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大阪大学 2012年 文系 第1問 解説

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大阪大学 2012年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) は多項式の割り算についての条件である。実際に $(x+1)^2 = x^2+2x+1$ で割った余りを求めて係数を比較するか、あるいは整式が平方で割り切れるときの条件(関数とその導関数がともに $-1$ で $0$ になること)を利用する。

(2) は3次関数が極大値と極小値をもつ条件である。導関数 $f'(x)=0$ が異なる2つの実数解をもつ条件に帰着させ、判別式を評価する。

解法1

(1)

$f(x) = x^3 + lx^2 + mx + n$ が $(x+1)^2$ で割り切れるとする。

商は1次式であり、$x^3$ の係数が $1$、定数項が $n$ となることから、商を $x+n$ とおくことができる。

$$ x^3 + lx^2 + mx + n = (x+1)^2(x+n) $$

右辺を展開すると、

$$ \begin{aligned} (x^2 + 2x + 1)(x + n) &= x^3 + nx^2 + 2x^2 + 2nx + x + n \\ &= x^3 + (n+2)x^2 + (2n+1)x + n \end{aligned} $$

両辺の係数を比較して、以下の関係式を得る。

$$ \begin{cases} l = n + 2 \\ m = 2n + 1 \end{cases} $$

$l, m, n$ はさいころの目であるから、$1 \leqq l \leqq 6$、$1 \leqq m \leqq 6$、$1 \leqq n \leqq 6$ の自然数である。

$m = 2n+1 \leqq 6$ より、$2n \leqq 5$ となるから、$n = 1, 2$ に絞られる。

よって、条件を満たす $(l, m, n)$ の組は $(3, 3, 1)$ と $(4, 5, 2)$ の $2$ 通りである。

さいころの目の出方は全部で $6^3 = 216$ 通りあるため、求める確率は、

$$ \frac{2}{216} = \frac{1}{108} $$

(2)

$f(x) = x^3 + lx^2 + mx + n$ は $x^3$ の係数が正の3次関数である。

関数 $y = f(x)$ が極大値も極小値もとるための必要十分条件は、方程式 $f'(x) = 0$ が異なる2つの実数解をもつことである。

導関数を求めると、

$$ f'(x) = 3x^2 + 2lx + m $$

方程式 $3x^2 + 2lx + m = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D > 0$ であればよい。

$$ \frac{D}{4} = l^2 - 3m > 0 $$

すなわち、$l^2 > 3m$ を満たすさいころの目 $l, m$ の組を求める。

$m$ の値で場合分けして、$l^2 > 3m$ を満たす $l$ の個数を数える。

条件を満たす $(l, m)$ の組は合計で $5 + 4 + 3 + 3 + 3 + 2 = 20$ 通りある。

このそれぞれに対して、$n$ は $1$ から $6$ までの $6$ 通りの値をとることができる。

したがって、条件を満たす $(l, m, n)$ の組の総数は、

$$ 20 \times 6 = 120 \text{ 通り} $$

よって、求める確率は、

$$ \frac{120}{216} = \frac{5}{9} $$

解法2

(1)の別解(微分を用いた解法)

整式 $f(x)$ が $(x+1)^2$ で割り切れるための必要十分条件は、$f(-1) = 0$ かつ $f'(-1) = 0$ が成り立つことである。

$$ \begin{aligned} f(-1) &= -1 + l - m + n = 0 \\ f'(-1) &= 3 - 2l + m = 0 \end{aligned} $$

これらを整理すると、

$$ \begin{cases} l - m + n = 1 \\ -2l + m = -3 \end{cases} $$

第2式より $m = 2l - 3$ となる。これを第1式に代入する。

$$ \begin{aligned} l - (2l - 3) + n &= 1 \\ -l + n + 3 &= 1 \\ l &= n + 2 \end{aligned} $$

$l = n + 2$ を $m = 2l - 3$ に代入して、

$$ \begin{aligned} m &= 2(n + 2) - 3 \\ m &= 2n + 1 \end{aligned} $$

以下、解法1と同様にして $n=1, 2$ を得て、確率を求めることができる。

解説

(1) は「整式が2次式で割り切れる条件」を立式する問題である。商を具体的に置いて恒等式として処理する方針(解法1)と、微分の性質を利用する方針(解法2)のどちらでも簡潔に解ける。微分を利用する条件「$P(x)$ が $(x-\alpha)^2$ で割り切れる $\iff P(\alpha)=P'(\alpha)=0$」は難関大入試で頻出である。

(2) は「3次関数が極値をもつ条件」を判別式に帰着させて確率を求める、典型的な融合問題である。さいころの目は $1$ から $6$ までの整数しかとらないため、不等式を満たす組をしらみつぶしに数え上げるのが最も確実である。また、$n$ がどのような値をとっても極値をもつ条件には影響しないため、$n$ の選び方($6$ 通り)を掛け忘れないように注意する必要がある。

答え

(1)

$\displaystyle \frac{1}{108}$

(2)

$\displaystyle \frac{5}{9}$

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