大阪大学 1962年 理系 第3問 解説

方針・初手
水面が上昇していく過程において、時刻 $t$ における水面の高さを $h$、器Aと器Bの高さ $h$ における断面積の和を $S(h)$ とおいて、注水量と体積の増加分の関係を式に表す。 水面の上昇速度が一定であることから、任意の高さにおいて $S(h)$ が一定であることを導く。
解法1
器Aの球の中心を原点とし、鉛直上向きを $y$ 軸の正の向きとする。 器Aは半径 $r$ の球形であるから、その表面の方程式は $x^2+y^2+z^2=r^2$ と表せる。 器Bの円錐の頂点は原点にあり、円錐の軸は鉛直方向($y$ 軸)である。器Bの側面は線分 $y=mx \ (0 \leqq y \leqq r)$ を $y$ 軸のまわりに回転させたものであるため、器Bは $0 \leqq y \leqq r$ の領域に存在する。
「水をAの中心の高さまであらかじめ入れておく」という条件より、初期状態(時刻 $t=0$)における水面の高さは $y=0$ である。このとき、器Aは下半分が水で満たされており、器Bは頂点 $y=0$ まで水が来ている(中は空の)状態である。
その後、水を注ぎ始めてからの時刻 $t$ における水面の高さを $h$ ($0 \leqq h \leqq r$) とする。 高さ $h$ における器Aの断面積を $S_A(h)$、器Bの断面積を $S_B(h)$ とおくと、 $$S_A(h) = \pi(r^2 - h^2)$$
$$S_B(h) = \pi \left( \frac{h}{|m|} \right)^2 = \frac{\pi h^2}{m^2}$$
となる($m \neq 0$)。
時刻 $t$ までに注がれた水の体積を $V$ とすると、水は毎秒 $a$ の割合で注がれるから、 $$\frac{dV}{dt} = a$$
である。また、$V$ は器Aと器Bにおける高さ $0$ から $h$ までの体積の和に等しいから、 $$V = \int_{0}^{h} \{S_A(y) + S_B(y)\} \,dy$$
両辺を時刻 $t$ で微分すると、合成関数の微分法より $$\frac{dV}{dt} = \frac{dh}{dt} \frac{d}{dh} \int_{0}^{h} \{S_A(y) + S_B(y)\} \,dy$$
$$\frac{dV}{dt} = \frac{dh}{dt} \{S_A(h) + S_B(h)\}$$
ここで、$\frac{dV}{dt} = a$ であり、水面の上昇速度は毎秒 $b$ で一定であるから $\frac{dh}{dt} = b$ である。 したがって、 $$a = b \left\{ \pi(r^2 - h^2) + \frac{\pi h^2}{m^2} \right\}$$
$$a = \pi r^2 b + \pi b \left( \frac{1}{m^2} - 1 \right) h^2$$
が成り立つ。
この等式が、水面が器Aの小孔に達するまで($0 \leqq h \leqq r$)の任意の $h$ において成立しなければならないため、$h$ についての恒等式となる。 よって、$h^2$ の係数は $0$ であり、定数項は $a$ に等しいので、 $$\pi b \left( \frac{1}{m^2} - 1 \right) = 0$$
かつ $$\pi r^2 b = a$$
が成り立つ。
水面が上昇していることから $b > 0$ であり、 第1式より $$\frac{1}{m^2} - 1 = 0 \iff m^2 = 1 \iff m = \pm 1$$
第2式と $r > 0$ より $$r^2 = \frac{a}{\pi b} \iff r = \sqrt{\frac{a}{\pi b}}$$
を得る。
解説
体積を微分すると断面積になるという微積分の基本関係式 $\frac{dV}{dh} = S(h)$ を利用する標準的な問題である。 「上昇速度が一定」という条件は、「任意の高さ $h$ において、両器の断面積の和 $S(h)$ が一定である」ことと同値になる。 直感的には、球を水平に切った断面は高さが上がるにつれて小さくなる( $h^2$ に比例して減少)が、円錐は高さが上がるにつれて大きくなる( $h^2$ に比例して増加)。これらを足し合わせたときにちょうど相殺し合い、一定の断面積を持つ容器(円柱など)と同じになるように $m$ を調整する、という仕組みである。
なお、$m$ の符号については、線分を $y$ 軸のまわりに回転させるため、$x > 0$ の領域にある線分($m=1$)でも $x < 0$ の領域にある線分($m=-1$)でも、できあがる円錐の形状は同じになる。そのため、数学的には $m = \pm 1$ の双方が解となる。
答え
$$m = \pm 1, \quad r = \sqrt{\frac{a}{\pi b}}$$
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