a + b), \ C(-a + 2b, -2a - b), \ D(a + 2b, 2a - b)$。

(以降、(2) については解法1と同様)

解説

(1) は長方形の幾何学的な性質(特に対角線の中点が一致し、原点になること)と、与えられた条件を数式やベクトルにどう落とし込むかが問われています。条件 (c) の「最大である」という文言を、単なる大小関係の比較としてではなく、「$A$ を始点とする2つの辺のベクトルの $y$ 成分がともに負である」と解釈できると、解法2のように見通しよく計算を進めることができます。

(2) は「図形がある領域に含まれる条件」の定石である、「凸領域に含まれる多角形は、そのすべての頂点が領域に含まれればよい」という性質を活用します。4つすべての条件式を書き出した上で、変数 $a, b$ が正であることを利用し、最も厳しい1つの不等式に帰着させる論理展開が重要です。

答え

(1) $A(a - 2b, 2a + b)$ $B(-a - 2b, -2a + b)$ $C(-a + 2b, -2a - b)$ $D(a + 2b, 2a - b)$

(2) 求める条件は $a > 0, \ b > 0$ かつ $(a + 2)^2 + (b + 1)^2 \leqq 20$ (図示する領域は、$ab$ 平面上の $a>0, b>0$ における、中心 $(-2, -1)$、半径 $2\sqrt{5}$ の円の内部および周。境界の円弧部分は含み、$a$ 軸および $b$ 軸上の部分は含まない)

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