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大阪大学 1962年 文系 第3問 解説

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大阪大学 1962年 文系 第3問 解説

方針・初手

根号を含む無理不等式 $A \geqq \sqrt{B}$ を解く問題です。両辺を単に2乗するだけでは同値性が保たれないため、根号の中身が $0$ 以上であるという「実数条件」と、右辺が $0$ 以上であることから左辺も $0$ 以上でなければならないという「符号の条件」を忘れずに立式することが第一歩となります。

解法1

不等式 $x+y+1 \geqq \sqrt{2xy-2y}$ は、無理不等式 $A \geqq \sqrt{B}$ の形をしている。 これが成り立つための必要十分条件は、以下の3つの不等式をすべて満たすことである。

$$ \begin{cases} 2xy - 2y \geqq 0 \\ x + y + 1 \geqq 0 \\ (x + y + 1)^2 \geqq 2xy - 2y \end{cases} $$

それぞれの不等式を整理する。

第1の条件(根号内が $0$ 以上)について、

$$ 2y(x-1) \geqq 0 $$

これより、以下のいずれかが成り立つ。

$$ (x \geqq 1 \text{ かつ } y \geqq 0) \text{ または } (x \leqq 1 \text{ かつ } y \leqq 0) $$

第2の条件(左辺が $0$ 以上)について、

$$ y \geqq -x - 1 $$

第3の条件(両辺の2乗)について、展開して整理する。

$$ x^2 + y^2 + 1 + 2xy + 2x + 2y \geqq 2xy - 2y $$

$$ x^2 + y^2 + 2x + 4y + 1 \geqq 0 $$

平方完成して円の方程式の形にする。

$$ (x+1)^2 - 1 + (y+2)^2 - 4 + 1 \geqq 0 $$

$$ (x+1)^2 + (y+2)^2 \geqq 4 $$

以上より、求める領域は、以下の (ア) または (イ) の連立不等式を満たす点 $(x, y)$ の集合である。

(ア) $x \geqq 1$ かつ $y \geqq 0$ の場合

この範囲では、$x+y+1 \geqq 2 > 0$ であり、第2の条件は常に満たされる。 また、$(x+1)^2 + (y+2)^2 \geqq 2^2 + 2^2 = 8 > 4$ となるため、第3の条件も常に満たされる。 したがって、領域 $x \geqq 1$ かつ $y \geqq 0$ はすべて求める領域に含まれる。

(イ) $x \leqq 1$ かつ $y \leqq 0$ の場合

満たすべき条件は以下のようになる。

$$ \begin{cases} x \leqq 1 \\ y \leqq 0 \\ y \geqq -x - 1 \\ (x+1)^2 + (y+2)^2 \geqq 4 \end{cases} $$

ここで、境界となる直線 $y = -x - 1$ と円 $C: (x+1)^2 + (y+2)^2 = 4$ の位置関係を調べる。 $x+1 = -y$ を円の方程式に代入すると、

$$ (-y)^2 + (y+2)^2 = 4 $$

$$ 2y^2 + 4y + 4 = 4 $$

$$ 2y(y+2) = 0 $$

よって、$y = 0, -2$ となる。 $y=0$ のとき $x=-1$、$y=-2$ のとき $x=1$ となるから、直線と円の交点は $(-1, 0)$ と $(1, -2)$ である。

また、円 $C$ の中心 $(-1, -2)$ を直線の方程式 $x+y+1=0$ の左辺に代入すると $-1-2+1 = -2 < 0$ となるため、中心は直線の左下側にある。 したがって、直線 $y \geqq -x - 1$ と円の外部 $(x+1)^2 + (y+2)^2 \geqq 4$ の共通部分は、交点 $(-1, 0)$ と $(1, -2)$ を結ぶ円弧(中心から見て右上の短い方の弧)よりも上側の領域となる。

さらに、$y=0$ を円の方程式に代入すると $(x+1)^2 = 0$ より $x=-1$ となり、$x$ 軸は点 $(-1, 0)$ で円に接する。 $x=1$ を代入すると $(y+2)^2 = 0$ より $y=-2$ となり、直線 $x=1$ は点 $(1, -2)$ で円に接する。

これらを総合すると、(イ) の領域は、点 $(-1,0)$ と点 $(1,-2)$ を結ぶ円弧と、線分 $y=0 \ (-1 \leqq x \leqq 1)$、線分 $x=1 \ (-2 \leqq y \leqq 0)$ で囲まれた部分となる。

(ア)(イ) の領域を合わせたものが求める領域である。

解説

無理不等式 $A \geqq \sqrt{B}$ を解く際の定石である「$B \geqq 0$」「$A \geqq 0$」「$A^2 \geqq B$」という3条件を正確に書き出せるかがすべてです。安易に両辺を2乗すると、同値性が崩れて余分な領域を含んでしまいます。

また、領域を図示する段階では、直線と円の交点を求め、さらにその交点が軸との接点になっていることに気づくことで、境界線が滑らかにつながる正確な図を描くことができます。中心と直線の位置関係から、円のどちら側の弧が境界になるかを判定する慎重さも求められます。

答え

求める領域は、以下の境界線で囲まれた領域である(境界線をすべて含む)。

図示すると、$xy$ 平面において、上記の円弧および $x=1$ と $x$ 軸、さらに $x \geqq 1, y \geqq 0$ を満たす第1象限側へ広がる領域となる。

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