名古屋大学 1962年 理系 第2問 解説

方針・初手
$x+y = k$ とおき、$y$ を消去して $x$ の条件に帰着させる代数的な解法と、$xy$ 平面上の領域と直線の共有点を考える図形的な解法の2つが考えられる。本問のような2変数関数の取りうる値の範囲を求める問題では、$x+y=k$ とおく「逆像法(実数解の存在条件に帰着)」や「線形計画法」の考え方が定石となる。
解法1
$x+y = k$ とおくと、 $$ y = -x + k $$ である。この直線が、連立不等式 $$ \begin{cases} y > x^2 \\ y < x + 1 \end{cases} $$ で表される $xy$ 平面上の領域 $D$ と共有点をもつような $k$ の値の範囲を求めればよい。 領域 $D$ は、放物線 $y = x^2$ の上側、かつ直線 $y = x + 1$ の下側の部分である。境界線を含まない。
まず、領域の境界となる放物線と直線の交点を求める。 $$ x^2 = x + 1 $$ $$ x^2 - x - 1 = 0 $$ これを解いて、 $$ x = \frac{1 \pm \sqrt{5}}{2} $$ したがって、2つの交点の座標は $\left(\frac{1-\sqrt{5}}{2}, \frac{3-\sqrt{5}}{2}\right), \left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}, \frac{3+\sqrt{5}}{2}\right)$ となる。
直線 $y = -x + k$ は、傾き $-1$、 $y$ 切片 $k$ の直線である。この直線が領域 $D$ と共有点をもちながら動くときの、$y$ 切片 $k$ のとりうる値の範囲を考える。
$k$ が最大となるのは、直線が領域の右上の境界点 $\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}, \frac{3+\sqrt{5}}{2}\right)$ を通るときであり、このとき $$ k = \frac{1+\sqrt{5}}{2} + \frac{3+\sqrt{5}}{2} = 2 + \sqrt{5} $$ である。領域は境界を含まないため、$k < 2 + \sqrt{5}$ となる。
一方、$k$ が最小となるのは、直線が放物線 $y = x^2$ と接するときである。 $$ x^2 = -x + k $$ $$ x^2 + x - k = 0 $$ この2次方程式の判別式を $D'$ とすると、接する条件は $D' = 0$ であるから、 $$ D' = 1^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-k) = 1 + 4k = 0 $$ $$ k = -\frac{1}{4} $$ このとき接点の $x$ 座標は、$-\frac{1}{2}$ である。この $x$ 座標は、2つの交点の $x$ 座標の間($\frac{1-\sqrt{5}}{2} < -\frac{1}{2} < \frac{1+\sqrt{5}}{2}$)にあるため、接点は領域 $D$ の下側境界上にある。領域は境界を含まないため、$k > -\frac{1}{4}$ となる。
以上より、求める $k$ の範囲は $$ -\frac{1}{4} < k < 2 + \sqrt{5} $$ である。
解法2
$x + y = k$ とおくと、$y = k - x$ となる。 これを条件式の $y > x^2$ かつ $y < x + 1$ に代入して $y$ を消去すると、 $$ k - x > x^2 \quad \dots \text{①} $$ $$ k - x < x + 1 \quad \dots \text{②} $$ 問題の条件を満たす $x, y$ が存在することは、①かつ②を満たす実数 $x$ が存在することと同値である。
①より、 $$ x^2 + x - k < 0 \quad \dots \text{①}' $$ これが実数解をもつための条件は、判別式を $D$ とすると $D > 0$ であるから、 $$ 1 + 4k > 0 $$ $$ k > -\frac{1}{4} \quad \dots \text{③} $$ ③のもとで、①$'$ の解は $$ \frac{-1 - \sqrt{1+4k}}{2} < x < \frac{-1 + \sqrt{1+4k}}{2} \quad \dots \text{④} $$ となる。
一方、②より、 $$ 2x > k - 1 $$ $$ x > \frac{k - 1}{2} \quad \dots \text{⑤} $$
④と⑤を同時に満たす実数 $x$ が存在するための条件は、 $$ \frac{k - 1}{2} < \frac{-1 + \sqrt{1+4k}}{2} $$ $$ k - 1 < -1 + \sqrt{1+4k} $$ $$ k < \sqrt{1+4k} \quad \dots \text{⑥} $$ となる。ここで、⑥を解くために場合分けを行う。
(i) $k \ge 0$ のとき ⑥の両辺は $0$ 以上であるから、両辺を2乗しても同値性が保たれる。 $$ k^2 < 1 + 4k $$ $$ k^2 - 4k - 1 < 0 $$ $k^2 - 4k - 1 = 0$ の解は $k = 2 \pm \sqrt{5}$ であるから、不等式の解は $$ 2 - \sqrt{5} < k < 2 + \sqrt{5} $$ $k \ge 0$ と合わせて、 $$ 0 \le k < 2 + \sqrt{5} \quad \dots \text{⑦} $$
(ii) $k < 0$ のとき $\sqrt{1+4k} \ge 0$ であるから、不等式 $k < \sqrt{1+4k}$ は常に成り立つ。 前提条件③($k > -\frac{1}{4}$)と合わせて、 $$ -\frac{1}{4} < k < 0 \quad \dots \text{⑧} $$
(i), (ii) より、⑦と⑧の和集合をとって、 $$ -\frac{1}{4} < k < 2 + \sqrt{5} $$
解説
2変数関数 $x+y$ の取りうる値の範囲を求める典型問題である。 解法1の図形的なアプローチ(線形計画法)は視覚的に分かりやすく、多くの場合で計算量を減らすことができる。ただし、求めた接点が本当に指定された領域の境界線として機能しているか(交点の間に接点が存在するか)を確認する手順を忘れないように注意したい。 解法2の代数的なアプローチ(1文字消去)は、機械的な計算で答えまで辿り着けるのが強みである。無理不等式を解く際、両辺の符号に注意して適切に場合分けを行う力が問われる。
答え
$$ -\frac{1}{4} < x + y < 2 + \sqrt{5} $$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











