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大阪大学 2012年 理系 第5問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学3/極限数学3/微分法テーマ/場合分け
大阪大学 2012年 理系 第5問 解説

方針・初手

(1)は、分数関数が極限をもつための必要十分条件である「分母が $0$ に収束するとき、分子も $0$ に収束する」ことを利用して、$l, m, n$ の関係式を導く。 (2)は、分数関数の極値に関する問題である。微分を容易にし見通しをよくするため、まずは分子を分母で割り、整式部分と分数部分に分けてから導関数 $f'(x)$ を計算する。その後は、導関数の符号が変化する条件を立式する。 関係式が求まった後は、さいころの目という制約($1$ から $6$ の整数)のもとで、条件を満たす組の数を数え上げる。

解法1

(1) $\lim_{x \to -1} \frac{lx^2 + mx + n}{x + 1}$ が存在するための条件を求める。 $x \to -1$ のとき、分母 $x + 1 \to 0$ であるから、極限値が存在するためには分子も $0$ に収束しなければならない。

すなわち、

$$ \lim_{x \to -1} (lx^2 + mx + n) = l - m + n = 0 $$

が必要である。 逆に $m = l + n$ のとき、与式に代入すると

$$ \lim_{x \to -1} \frac{lx^2 + (l+n)x + n}{x + 1} = \lim_{x \to -1} \frac{(x+1)(lx+n)}{x+1} = \lim_{x \to -1} (lx+n) = -l + n $$

となり、極限値が存在する。 したがって、求める条件は $m = l + n$ である。

$l, m, n$ は $1$ 以上 $6$ 以下の整数であるから、$m$ の値で場合分けして条件を満たす $(l, n)$ の組を調べる。

(i)

$m = 2$ のとき $l + n = 2$ となり、$(l, n) = (1, 1)$ の $1$ 通り。

(ii)

$m = 3$ のとき $l + n = 3$ となり、$(l, n) = (1, 2), (2, 1)$ の $2$ 通り。

(iii)

$m = 4$ のとき $l + n = 4$ となり、$(l, n) = (1, 3), (2, 2), (3, 1)$ の $3$ 通り。

(iv)

$m = 5$ のとき $l + n = 5$ となり、$(l, n) = (1, 4), (2, 3), (3, 2), (4, 1)$ の $4$ 通り。

(v)

$m = 6$ のとき $l + n = 6$ となり、$(l, n) = (1, 5), (2, 4), (3, 3), (4, 2), (5, 1)$ の $5$ 通り。

これらは互いに排反であるから、条件を満たす $(l, m, n)$ の組は合計で

$$ 1 + 2 + 3 + 4 + 5 = 15 \text{ (通り)} $$

存在する。 さいころの目の出方は全体で $6^3 = 216$ 通りであるから、求める確率は

$$ \frac{15}{216} = \frac{5}{72} $$

である。

(2) $f(x)$ の分子を分母 $x+1$ で割って、式を整理する。

$$ \begin{aligned} f(x) &= \frac{l(x^2 - 1) + mx + n + l}{x + 1} \\ &= \frac{l(x - 1)(x + 1) + m(x + 1) - m + n + l}{x + 1} \\ &= l(x - 1) + m + \frac{l - m + n}{x + 1} \end{aligned} $$

これを微分すると、

$$ f'(x) = l - \frac{l - m + n}{(x + 1)^2} $$

となる。 $f(x)$ が $x > -1$ で極値をもつための条件は、$f'(x) = 0$ となる $x$ が $x > -1$ の範囲に存在し、その前後で $f'(x)$ の符号が変化することである。 方程式 $f'(x) = 0$ を変形すると、

$$ \frac{l - m + n}{(x + 1)^2} = l \iff (x + 1)^2 = \frac{l - m + n}{l} $$

$x > -1$ より $x + 1 > 0$ であるから、この方程式が実数解をもつならば、$x + 1 = \sqrt{\frac{l - m + n}{l}}$ すなわち $x = -1 + \sqrt{\frac{l - m + n}{l}}$ が唯一の解となる。 $l > 0$(さいころの目)であるから、この解が実数として存在するための条件は分子が正、すなわち

$$ l - m + n > 0 \iff l + n > m $$

である。 この条件を満たすとき、解 $x = \alpha$ の前後で $f'(x)$ は負から正へと符号が変化するため、確かに極小値をもつ。 したがって、求める条件は $l + n > m$ である。

この条件 $l + n > m$ を満たす $(l, m, n)$ の組の数を数える。 直接数えることもできるが、事象 $l + n \leqq m$ となる組の数を求める方が容易であるため、各 $m$ について考える。

(i)

$m = 1$ のとき $l \geqq 1, n \geqq 1$ より常に $l + n \geqq 2$ となるため、$l + n \leqq 1$ を満たす組はない($0$ 通り)。

(ii)

$m = 2$ のとき $l + n \leqq 2$ となるのは $(l, n) = (1, 1)$ の $1$ 通り。

(iii)

$m = 3$ のとき $l + n \leqq 3$ となるのは $(l, n) = (1, 1), (1, 2), (2, 1)$ の $3$ 通り。

(iv)

$m = 4$ のとき $l + n \leqq 4$ となるのは和が $4$ 以下の組であり、$1+2+3 = 6$ 通り。

(v)

$m = 5$ のとき $l + n \leqq 5$ となるのは和が $5$ 以下の組であり、$1+2+3+4 = 10$ 通り。

(vi)

$m = 6$ のとき $l + n \leqq 6$ となるのは和が $6$ 以下の組であり、$1+2+3+4+5 = 15$ 通り。

これらより、$l + n \leqq m$ を満たす組は合計で

$$ 0 + 1 + 3 + 6 + 10 + 15 = 35 \text{ (通り)} $$

存在する。 全事象は $216$ 通りであるから、$l + n > m$ を満たす組は

$$ 216 - 35 = 181 \text{ (通り)} $$

ある。 よって、求める確率は

$$ \frac{181}{216} $$

である。

解説

(1)は、関数の極限に関する基本的な成立条件を問う問題である。(2)で分数関数を微分する際、商の微分公式をそのまま適用するよりも、分子を分母の $x+1$ で割り算し、「整式 $+$ 分数」の形(次数下げ)をしてから微分する方が、計算ミスを防ぎやすく符号の判定も容易になる。確率の計算においては、不等式を満たす組を数える際に余事象の考え方を活用することで、数え上げの手間を削減できる。

答え

(1)

$\frac{5}{72}$

(2)

$\frac{181}{216}$

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