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京都大学 1987年 文系 第3問 解説

数学C/平面ベクトル数学2/図形と式数学1/図形計量テーマ/最大・最小テーマ/図形総合
京都大学 1987年 文系 第3問 解説

方針・初手

条件(1)は、与えられた直線の方程式と $x$ 軸($y=0$)の交点 $A$ の $x$ 座標を求めて、それが正となる条件を解く。 条件(2)は、まず直線と $y=\frac{1}{2}x$ の交点 $B$ の座標を求める。そして、$\triangle OAB$ の3つの内角($\angle AOB, \angle OAB, \angle OBA$)のうち、どれが鈍角になり得るかを検討する。位置関係を図形的に把握することで $\angle OBA$ のみが鈍角になり得ることが分かるため、ベクトルの内積 $\vec{BO} \cdot \vec{BA} < 0$ を計算して条件を絞り込む。

解法1

(1)

直線 $a\{x - (a^2+a-2)\} + y + 2 = 0$ と $x$ 軸との交点 $A$ の座標を求めるため、$y=0$ を代入する。

$$ a\{x - (a^2+a-2)\} + 2 = 0 $$

$$ a x = a(a^2+a-2) - 2 $$

$$ x = a^2+a-2 - \frac{2}{a} = \frac{a^3+a^2-2a-2}{a} $$

分子を因数分解すると、

$$ a^3+a^2-2a-2 = a^2(a+1) - 2(a+1) = (a^2-2)(a+1) $$

よって、$A$ の $x$ 座標 $x_A$ は以下のようになる。

$$ x_A = \frac{(a^2-2)(a+1)}{a} $$

条件(1)より、$A$ は $x$ 軸の正の部分にあるため $x_A > 0$ である。 $a$ は正の数であるから $a > 0, a+1 > 0$ となり、

$$ a^2 - 2 > 0 $$

$a > 0$ を考慮して、

$$ a > \sqrt{2} \quad \cdots ① $$

これが条件(1)をみたす $a$ の範囲である。

(2)

次に、直線と $y = \frac{1}{2}x$ の交点 $B$ の座標を求める。$y = \frac{1}{2}x$ を直線の方程式に代入する。

$$ a\{x - (a^2+a-2)\} + \frac{1}{2}x + 2 = 0 $$

$$ \left(a + \frac{1}{2}\right)x = a(a^2+a-2) - 2 $$

$$ \frac{2a+1}{2}x = (a^2-2)(a+1) $$

$$ x = \frac{2(a^2-2)(a+1)}{2a+1} $$

したがって、$B$ の $x$ 座標 $x_B$ は $x_B = \frac{2(a^2-2)(a+1)}{2a+1}$ である。 ①の範囲($a > \sqrt{2}$)においては、$a^2-2 > 0, a+1 > 0, 2a+1 > 0$ となるため、$x_B > 0$ である。 $B$ は $y = \frac{1}{2}x$ 上にあるため $y_B = \frac{1}{2}x_B > 0$ となり、$B$ は第1象限の点である。

ここで、$x_A$ と $x_B$ の大小関係を調べる。

$$ x_B = \frac{2a}{2a+1} \cdot \frac{(a^2-2)(a+1)}{a} = \frac{2a}{2a+1} x_A $$

$a > 0$ より $0 < \frac{2a}{2a+1} < 1$ であり、$x_A > 0$ であるから、

$$ 0 < x_B < x_A $$

が成り立つ。 これより、$\triangle OAB$ の3つの内角について以下のことが分かる。 ・$A$ は $x$ 軸の正の部分、$B$ は第1象限の直線 $y = \frac{1}{2}x$ 上にあるため、$\angle AOB$ は鋭角である。 ・点 $B$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足を $H(x_B, 0)$ とすると、$0 < x_B < x_A$ より $H$ は線分 $OA$ 上にある。直角三角形 $\triangle AHB$ において $\angle HAB$ は鋭角であるため、$\angle OAB$ は鋭角である。

したがって、$\triangle OAB$ が鈍角三角形となる条件は、$\angle OBA$ が鈍角になることである。 これは、$\vec{BO} \cdot \vec{BA} < 0$ と同値である。

$$ \vec{BO} = (-x_B, -y_B) = \left(-x_B, -\frac{1}{2}x_B\right) $$

$$ \vec{BA} = (x_A - x_B, -y_B) = \left(x_A - x_B, -\frac{1}{2}x_B\right) $$

内積を計算する。

$$ \begin{aligned} \vec{BO} \cdot \vec{BA} &= -x_B(x_A - x_B) + \left(-\frac{1}{2}x_B\right)\left(-\frac{1}{2}x_B\right) \\ &= x_B^2 - x_A x_B + \frac{1}{4}x_B^2 \\ &= \frac{5}{4}x_B^2 - x_A x_B \\ &= x_B \left( \frac{5}{4}x_B - x_A \right) \end{aligned} $$

$x_B > 0$ であるから、$\vec{BO} \cdot \vec{BA} < 0$ となる条件は、

$$ \frac{5}{4}x_B - x_A < 0 $$

$$ \frac{5}{4}x_B < x_A $$

これに $x_B = \frac{2a}{2a+1}x_A$ を代入する。

$$ \frac{5}{4} \cdot \frac{2a}{2a+1}x_A < x_A $$

$x_A > 0$ より両辺を $x_A$ で割ると、

$$ \frac{5a}{2(2a+1)} < 1 $$

$a > 0$ より $2(2a+1) > 0$ であるため、分母を払って整理する。

$$ 5a < 4a + 2 $$

$$ a < 2 \quad \cdots ② $$

①, ②より、求める $a$ の範囲は以下のようになる。

$$ \sqrt{2} < a < 2 $$

解法2

(1)の導出および $\angle OBA$ のみが鈍角になり得るという考察までは解法1と同じである。

$\angle OBA$ が鈍角になる条件を、方向ベクトルを用いて求める。 直線 $OB$ は原点から $(2, 1)$ の方向へ伸びている。したがって、$\vec{BO}$ と同じ向きのベクトルとして $\vec{u} = (-2, -1)$ をとることができる。 一方、与えられた直線を式変形すると $y = -ax + \dots$ となるため、この直線の方向ベクトルは $(1, -a)$ である。 $x_B < x_A$ であることから、$\vec{BA}$ は $x$ 座標が増加する向きである。したがって、$\vec{BA}$ と同じ向きのベクトルとして $\vec{v} = (1, -a)$ がとれる。

$\angle OBA > 90^\circ$ となる条件は、ベクトル $\vec{u}$ と $\vec{v}$ のなす角が鈍角になること、すなわち内積が負になることである。

$$ \vec{u} \cdot \vec{v} = (-2) \cdot 1 + (-1) \cdot (-a) < 0 $$

$$ -2 + a < 0 $$

$$ a < 2 $$

これと(1)の条件 $a > \sqrt{2}$ をあわせて、$\sqrt{2} < a < 2$ を得る。

解説

座標平面上の図形と方程式、およびベクトルの内積を絡めた標準的な問題である。 鈍角三角形になる条件を「最大角が $90^\circ$ より大きい」と捉え、3つの角のうちどれが最大になり得るかを真っ先に絞り込むのがポイントである。図を描いて $0 < x_B < x_A$ であることを把握できれば、調べるべき角を $\angle OBA$ の1つに限定でき、計算量を大幅に減らすことができる。 解法2のように、直線の方向ベクトルをうまく利用すると、座標の煩雑な式を直接扱うことなく、非常にスッキリと内積の符号を判定できる。

答え

(1)

$a > \sqrt{2}$

(2)

$\sqrt{2} < a < 2$

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