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名古屋大学 2008年 理系 第5問 解説

数学A/確率数学B/確率分布・統計的推測テーマ/最大・最小
名古屋大学 2008年 理系 第5問 解説

方針・初手

解法1

袋Aには合計 $8$ 個の玉(赤 $4$、白 $4$)、袋Bには合計 $5$ 個の玉(赤 $3$、白 $2$)が入っている。

(1) 袋Bから $2$ 個の玉を取り出すとき、含まれる赤玉の個数を $X$ とおく。 $X$ のとり得る値は $0, 1, 2$ であり、それぞれの確率は次のようになる。

$$ P(X=0) = \frac{{}_2\mathrm{C}_{2}}{{}_5\mathrm{C}_{2}} = \frac{1}{10} $$

$$ P(X=1) = \frac{{}_3\mathrm{C}_{1} \times {}_2\mathrm{C}_{1}}{{}_5\mathrm{C}_{2}} = \frac{3 \times 2}{10} = \frac{6}{10} $$

$$ P(X=2) = \frac{{}_3\mathrm{C}_{2}}{{}_5\mathrm{C}_{2}} = \frac{3}{10} $$

よって、求める期待値 $E(X)$ は次のように計算できる。

$$ E(X) = 0 \times \frac{1}{10} + 1 \times \frac{6}{10} + 2 \times \frac{3}{10} = \frac{12}{10} = \frac{6}{5} $$

(別解:袋Bから玉を $1$ 回取り出すとき、それが赤玉である確率は $\frac{3}{5}$ である。期待値の線形性より、$2$ 個取り出すときの赤玉の個数の期待値は $2 \times \frac{3}{5} = \frac{6}{5}$ となる。)

(2) 袋Aから $3$ 個取り出すとき、含まれる赤玉の個数を $Y$ とおく。$Y$ のとり得る値は $0, 1, 2, 3$ である。 求めるのは、袋Aからの $3$ 個と袋Bからの $2$ 個を合わせて赤玉が $3$ 個になる確率、すなわち $Y + X = 3$ となる確率である。 これを満たす $(Y, X)$ の組は、$(1, 2), (2, 1), (3, 0)$ の $3$ つの排反な事象に分けられる。

袋Aから $3$ 個取り出すときのそれぞれの確率は次のようになる。

$$ P(Y=1) = \frac{{}_4\mathrm{C}_{1} \times {}_4\mathrm{C}_{2}}{{}_8\mathrm{C}_{3}} = \frac{4 \times 6}{56} = \frac{24}{56} $$

$$ P(Y=2) = \frac{{}_4\mathrm{C}_{2} \times {}_4\mathrm{C}_{1}}{{}_8\mathrm{C}_{3}} = \frac{6 \times 4}{56} = \frac{24}{56} $$

$$ P(Y=3) = \frac{{}_4\mathrm{C}_{3}}{{}_8\mathrm{C}_{3}} = \frac{4}{56} $$

したがって、求める確率は次のようになる。

$$ \begin{aligned} P(Y+X=3) &= P(Y=1)P(X=2) + P(Y=2)P(X=1) + P(Y=3)P(X=0) \\ &= \frac{24}{56} \times \frac{3}{10} + \frac{24}{56} \times \frac{6}{10} + \frac{4}{56} \times \frac{1}{10} \\ &= \frac{72 + 144 + 4}{560} \\ &= \frac{220}{560} \\ &= \frac{11}{28} \end{aligned} $$

(3) 袋Aから最初に取り出した $3$ 個の玉に含まれる赤玉の個数 $Y$ の値によって場合分けをする。 $Y=k$ ($k=0, 1, 2, 3$) のとき、袋Aには全部で $5$ 個の玉が残り、そのうち赤玉は $4-k$ 個である。

追加で $2$ 個の玉を取り出す際、 袋Aを選ぶ場合、得られる赤玉の個数の期待値 $E_A(k)$ は、期待値の線形性から次のように求まる。

$$ E_A(k) = 2 \times \frac{4-k}{5} = \frac{8-2k}{5} $$

袋Bを選ぶ場合、得られる赤玉の個数の期待値 $E_B$ は、(1)より次の通りである。

$$ E_B = \frac{6}{5} $$

「できるだけ多くの赤玉を取り出そうと選択した」という条件は、各状況において期待値が大きい方の袋を選択することと解釈できる。このとき追加で得られる期待値を $E_{\text{add}}(k) = \max\{E_A(k), E_B\}$ とおく。

(i) $k=0$ のとき $E_A(0) = \frac{8}{5}$、$E_B = \frac{6}{5}$ より、期待値が大きい袋Aを選択する。よって $E_{\text{add}}(0) = \frac{8}{5}$ である。

(ii) $k=1$ のとき $E_A(1) = \frac{6}{5}$、$E_B = \frac{6}{5}$ より、どちらを選んでも期待値は変わらない。よって $E_{\text{add}}(1) = \frac{6}{5}$ である。

(iii) $k=2$ のとき $E_A(2) = \frac{4}{5}$、$E_B = \frac{6}{5}$ より、期待値が大きい袋Bを選択する。よって $E_{\text{add}}(2) = \frac{6}{5}$ である。

(iv) $k=3$ のとき $E_A(3) = \frac{2}{5}$、$E_B = \frac{6}{5}$ より、期待値が大きい袋Bを選択する。よって $E_{\text{add}}(3) = \frac{6}{5}$ である。

最終的に取り出される赤玉の合計個数の期待値 $E$ は、最初に取り出された個数 $k$ と追加される期待値 $E_{\text{add}}(k)$ の和の期待値となる。

$$ \begin{aligned} E &= \sum_{k=0}^3 P(Y=k) \{ k + E_{\text{add}}(k) \} \\ &= E(Y) + \sum_{k=0}^3 P(Y=k) E_{\text{add}}(k) \end{aligned} $$

ここで、$Y$ は全 $8$ 個中から $3$ 個取り出すときの赤玉の個数であるため、期待値の線形性より以下となる。

$$ E(Y) = 3 \times \frac{4}{8} = \frac{3}{2} $$

一方、追加分の期待値の和は次のように計算できる。 ($P(Y=0) = \frac{{}_4\mathrm{C}_{0} \times {}_4\mathrm{C}_{3}}{{}_8\mathrm{C}_{3}} = \frac{4}{56}$ であることを用いる)

$$ \begin{aligned} \sum_{k=0}^3 P(Y=k) E_{\text{add}}(k) &= P(Y=0) \times \frac{8}{5} + \{ 1 - P(Y=0) \} \times \frac{6}{5} \\ &= \frac{4}{56} \times \frac{8}{5} + \frac{52}{56} \times \frac{6}{5} \\ &= \frac{1}{14} \times \frac{8}{5} + \frac{13}{14} \times \frac{6}{5} \\ &= \frac{8 + 78}{70} \\ &= \frac{86}{70} \\ &= \frac{43}{35} \end{aligned} $$

したがって、求める全体の期待値 $E$ は次のようになる。

$$ E = \frac{3}{2} + \frac{43}{35} = \frac{105 + 86}{70} = \frac{191}{70} $$

解説

答え

(1) $\frac{6}{5}$

(2) $\frac{11}{28}$

(3) $\frac{191}{70}$

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