大阪大学 1962年 理系 第4問 解説

方針・初手
対数の真数条件から、まずは与えられた3つの数がすべて正であるための $a$ の範囲を確認します。
次に、「常用対数が公差1の等差数列になる」という条件を読み替えます。対数の性質から、これは元の3つの数を適当な順に並べたとき、その比が $1 : 10 : 100$ になることと同値です。
ここで、3つの式の大小関係を比較し、最大となる式を特定することで、場合の数を絞り込むのが賢明な方針です。
解法1
対数の真数は正であるから、以下の3つの不等式が同時に成り立つ必要がある。
$$ \begin{cases} 10a^2 + 81a + 207 > 0 \\ a + 2 > 0 \\ 26 - 2a > 0 \end{cases} $$
第2式より $a > -2$、第3式より $a < 13$ である。 また、第1式については以下のように変形できる。
$$ 10a^2 + 81a + 207 = 10\left(a + \frac{81}{20}\right)^2 + \frac{1719}{40} > 0 $$
これはすべての実数 $a$ について成り立つ。 したがって、求める $a$ の範囲は以下の通りとなる。
$$ -2 < a < 13 \quad \cdots \text{①} $$
次に、3つの数を $A = 10a^2 + 81a + 207$, $B = a + 2$, $C = 26 - 2a$ とおく。 これらの差をとって大小関係を調べる。
$$ A - B = 10a^2 + 80a + 205 = 5 \{ 2(a+4)^2 + 9 \} > 0 $$
したがって、常に $A > B$ である。 同様に、$A$ と $C$ の差をとる。
$$ A - C = 10a^2 + 83a + 181 $$
この2次式を $0$ とおいたときの判別式を $D$ とすると、
$$ D = 83^2 - 4 \cdot 10 \cdot 181 = 6889 - 7240 = -351 < 0 $$
$a^2$ の係数が正で $D < 0$ であるから、すべての実数 $a$ に対して $A - C > 0$ であり、常に $A > C$ である。 以上より、3つの数の中で $A$ が常に最大であることがわかる。
一方、適当な順に並べた3つの数を小さい順に $X, Y, Z$ とする。 これらの常用対数 $\log_{10} X, \log_{10} Y, \log_{10} Z$ が公差1の等差数列をなすので、
$$ \log_{10} Y - \log_{10} X = 1 \iff Y = 10X $$
$$ \log_{10} Z - \log_{10} Y = 1 \iff Z = 10Y = 100X $$
すなわち、3つの数は比が $1 : 10 : 100$ となり、$x, 10x, 100x$ ($x > 0$) の形で表される。 最大の数が $A$ であるため、$A = 100x$ に対応し、残りの $B$ と $C$ がそれぞれ $x$ と $10x$ のいずれかになる。 これより、以下の2つの場合が考えられる。
(i) $B = x, C = 10x$ の場合
$C = 10B$ かつ $A = 100B$ が成り立つ必要がある。 $C = 10B$ より、
$$ 26 - 2a = 10(a + 2) $$
$$ 12a = 6 \iff a = \frac{1}{2} $$
これは条件①を満たす。 このとき、$B = \frac{5}{2}$ より $100B = 250$ となる。 一方、$a = \frac{1}{2}$ を $A$ に代入すると、
$$ A = 10\left(\frac{1}{2}\right)^2 + 81 \cdot \frac{1}{2} + 207 = \frac{5}{2} + \frac{81}{2} + 207 = 250 $$
よって $A = 100B$ も満たすため、$a = \frac{1}{2}$ は適する。
(ii) $C = x, B = 10x$ の場合
$B = 10C$ かつ $A = 100C$ が成り立つ必要がある。 $B = 10C$ より、
$$ a + 2 = 10(26 - 2a) $$
$$ 21a = 258 \iff a = \frac{86}{7} $$
これは条件①を満たす。 このとき、$C = 26 - 2 \cdot \frac{86}{7} = \frac{10}{7}$ より $100C = \frac{1000}{7}$ となる。 一方、$a = \frac{86}{7}$ を $A$ に代入すると、
$$ \begin{aligned} A &= 10\left(\frac{86}{7}\right)^2 + 81 \cdot \frac{86}{7} + 207 \\ &= \frac{73960}{49} + \frac{6966}{7} + 207 \\ &= \frac{73960 + 48762 + 10143}{49} \\ &= \frac{132865}{49} \end{aligned} $$
$100C = \frac{1000}{7} = \frac{7000}{49}$ であるため、$A \neq 100C$ となり不適。
以上より、条件を満たすのは $a = \frac{1}{2}$ のみである。
解法2
解法1と同様に、3つの数を $A, B, C$ とおき、真数条件 $-2 < a < 13$ (①)および、$A$ が最大の数であることを示す。
3つの数は $x, 10x, 100x$ ($x > 0$) の形で表され、最大の数が $A$ であることから、$\{B, C\} = \{x, 10x\}$ かつ $A = 100x$ が成り立つ。 ここで、和をとると $B + C = x + 10x = 11x$ となるので、
$$ x = \frac{B + C}{11} = \frac{(a + 2) + (26 - 2a)}{11} = \frac{-a + 28}{11} $$
これを $A = 100x$ に代入すると、
$$ 10a^2 + 81a + 207 = 100 \cdot \frac{-a + 28}{11} $$
両辺を11倍して整理する。
$$ 110a^2 + 891a + 2277 = -100a + 2800 $$
$$ 110a^2 + 991a - 523 = 0 $$
これを因数分解する。
$$ (2a - 1)(55a + 523) = 0 $$
条件①より、$a = -\frac{523}{55} \approx -9.51$ は不適であるから、$a = \frac{1}{2}$ と求まる。
最後に、これが十分条件を満たすか確認する。 $a = \frac{1}{2}$ のとき、$B = \frac{5}{2}, C = 25$ となり、確かに $\{B, C\} = \{x, 10x\}$ ($x = \frac{5}{2}$)の形になっている。 よって、求める値は $a = \frac{1}{2}$ である。
解説
「適当な順に並べる」という条件の扱いがポイントです。等差数列の公差が1であることから、真数の比が $1:10:100$ になることを最初に見抜く必要があります。
また、3つの式の大小関係を調べることで、一番複雑な式である $10a^2 + 81a + 207$ が常に最大となることがわかり、場合分けの負担を大きく減らすことができます。この「大小比較による絞り込み」は難関大でよく求められる発想です。
解法2のように、和の基本対称式を利用して必要条件から絞り込む手法も、連立方程式を効率的に処理する上で有力なアプローチとなります。
答え
$$ a = \frac{1}{2} $$
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