名古屋大学 1987年 理系 第5問 解説

方針・初手
ベクトルを用いた三角形や平行四辺形の面積公式を利用する。 点 $P$ の座標が整数であることから、面積も整数値しかとらないことに着目し、整数問題(一次不定方程式)として処理する。
解法1
(1) $\vec{OA} = (3, 5)$、$\vec{OP} = (m, n)$ を2辺とする平行四辺形の面積 $S$ は、座標を用いた公式より以下のように表される。
$$S = |3n - 5m|$$
$m, n$ は整数であるから、$3n - 5m$ も整数であり、絶対値をとるため $S$ は $0$ 以上の整数となる。 問題の条件より、3点 $O, A, P$ は同一直線上にないため、$\vec{OA}$ と $\vec{OP}$ は平行ではない。したがって $S \neq 0$ である。 ゆえに、$S$ は正の整数である。
ここで、$3$ と $5$ は互いに素な整数であるから、一次不定方程式 $3n - 5m = 1$ を満たす整数解 $(m, n)$ が存在する。 (実際、$m=1, n=2$ は $3 \cdot 2 - 5 \cdot 1 = 1$ を満たす) 面積 $S$ は正の整数値をとるため、その最小値は $1$ である。
(2) (1)より、面積が最小値 $1$ をとるとき、以下の等式が成り立つ。
$$|3n - 5m| = 1$$
すなわち、
$$3n - 5m = 1 \quad \text{または} \quad 3n - 5m = -1$$
これは、点 $P(m, n)$ が座標平面上で直線 $3y - 5x = 1$ または直線 $3y - 5x = -1$ 上に存在することを示している。 よって、求める2直線の方程式は以下のようになる。
$$5x - 3y + 1 = 0, \quad 5x - 3y - 1 = 0$$
(3) (2)で求めた2直線上の格子点($x$ 座標も $y$ 座標も整数となる点)をすべて求めればよい。
(i) $5m - 3n = -1$ のとき 特殊解として $m=1, n=2$ がある。元の方程式に代入した式 $5 \cdot 1 - 3 \cdot 2 = -1$ を辺々引くと
$$5(m - 1) - 3(n - 2) = 0$$
$$5(m - 1) = 3(n - 2)$$
$3$ と $5$ は互いに素であるから、$k$ を任意の整数として、
$$m - 1 = 3k, \quad n - 2 = 5k$$
と表せる。したがって、
$$m = 3k + 1, \quad n = 5k + 2$$
(ii) $5m - 3n = 1$ のとき 特殊解として $m=2, n=3$ がある。同様に $5 \cdot 2 - 3 \cdot 3 = 1$ を辺々引くと
$$5(m - 2) - 3(n - 3) = 0$$
$$5(m - 2) = 3(n - 3)$$
$k$ を任意の整数として、
$$m - 2 = 3k, \quad n - 3 = 5k$$
と表せる。したがって、
$$m = 3k + 2, \quad n = 5k + 3$$
以上より、求める点 $P$ の座標は $(3k+1, 5k+2)$ および $(3k+2, 5k+3)$ ($k$ は整数)である。
解説
座標平面上のベクトルによる面積公式と、整数の一次不定方程式を組み合わせた標準的な融合問題である。 (1)において、「$3$ と $5$ が互いに素であるから $3n - 5m = 1$ を満たす整数が存在する」という事実を用いることで、面積の最小値が $1$ になることを厳密に論証できる。 (3)における一次不定方程式の一般解の求め方は頻出処理なので、素早く正確に実行したい。
答え
(1) $1$
(2) $5x - 3y + 1 = 0, \quad 5x - 3y - 1 = 0$
(3) $(3k+1, 5k+2), (3k+2, 5k+3)$ ($k$ は整数)
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