大阪大学 1964年 理系 第3問 解説

方針・初手
与えられた不等式が「すべての実数 $x$ で成り立つ」条件を求める問題である。 まずは分母である $x^2 + x + 1$ がすべての実数 $x$ に対して正の値をとることに着目し、両辺に分母を掛けて式を整理する。その後、$x$ についての2次不等式が常に成り立つ条件(判別式の利用)へと帰着させる。
解法1
すべての実数 $x$ に対して、
$$ x^2 + x + 1 = \left( x + \frac{1}{2} \right)^2 + \frac{3}{4} > 0 $$
が成り立つ。 したがって、与えられた不等式の両辺に $x^2 + x + 1$ を掛けても不等号の向きは変わらず、
$$ x^2 \cos\theta + x(\cos\theta + 2) + \cos\theta > (\sin\theta - 2)(x^2 + x + 1) $$
となる。 これを $x$ について整理すると、
$$ x^2 \cos\theta + x\cos\theta + 2x + \cos\theta > (\sin\theta - 2)x^2 + (\sin\theta - 2)x + (\sin\theta - 2) $$
$$ (\cos\theta - \sin\theta + 2)x^2 + (\cos\theta - \sin\theta + 4)x + (\cos\theta - \sin\theta + 2) > 0 $$
ここで、$X = \cos\theta - \sin\theta$ とおくと、不等式は次のように書ける。
$$ (X + 2)x^2 + (X + 4)x + (X + 2) > 0 $$
三角関数の合成により $X = \sqrt{2}\cos\left(\theta + \frac{\pi}{4}\right)$ であるから、$X$ のとりうる値の範囲は、
$$ -\sqrt{2} \leqq X \leqq \sqrt{2} $$
である。 このとき、$X + 2 \geqq -\sqrt{2} + 2 > 0$ であるため、$x^2$ の係数 $X + 2$ は常に正である。 したがって、上記の $x$ についての2次不等式がすべての実数 $x$ で成り立つための必要十分条件は、2次方程式 $(X + 2)x^2 + (X + 4)x + (X + 2) = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D < 0$ となることである。
$$ D = (X + 4)^2 - 4(X + 2)^2 < 0 $$
$$ X^2 + 8X + 16 - 4(X^2 + 4X + 4) < 0 $$
$$ -3X^2 - 8X < 0 $$
$$ X(3X + 8) > 0 $$
これを解くと、
$$ X < -\frac{8}{3}, \quad 0 < X $$
となる。 $-\sqrt{2} \leqq X \leqq \sqrt{2}$ であり、$-\frac{8}{3} < -\sqrt{2}$ であるから、$X < -\frac{8}{3}$ を満たす $X$ は存在しない。 よって、条件を満たす $X$ の範囲は $0 < X \leqq \sqrt{2}$、すなわち $X > 0$ となる。
$X = \cos\theta - \sin\theta$ より、
$$ \cos\theta - \sin\theta > 0 $$
三角関数の合成を行うと、
$$ \sqrt{2}\cos\left(\theta + \frac{\pi}{4}\right) > 0 $$
$$ \cos\left(\theta + \frac{\pi}{4}\right) > 0 $$
$\theta$ には特に範囲が指定されていないため、一般角を用いて解を求める。 $n$ を整数として、
$$ 2n\pi - \frac{\pi}{2} < \theta + \frac{\pi}{4} < 2n\pi + \frac{\pi}{2} $$
各辺から $\frac{\pi}{4}$ を引いて、
$$ 2n\pi - \frac{3}{4}\pi < \theta < 2n\pi + \frac{\pi}{4} $$
を得る。
解説
分数不等式の処理に関する典型問題である。 分母が常に正であることを確認して分母を払う手法は、絶対不等式において頻出である。$x$ について整理した際、各項の係数に $\cos\theta - \sin\theta$ という共通の塊が現れるため、これを別の文字に置き換えることで計算の見通しが大幅に良くなる。 また、問題文に $\theta$ の定義域が与えられていないため、答えは一般角(整数 $n$ を用いた表現)で記述しなければならない点に注意が必要である。
答え
$$ 2n\pi - \frac{3}{4}\pi < \theta < 2n\pi + \frac{\pi}{4} \quad (n \text{ は整数}) $$
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