東北大学 2004年 理系 第1問 解説

方針・初手
まず内積 $\vec a\cdot \vec b$ を求める。与えられた
$$ |\vec b-\vec a|^2=\frac12 $$
を展開すれば、$|k\vec a+l\vec b|^2$ を $k,l$ の式で表せる。すると以後は整数論的な問題に帰着する。
解法1
与えられた条件
$$ |\vec a|^2=1,\qquad |\vec b|^2=\frac12,\qquad |\vec b-\vec a|^2=\frac12 $$
より、
$$ |\vec b-\vec a|^2=|\vec b|^2+|\vec a|^2-2\vec a\cdot \vec b $$
だから
$$ \frac12=\frac12+1-2\vec a\cdot \vec b $$
となる。よって
$$ \vec a\cdot \vec b=\frac12 $$
である。
したがって
$$ |k\vec a+l\vec b|^2 = k^2|\vec a|^2+2kl(\vec a\cdot \vec b)+l^2|\vec b|^2 = k^2+kl+\frac{l^2}{2} $$
を得る。
(1) $|k\vec a+l\vec b|^2$ が整数となる条件
上の式より
$$ |k\vec a+l\vec b|^2 = k^2+kl+\frac{l^2}{2} $$
であり、$k^2+kl$ は整数である。したがって、これが整数となるための必要十分条件は
$$ \frac{l^2}{2}\in \mathbb{Z} $$
であることに等しい。
ここで、$l$ が偶数なら $l^2$ も偶数であるから $\dfrac{l^2}{2}$ は整数である。逆に $l$ が奇数なら $l^2$ も奇数であるから $\dfrac{l^2}{2}$ は整数ではない。
よって、$|k\vec a+l\vec b|^2$ が整数であるための必要十分条件は
$$ l \text{ が偶数} $$
である。
(2) $|k\vec a+l\vec b|^2=0$ となる整数の組
[ |k\vec a+l\vec b|^2=0 ]
より
$$ k^2+kl+\frac{l^2}{2}=0 $$
である。両辺を $4$ 倍すると
$$ 4|k\vec a+l\vec b|^2 =4k^2+4kl+2l^2 =(2k+l)^2+l^2 $$
となるから、
$$ (2k+l)^2+l^2=0 $$
を得る。平方の和が $0$ であるから
$$ 2k+l=0,\qquad l=0 $$
であり、したがって $k=0$ である。
よって求める整数の組は
$$ (k,l)=(0,0) $$
のみである。
(3) $(k,l)\neq(0,0)$ のときの最小値を与える $(k,l)$
先ほどの式
$$ |k\vec a+l\vec b|^2=\frac{(2k+l)^2+l^2}{4} $$
を用いる。
$(k,l)\neq(0,0)$ のとき、(2) より $|k\vec a+l\vec b|^2>0$ である。
ここで $l$ の偶奇で分ける。
(i) $l$ が偶数のとき
$l\neq 0$ なら $l^2\ge 4$ であり、また $(2k+l)^2\ge 0$ だから
$$ |k\vec a+l\vec b|^2=\frac{(2k+l)^2+l^2}{4}\ge 1 $$
である。
一方、$l=0$ なら
$$ |k\vec a+l\vec b|^2=|k\vec a|^2=k^2 $$
であり、$(k,l)\neq(0,0)$ より $k\neq 0$ なので
$$ |k\vec a+l\vec b|^2\ge 1 $$
となる。
したがって、$l$ が偶数の場合の最小値は $1$ である。
(ii) $l$ が奇数のとき
このとき $2k+l$ も奇数である。したがって
$$ (2k+l)^2\ge 1,\qquad l^2\ge 1 $$
であるから
$$ |k\vec a+l\vec b|^2 =\frac{(2k+l)^2+l^2}{4} \ge \frac{1+1}{4} =\frac12 $$
となる。
しかも等号成立には
$$ (2k+l)^2=1,\qquad l^2=1 $$
が必要十分である。すなわち
$$ l=\pm 1,\qquad 2k+l=\pm 1 $$
である。
これを解くと、
- $l=1$ のとき $2k+1=\pm 1$ より $k=0,-1$
- $l=-1$ のとき $2k-1=\pm 1$ より $k=1,0$
となる。
したがって最小値は
$$ \frac12 $$
であり、それを与える $(k,l)$ は
$$ (0,1),\ (-1,1),\ (1,-1),\ (0,-1) $$
である。
解説
この問題の核心は、ベクトルの条件を内積に直し、以後を
$$ |k\vec a+l\vec b|^2=k^2+kl+\frac{l^2}{2} $$
という整数係数に近い式として扱うことである。
特に
$$ |k\vec a+l\vec b|^2=\frac{(2k+l)^2+l^2}{4} $$
と変形すると、非負性や最小値の議論が一気に明確になる。(2) では平方和が $0$ になる条件、(3) では偶奇による下界評価が決め手である。
答え
$$ \vec a\cdot \vec b=\frac12 $$
であり、
$$ |k\vec a+l\vec b|^2=k^2+kl+\frac{l^2}{2} =\frac{(2k+l)^2+l^2}{4} $$
である。
(1) $|k\vec a+l\vec b|^2$ が整数となるための必要十分条件は
$$ l \text{ が偶数} $$
である。
(2)
$$ |k\vec a+l\vec b|^2=0 $$
となる整数の組は
$$ (k,l)=(0,0) $$
のみである。
(3) $(k,l)\neq(0,0)$ のもとでの最小値は
$$ \frac12 $$
であり、それを与える整数の組は
$$ (k,l)=(0,1),\ (-1,1),\ (1,-1),\ (0,-1) $$
である。
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











