北海道大学 2006年 理系 第1問 解説

方針・初手
与えられている等式 $4x + 3y + 2z = 1$ を用いて1文字(たとえば $z$)を消去し、変数の数を減らすことが基本方針となります。 式変形と不等式の評価によって代数的に最大値・最小値や値の範囲を求めるアプローチと、変数を減らしたうえで $xy$ 平面上の領域を図示し、幾何的に捉えるアプローチ(線形計画法)が考えられます。
解法1
代数的な式変形と不等式評価による解法を示します。
(1)
$x$ の最大値を求めます。 条件 $x \leqq y \leqq z$ より、$x \leqq y$ かつ $x \leqq z$ です。 これらを与えられた等式 $4x + 3y + 2z = 1$ に適用して評価すると、
$$ 1 = 4x + 3y + 2z \geqq 4x + 3x + 2x = 9x $$
したがって、$x \leqq \frac{1}{9}$ が得られます。 等号は $x = y = z = \frac{1}{9}$ のとき成立し、このとき $x \leqq y \leqq z \leqq 1$ を満たします。 よって、$x$ の最大値は $\frac{1}{9}$ です。
次に、$y$ の最小値を求めます。 与えられた等式より、
$$ 2z = 1 - 4x - 3y $$
となります。 $x \leqq y$ の両辺に $-4$ を掛けると $-4x \geqq -4y$ であるため、これを用いて上の式を評価すると、
$$ 2z \geqq 1 - 4y - 3y = 1 - 7y $$
さらに、条件 $z \leqq 1$ より $2z \leqq 2$ であるから、
$$ 1 - 7y \leqq 2z \leqq 2 $$
不等式 $1 - 7y \leqq 2$ を解くと、
$$ 7y \geqq -1 $$
$$ y \geqq -\frac{1}{7} $$
等号は $z = 1$ かつ $x = y$ のとき成立します。 このとき $4x + 3x + 2(1) = 1$ より $x = -\frac{1}{7}$ となり、$x \leqq y \leqq z \leqq 1$ を満たします。 よって、$y$ の最小値は $-\frac{1}{7}$ です。
(2)
$3x - y + z = k$ とおきます。 等式 $4x + 3y + 2z = 1$ より $z = \frac{1 - 4x - 3y}{2}$ であるため、これを代入します。
$$ k = 3x - y + \frac{1 - 4x - 3y}{2} = \frac{2x - 5y + 1}{2} $$
これを $x$ について解くと、
$$ 2x = 5y + 2k - 1 $$
となります。 また、$z = \frac{1 - 4x - 3y}{2}$ を条件 $x \leqq y \leqq z \leqq 1$ に代入して整理し、$x, y$ が満たすべき条件を求めます。
$x \leqq y$ はそのまま利用します。
$y \leqq z$ より、
$$ y \leqq \frac{1 - 4x - 3y}{2} $$
$$ 4x + 5y \leqq 1 $$
$z \leqq 1$ より、
$$ \frac{1 - 4x - 3y}{2} \leqq 1 $$
$$ 4x + 3y \geqq -1 $$
これら3つの不等式に $2x = 5y + 2k - 1$ を代入し、$y$ についての条件にします。
$x \leqq y$ に代入すると、
$$ \frac{5y + 2k - 1}{2} \leqq y $$
$$ 3y \leqq 1 - 2k $$
$$ y \leqq \frac{1 - 2k}{3} $$
$4x + 5y \leqq 1$ に代入すると、
$$ 2(5y + 2k - 1) + 5y \leqq 1 $$
$$ 15y \leqq 3 - 4k $$
$$ y \leqq \frac{3 - 4k}{15} $$
$4x + 3y \geqq -1$ に代入すると、
$$ 2(5y + 2k - 1) + 3y \geqq -1 $$
$$ 13y \geqq 1 - 4k $$
$$ y \geqq \frac{1 - 4k}{13} $$
以上より、$k$ に対してこのような実数 $y$ が存在するための条件は、「$y$ の下限が上限以下になること」です。 したがって、次の2つの不等式が同時に成り立つ必要があります。
$$ \frac{1 - 4k}{13} \leqq \frac{1 - 2k}{3} $$
$$ \frac{1 - 4k}{13} \leqq \frac{3 - 4k}{15} $$
前半の不等式を解きます。
$$ 3(1 - 4k) \leqq 13(1 - 2k) $$
$$ 3 - 12k \leqq 13 - 26k $$
$$ 14k \leqq 10 $$
$$ k \leqq \frac{5}{7} $$
後半の不等式を解きます。
$$ 15(1 - 4k) \leqq 13(3 - 4k) $$
$$ 15 - 60k \leqq 39 - 52k $$
$$ -8k \leqq 24 $$
$$ k \geqq -3 $$
これらをともに満たす範囲は $-3 \leqq k \leqq \frac{5}{7}$ です。 よって、$3x - y + z$ の値の範囲は $-3 \leqq 3x - y + z \leqq \frac{5}{7}$ となります。
解法2
$z$ を消去して $xy$ 平面上の領域を図示し、線形計画法を用いる解法を示します。
(1)
等式より $z = \frac{1 - 4x - 3y}{2}$ です。 これを条件 $x \leqq y \leqq z \leqq 1$ に代入して整理すると、点 $(x, y)$ が満たすべき条件は以下の3つの不等式になります。
$$ x \leqq y $$
$$ 4x + 5y \leqq 1 $$
$$ 4x + 3y \geqq -1 $$
この連立不等式が表す $xy$ 平面上の領域を $D$ とすると、$D$ は次の3直線 $L_1, L_2, L_3$ で囲まれる三角形の周および内部となります。
$$ L_1: y = x $$
$$ L_2: 4x + 5y = 1 $$
$$ L_3: 4x + 3y = -1 $$
各直線の交点(三角形の頂点)の座標を求めます。
$L_1$ と $L_2$ の交点を $A$ とします。 $x = y$ を $4x + 5y = 1$ に代入して $9x = 1$ より、点 $A\left(\frac{1}{9}, \frac{1}{9}\right)$ です。
$L_1$ と $L_3$ の交点を $B$ とします。 $x = y$ を $4x + 3y = -1$ に代入して $7x = -1$ より、点 $B\left(-\frac{1}{7}, -\frac{1}{7}\right)$ です。
$L_2$ と $L_3$ の交点を $C$ とします。 $4x + 5y = 1$ と $4x + 3y = -1$ を辺々引くと $2y = 2$ より $y = 1$ です。 これを代入して $x = -1$ を得るため、点 $C(-1, 1)$ です。
領域 $D$ はこれら3点 $A, B, C$ を頂点とする三角形です。 領域 $D$ において、$x$ 座標が最も大きくなるのは点 $A$ のときであり、その値は $\frac{1}{9}$ です。 また、$y$ 座標が最も小さくなるのは点 $B$ のときであり、その値は $-\frac{1}{7}$ です。 (これらの点で得られる $x, y$ に対して、対応する $z$ は条件 $z \leqq 1$ などを満たしています。) よって、$x$ の最大値は $\frac{1}{9}$、$y$ の最小値は $-\frac{1}{7}$ です。
(2)
$3x - y + z = k$ とおきます。 $z = \frac{1 - 4x - 3y}{2}$ を代入すると、
$$ k = \frac{2x - 5y + 1}{2} $$
これを $y$ について整理すると、
$$ y = \frac{2}{5}x + \frac{1 - 2k}{5} $$
となります。 これは $xy$ 平面において、傾きが $\frac{2}{5}$、$y$ 切片が $\frac{1 - 2k}{5}$ の直線を表します。 この直線が領域 $D$ と共有点をもつような $k$ の範囲を考えます。 $k$ の値は、この直線が領域 $D$ の頂点 $A, B, C$ のいずれかを通るときに最大または最小となります。
各頂点を直線が通るときの $k$ の値を $k = \frac{2x - 5y + 1}{2}$ を用いて計算します。
点 $A\left(\frac{1}{9}, \frac{1}{9}\right)$ を通るとき:
$$ k = \frac{\frac{2}{9} - \frac{5}{9} + 1}{2} = \frac{\frac{6}{9}}{2} = \frac{1}{3} $$
点 $B\left(-\frac{1}{7}, -\frac{1}{7}\right)$ を通るとき:
$$ k = \frac{-\frac{2}{7} + \frac{5}{7} + 1}{2} = \frac{\frac{10}{7}}{2} = \frac{5}{7} $$
点 $C(-1, 1)$ を通るとき:
$$ k = \frac{-2 - 5 + 1}{2} = \frac{-6}{2} = -3 $$
得られた値を比較すると、最小値は $-3$、最大値は $\frac{5}{7}$ です。 したがって、求める範囲は $-3 \leqq 3x - y + z \leqq \frac{5}{7}$ となります。
解説
与えられた等式を活用して文字を1つ消去し、3変数の問題を2変数の問題に落とし込むことが解決の糸口です。 解法1のように、代数的な処理のみで不等式を評価して答えを導くことも可能ですが、文字消去や不等式の処理でミスが起こりやすい点に注意が必要です。 解法2のように、文字を消去したのちに $xy$ 平面上の領域を図示するアプローチは、視覚的に状況を把握できるため方針が立てやすく、(1)と(2)を統一した視点で解き進められる点で実戦的です。
答え
(1) $x$ の最大値は $\frac{1}{9}$、$y$ の最小値は $-\frac{1}{7}$
(2) $-3 \leqq 3x - y + z \leqq \frac{5}{7}$
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