名古屋大学 1961年 理系 第2問 解説

方針・初手
(1) は、点 $A(a, b)$ を通る直線 $PQ$ の傾きを $m$ とおき、$x$ 切片と $y$ 切片を $a, b, m$ で表すことから始める。三角形の面積が $1$ であるという条件から $m$ についての方程式を導き、その方程式が条件を満たす実数解をもつための $a, b$ の範囲を調べる。
(2) は、四捨五入の条件を不等式に翻訳することが初手となる。全体の平均点は、A組とB組の平均点を人数の比で内分した値になることを利用し、A組の人数 $x$ についての不等式を立てて、とり得る値の範囲を評価する。
(1) 解法1
直線 $PQ$ の傾きを $m$ とおく。直線 $PQ$ は第1象限の点 $A(a, b)$ を通り、$x$ 軸および $y$ 軸の正の部分と交わるから、$m < 0$ である。
直線 $PQ$ の方程式は、
$$y - b = m(x - a)$$
と表せる。
$y = 0$ とすると $x = a - \frac{b}{m}$ となるので、点 $P$ の座標は $\left( a - \frac{b}{m}, 0 \right)$ である。
$x = 0$ とすると $y = b - am$ となるので、点 $Q$ の座標は $(0, b - am)$ である。
点 $A$ は第1象限の点であるから $a > 0, b > 0$ である。また $m < 0$ より、点 $P$ の $x$ 座標と点 $Q$ の $y$ 座標はどちらも正となる。
三角形 $OPQ$ の面積が $1$ であるから、
$$\frac{1}{2} \left( a - \frac{b}{m} \right) (b - am) = 1$$
が成り立つ。これを展開して整理すると、
$$\frac{1}{2} \left( 2ab - a^2 m - \frac{b^2}{m} \right) = 1$$
$$2ab - a^2 m - \frac{b^2}{m} = 2$$
両辺に $-m$ ($-m > 0$)を掛けて整理すると、
$$a^2 m^2 + 2(1 - ab)m + b^2 = 0$$
となる。これを $m$ についての2次方程式とみて解の公式を用いると、
$$m = \frac{-(1 - ab) \pm \sqrt{(1 - ab)^2 - a^2 b^2}}{a^2} = \frac{ab - 1 \pm \sqrt{1 - 2ab}}{a^2}$$
これが求める直線の傾きである。
次に、このような直線が引けるための点 $A(a, b)$ の存在範囲を求める。傾き $m$ が実数として存在するためには、根号の中身が $0$ 以上であればよいから、
$$1 - 2ab \geqq 0$$
$$ab \leqq \frac{1}{2}$$
となる。
このとき、もとの2次方程式において解と係数の関係を考えると、2つの解の積は $\frac{b^2}{a^2} > 0$ であるため、2つの解は同符号である。
また、解の和は $\frac{-2(1 - ab)}{a^2}$ であり、$ab \leqq \frac{1}{2}$ より $1 - ab > 0$ であるから、解の和は負となる。
したがって、実数解をもてばそれらは必ず負となり、$m < 0$ の条件を満たす。点 $A$ は第1象限の点であるから、$a > 0$ かつ $b > 0$ も満たす必要がある。
以上より、求める点 $A$ の存在範囲は、
$$a > 0 \quad \text{かつ} \quad b > 0 \quad \text{かつ} \quad ab \leqq \frac{1}{2}$$
となる。これを $xy$ 平面上に図示すると、双曲線 $y = \frac{1}{2x}$ の $x > 0$ における部分と、$x$ 軸および $y$ 軸で囲まれた領域となる。ただし、境界線は曲線 $y = \frac{1}{2x}$ 上の実線部分のみを含み、座標軸上の点は含まない。
(1) 解法2
直線 $PQ$ の方程式を、切片 $p, q$ を用いて
$$\frac{x}{p} + \frac{y}{q} = 1 \quad (p > 0, q > 0)$$
とおく。
直線は点 $A(a, b)$ を通るため、
$$\frac{a}{p} + \frac{b}{q} = 1$$
が成り立つ。
三角形 $OPQ$ の面積が $1$ であるから、
$$\frac{1}{2}pq = 1 \iff q = \frac{2}{p}$$
となる。これを先ほどの式に代入して整理すると、
$$\frac{a}{p} + \frac{bp}{2} = 1$$
$$bp^2 - 2p + 2a = 0$$
これが $p > 0$ の範囲に実数解をもてばよい。判別式を $D$ とすると、
$$\frac{D}{4} = 1 - 2ab \geqq 0 \iff ab \leqq \frac{1}{2}$$
このとき、解と係数の関係より $p$ の2つの解の和は $\frac{2}{b} > 0$、積は $\frac{2a}{b} > 0$ となるため、実数解をもてばそれらは必ず正となり条件を満たす。
よって点 $A$ の存在範囲は $a > 0, b > 0, ab \leqq \frac{1}{2}$ となる。
このときの直線の傾き $m$ は $m = -\frac{q}{p} = -\frac{2}{p^2}$ となる。方程式を解いて $p = \frac{1 \pm \sqrt{1-2ab}}{b}$ を代入して整理すると、解法1と同じ結果が得られる。
(2) 解法1
A組の人数を $x$ 人 $(1 \leqq x \leqq 99)$ とすると、B組の人数は $100 - x$ 人となる。
A組の平均点の真の値を $a$、B組の平均点の真の値を $b$、全体の平均点の真の値を $m$ とすると、四捨五入の条件から以下の不等式が成り立つ。
$$70.45 \leqq a < 70.55$$
$$75.55 \leqq b < 75.65$$
$$73.15 \leqq m < 73.25$$
全体の合計点は、各組の合計点の和に等しいから、
$$100m = xa + (100 - x)b$$
これを $m$ について解き、全体の平均点の不等式に代入すると、
$$73.15 \leqq \frac{xa + (100 - x)b}{100} < 73.25$$
辺々に $100$ を掛けて整理する。
$$7315 \leqq xa + 100b - xb < 7325$$
$$7315 - 100b \leqq -x(b - a) < 7325 - 100b$$
$a, b$ の条件より $b - a > 0$ であるから、各辺を $-(b - a)$ で割ると不等号の向きが変わり、
$$\frac{100b - 7325}{b - a} < x \leqq \frac{100b - 7315}{b - a}$$
となる。
ここで、左辺の最小値について考える。関数 $f(a, b) = \frac{100b - 7325}{b - a} = 100 \left( 1 - \frac{73.25 - a}{b - a} \right)$ において、$a$ を固定して考えると、$b$ が大きくなるにつれて分母が大きくなるため引く数が小さくなり、値は大きくなる。よって $b$ が最小値 $75.55$ をとるとき小さくなる。さらに $b$ を固定して考えると、$a$ が大きくなるにつれて分子が小さく分母が小さくなるため、値は大きくなる。よって $a$ も最小値 $70.45$ をとるとき最小となる。
$$x > 100 \times \frac{75.55 - 73.25}{75.55 - 70.45} = 100 \times \frac{2.3}{5.1} = \frac{2300}{51} = 45.09\dots$$
次に、右辺の上限について考える。関数 $g(a, b) = \frac{100b - 7315}{b - a} = 100 \left( 1 - \frac{73.15 - a}{b - a} \right)$ についても同様に、$a, b$ がそれぞれ大きいほど値が大きくなる。$a < 70.55, b < 75.65$ における上限を考えると、
$$x < 100 \times \frac{75.65 - 73.15}{75.65 - 70.55} = 100 \times \frac{2.5}{5.1} = \frac{2500}{51} = 49.01\dots$$
以上より、$x$ の満たすべき条件は、
$$45.09\dots < x < 49.01\dots$$
となる。$x$ は人数であり整数であるから、とり得る値は $46, 47, 48, 49$ となる。
解説
(1) は、直線の式を設定して面積の条件を立式する標準的な問題である。傾きを未知数とするか切片を未知数とするかで方針が分かれるが、どちらでも2次方程式の解の配置問題に帰着する。「面積が1になるような直線が存在する」という条件を、方程式が実数解をもつ条件として処理することがポイントである。
(2) は、「四捨五入」を不等式で表現し、複数の変数が独立に動くときの取り得る値の範囲を厳密に評価する問題である。分数の形の関数の最大・最小を考える際、式を変形して定数部分を分離すると、各変数の増減が全体にどう影響するかが見えやすくなる。
答え
(1) 傾きは $m = \frac{ab - 1 \pm \sqrt{1 - 2ab}}{a^2}$
存在範囲は $a > 0 \text{ かつ } b > 0 \text{ かつ } ab \leqq \frac{1}{2}$ であり、図示すると $xy$ 平面上において第1象限の $y \leqq \frac{1}{2x}$ を満たす領域(境界は双曲線の実線部分のみ含む)。
(2) A組の人数は、46人以上 49人以下。
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