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大阪大学 1974年 文系 第1問 解説

数学2/図形と式数学3/極限数学1/方程式不等式テーマ/軌跡・領域テーマ/場合分け
大阪大学 1974年 文系 第1問 解説

方針・初手

$E_n$ は不等式 $y < |x|^n$ が表す領域である。

(1) は $n=1, 2, 3$ の不等式を同時に満たす領域を考える。$|x|$ の値の範囲によって、$|x|, |x|^2, |x|^3$ の大小関係が変わることに注意して場合分けを行う。

(2) は「すべての正の整数 $n$ に対して $y < |x|^n$ が成り立つ」ような $(x, y)$ の条件を求める。これは、各 $x$ を固定したときに数列 $\{|x|^n\}$ の最小値や極限を考えることと同値である。(1) と同様に $x$ の値で場合分けして条件を絞り込む。

解法1

(1)

$E_1, E_2, E_3$ の交わりは、連立不等式

$$ \begin{cases} y < |x| \\ y < |x|^2 \\ y < |x|^3 \end{cases} $$

を満たす点 $(x, y)$ の集合である。 これは、$y < \min(|x|, |x|^2, |x|^3)$ と同値である。 $x$ の値によって、この最小値が変わるため場合分けを行う。

(i)

$0 \le |x| < 1$ のとき

$|x| \ge |x|^2 \ge |x|^3$ が成り立つから、$\min(|x|, |x|^2, |x|^3) = |x|^3$ となる。 よって、条件は $y < |x|^3$ である。

(ii)

$|x| = 1$ のとき

$|x| = |x|^2 = |x|^3 = 1$ が成り立つから、$\min(|x|, |x|^2, |x|^3) = 1$ となる。 よって、条件は $y < 1$ である。

(iii)

$|x| > 1$ のとき

$|x| < |x|^2 < |x|^3$ が成り立つから、$\min(|x|, |x|^2, |x|^3) = |x|$ となる。 よって、条件は $y < |x|$ である。

以上より、求める共通部分は、 $|x| \le 1$ のとき $y < |x|^3$ $|x| > 1$ のとき $y < |x|$ を満たす点 $(x, y)$ の集合である。

(2)

すべての正の整数 $n$ に対して $y < |x|^n$ が成り立つ条件を、$x$ の値で場合分けして求める。

(i)

$x = 0$ のとき

任意の正の整数 $n$ について $|0|^n = 0$ である。 よって、すべての $n$ に対して $y < 0$ が成り立つことが条件である。

(ii)

$0 < |x| < 1$ のとき

$n \to \infty$ のとき $|x|^n \to 0$ であり、常に $|x|^n > 0$ である。 もし $y > 0$ とすると、十分に大きな $n$ において $|x|^n < y$ となってしまい、条件に反する。 一方、$y \le 0$ であれば、任意の $n$ について $|x|^n > 0 \ge y$ となり、すべての $n$ に対して $y < |x|^n$ が成り立つ。 よって、条件は $y \le 0$ である。

(iii)

$|x| = 1$ のとき

任意の正の整数 $n$ について $|1|^n = 1$ である。 よって、条件は $y < 1$ である。

(iv)

$|x| > 1$ のとき

数列 $\{|x|^n\}$ は単調増加である。 したがって、すべての $n$ に対して $y < |x|^n$ が成り立つための必要十分条件は、$n=1$ のときに不等式が成り立つこと、すなわち $y < |x|$ である。

以上をまとめると、共有される点 $(x, y)$ の条件は以下のようになる。

$$ \begin{cases} y < 0 & (x = 0) \\ y \le 0 & (-1 < x < 0, \ 0 < x < 1) \\ y < 1 & (x = \pm 1) \\ y < -x & (x < -1) \\ y < x & (x > 1) \end{cases} $$

これを座標平面に図示すると、求める領域の形状と境界は以下のようになる。

解説

不等式の表す領域の共通部分および極限に関する問題である。

(1) では $|x|$ を底とする指数関数の大小関係を正しく把握できているかが問われている。(2) は無限個の領域の共通部分を求める問題であり、「任意の正の整数 $n$ について成立する条件」を考える必要がある。

特に $0 < |x| < 1$ の場合、極限が $0$ になるため $y \le 0$ であれば厳密な不等号 $y < |x|^n$ が常に成立するという論理を、正確に記述できるかがポイントとなる。極限値そのもの($0$)と、各項の値($>0$)の区別をつけることが重要である。また、境界線の含む・含まない(特に $x=0, \pm 1$ の特別な点上の扱い)について細心の注意を払う必要がある。

答え

(1)

$$ \{ (x, y) \mid (|x| \le 1 \text{ かつ } y < |x|^3) \text{ または } (|x| > 1 \text{ かつ } y < |x|) \} $$

(2)

領域は以下の条件を満たす点 $(x, y)$ の集合である。

$$ \begin{cases} y < 0 & (x = 0) \\ y \le 0 & (-1 < x < 0, \ 0 < x < 1) \\ y < 1 & (x = -1, \ 1) \\ y < -x & (x < -1) \\ y < x & (x > 1) \end{cases} $$

図示する際は、上記の領域を塗りつぶす。境界線については、$-1 < x < 0$ および $0 < x < 1$ の区間における $x$ 軸($y = 0$)のみを含み、他の直線 $y = \pm x$ などの境界は含まない。また、点 $(-1, 1), (0, 0), (1, 1)$ は領域に含まれない(白丸となる)。

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