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名古屋大学 2016年 理系 第4問 解説

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名古屋大学 2016年 理系 第4問 解説

方針・初手

(1) 与えられた3つの2次方程式について、解と係数の関係を立式する。得られた6つの関係式のうち、積の条件式3つを掛け合わせることで、候補となる変数の組を絞り込む。

(2) (i) 条件(**)から得られる解と係数の関係を用い、数列 $\{|b_n|\}$ がどのような変化をするか調べる。非負整数列の単調性に着目する。 (ii) (i) の結果から、ある項以降は $|b_n|$ が一定値 $C$ になることを利用する。$C=0$ の場合と $C \neq 0$ の場合で分けて、条件を満たす数列を特定し、それを初項まで遡って全体を決定する。

解法1

(1)

3つの2次方程式について、それぞれ解と係数の関係を用いると以下の式が成り立つ。

$$ \begin{cases} c + d = -a \\ cd = b \end{cases} $$

$$ \begin{cases} e + f = -c \\ ef = d \end{cases} $$

$$ \begin{cases} a + b = -e \\ ab = f \end{cases} $$

積の条件式 $cd = b$, $ef = d$, $ab = f$ の辺々を掛け合わせると、次式を得る。

$$ abcdef = bdf $$

$$ bdf(ace - 1) = 0 $$

これより、$bdf = 0$ または $ace = 1$ である。

(ア) $bdf = 0$ のとき

対称性から、一般性を失わず $b = 0$ とする。 $cd = b = 0$ より、$c = 0$ または $d = 0$ である。 また、$ab = f$ より $f = 0$ であり、$ef = d$ より $d = 0$ となる。 したがって、$b = d = f = 0$ である。 これを和の条件式に代入すると、以下のようになる。

$$ \begin{cases} c = -a \\ e = -c \\ a = -e \end{cases} $$

これを解くと、$a = c = e = 0$ となる。 よって、$(a, b, c, d, e, f) = (0, 0, 0, 0, 0, 0)$ であり、これはすべての条件を満たす。

(イ) $bdf \neq 0$ のとき

$ace = 1$ が成り立つ。$a, c, e$ は整数であるから、$(a, c, e)$ の組は $(1, 1, 1), (1, -1, -1), (-1, 1, -1), (-1, -1, 1)$ のいずれかである。

和の条件式を変形すると、$d = -a - c$, $f = -c - e$, $b = -e - a$ となる。

(i) $(a, c, e) = (1, 1, 1)$ のとき

$d = -2, f = -2, b = -2$ となる。このとき、$cd = 1 \cdot (-2) = -2 = b$ となり、他の積の条件式も同様に満たす。 よって、$(1, -2, 1, -2, 1, -2)$ は解である。

(ii) $(a, c, e) = (1, -1, -1)$ のとき

$d = -1 - (-1) = 0$ となるが、これは $bdf \neq 0$ に矛盾する。 対称性により、$(-1, 1, -1)$ および $(-1, -1, 1)$ の場合もそれぞれ $f = 0, b = 0$ となり矛盾する。

以上より、求める整数の組は2つである。

(2)

(i)

すべての正の整数 $n$ について、解と係数の関係より以下の式が成り立つ。

$$ a_{n+1} + b_{n+1} = -a_n $$

$$ a_{n+1}b_{n+1} = b_n $$

2番目の式より、絶対値をとると $|b_n| = |a_{n+1}||b_{n+1}|$ となる。 $a_{n+1} \neq 0$ かつ $b_{n+1} \neq 0$ のとき、$|a_{n+1}| \ge 1$ であるから、$|b_n| \ge |b_{n+1}|$ が成り立つ。 数列 $\{|b_n|\}$ は非負整数の列である。

もし、ある $k$ で $a_{k+1} = 0$ となった場合を考える。 このとき、$b_k = 0 \cdot b_{k+1} = 0$ である。 和の式より、$0 + b_{k+1} = -a_k \implies b_{k+1} = -a_k$ となる。 ここで $b_{k+1} \neq 0$(すなわち $a_k \neq 0$)と仮定する。 $n = k+1$ のとき、方程式は $x^2 + b_{k+1} = 0$ となり、この整数解が $a_{k+2}, b_{k+2}$ である。 和と積の関係から、$b_{k+2} = -a_{k+2}$ かつ $-a_{k+2}^2 = b_{k+1}$ となる。 $b_{k+1} \neq 0$ より、$a_{k+2} \neq 0$ である。 $n = k+2$ のとき、方程式は $x^2 + a_{k+2}x - a_{k+2} = 0$ となる。 これが整数解をもつため、判別式 $D = a_{k+2}^2 + 4a_{k+2}$ が平方数 $l^2$ ($l \ge 0$ の整数) でなければならない。

$$ a_{k+2}^2 + 4a_{k+2} = l^2 $$

$$ (a_{k+2} + 2)^2 - l^2 = 4 $$

$$ (a_{k+2} + 2 - l)(a_{k+2} + 2 + l) = 4 $$

左辺の2つの因数は差が $2l$ の偶数であるから、ともに偶数となる。積が4になる組合せは $(2, 2)$ または $(-2, -2)$ である。 これより、$a_{k+2} + 2 = \pm 2$、$l = 0$ となり、$a_{k+2} = 0$ または $-4$ を得る。 $a_{k+2} \neq 0$ を仮定しているため、$a_{k+2} = -4$ である。 このとき、$b_{k+2} = -(-4) = 4$ となり、$n = k+2$ の方程式は $x^2 - 4x + 4 = 0$ となる。 この解は $2, 2$ なので、$(a_{k+3}, b_{k+3}) = (2, 2)$ である。 すると、$n = k+3$ の方程式は $x^2 + 2x + 2 = 0$ となるが、判別式が $-4 < 0$ となり実数解をもたない。 これは条件(**)に矛盾する。 したがって、$b_{k+1} = 0$ でなければならない。 $b_{k+1} = 0$ ならば、同様にして $b_{k+2} = 0$ となり、以降すべての $n \ge k$ で $b_n = 0$ となる。

以上より、すべての $n$ に対して $|b_n| \ge |b_{n+1}|$ が成り立つか、あるいはある項から先がすべて $0$ になるかのいずれかである。 非負整数列の単調非増加列は必ずある項以降で一定値となるため、正の整数 $m$ が存在して $|b_m| = |b_{m+1}| = \cdots$ となる。

(ii)

(i) の結果より、ある正の整数 $m$ が存在して $n \ge m$ で $|b_n| = C$ ($C$ は一定の非負整数) となる。

(A) $C = 0$ のとき

ある $m$ 以降で $b_n = 0$ である。 $b_n = a_{n+1}b_{n+1}$ であるから、$b_{n+1} = 0$ ならば $b_n = 0$ が成り立つ。 これを帰納的に用いると、すべての正の整数 $n$ について $b_n = 0$ となる。 このとき、和の条件式は $a_{n+1} + 0 = -a_n \implies a_{n+1} = -a_n$ となる。 $a_1 = c$ ($c$ は任意の整数) とおくと、$a_n = c(-1)^{n-1}$ となる。 $(a_n, b_n) = (c(-1)^{n-1}, 0)$ は条件を満たす。

(B) $C > 0$ のとき

すべての $n$ に対して $b_n \neq 0$ である。 $n \ge m$ において $|b_n| = |b_{n+1}| = C > 0$ であり、$|b_n| = |a_{n+1}||b_{n+1}|$ より $|a_{n+1}| = 1$ となる。 したがって、$n \ge m+1$ で $a_n = 1$ または $-1$ である。

ある $k \ge m+1$ で $a_k = 1$ のとき、和の式より $1 + b_{k+1} = -a_k = -1 \implies b_{k+1} = -2$ となる($a_{k+1} = 1$ のとき)。もし $a_{k+1} = -1$ なら $b_{k+1} = 0$ となり矛盾する。 このとき、積の式より $b_k = a_{k+1}b_{k+1} = 1 \cdot (-2) = -2$ となる。 よって $a_k = 1$ ならば $a_{k+1} = 1$ かつ $b_k = b_{k+1} = -2$ であり、これが続くため $n \ge k$ で $(a_n, b_n) = (1, -2)$ となる。

一方、ある $k \ge m+1$ で $a_k = -1$ となったと仮定する。 和の式より $-1 + b_{k+1} = -a_k = 1 \implies b_{k+1} = 2$ となる($a_{k+1} = -1$ のとき。$a_{k+1} = 1$ なら $b_{k+1} = 0$ で矛盾)。 積の式より $b_k = a_{k+1}b_{k+1} = (-1) \cdot 2 = -2$ となる。 よって $(a_k, b_k) = (-1, -2)$ であるが、このとき方程式は $x^2 - x - 2 = 0$ となり、解は $2, -1$ である。 $(a_{k+1}, b_{k+1}) = (-1, 2)$ となるが、次の方程式が $x^2 - x + 2 = 0$ となり、実数解をもたないため矛盾する。 したがって、$a_k = -1$ となることはない。

以上より、$n \ge m+1$ において常に $(a_n, b_n) = (1, -2)$ となる。 さらに、ある $N$ で $(a_N, b_N) = (1, -2)$ のとき、方程式 $x^2 + a_{N-1}x + b_{N-1} = 0$ の解が $1, -2$ であるから、 和は $1 + (-2) = -a_{N-1} \implies a_{N-1} = 1$ 積は $1 \cdot (-2) = b_{N-1} \implies b_{N-1} = -2$ となり、$(a_{N-1}, b_{N-1}) = (1, -2)$ である。 これを遡ることで、すべての正の整数 $n$ について $(a_n, b_n) = (1, -2)$ となる。

解説

2次方程式の解と係数の関係を利用し、条件を数列の漸化式とみなして解き進める整数問題・数列問題である。 (1) は対称性を持つ連立方程式の定石通り、積の形を作ることで候補を絞り込む。 (2) は、(1) で考えた方程式の連鎖を無限列に拡張したものである。非負整数列の絶対値が単調減少または一定になるという「無限降下法」に似た考え方を用いて、数列がいずれ定数になることを示すのがポイントである。遡って数列全体を決定する論理展開にも注意したい。

答え

(1)

$(a, b, c, d, e, f) = (0, 0, 0, 0, 0, 0), (1, -2, 1, -2, 1, -2)$

(2)

(i) 正の整数 $m$ で

$$ |b_m|=|b_{m+1}|=|b_{m+2}|=\cdots $$

となるものが存在する。

(ii) $(a_n, b_n) = (c(-1)^{n-1}, 0)$ ($c$ は任意の整数)、および $(a_n, b_n) = (1, -2)$

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