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大阪大学 1997年 理系 第1問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学1/方程式不等式テーマ/場合分け
大阪大学 1997年 理系 第1問 解説

方針・初手

$A$ と $B$ は同時に出発し、$A$ の速さは $B$ の速さの 3 倍である。2 つの動点が出会うためには、それまでに進んだ距離の和が経路の全長と等しくなる必要がある。まずはこの関係から、出会う可能性のある点の条件($x+y$ の値)を絞り込む。

次に確率の計算においては、「進む方向の可能性が 2 つある格子点」の条件に注意が必要である。図形の境界に達して進む方向が 1 つに限定された場合、その方向へは確率 1 で進むことになる。この境界での挙動の扱いで計算ミスが起きやすいため、経路ごとに丁寧に確率を足し合わせる。

解法1

(1)

$A$ は $(0,0)$ から $(3,3)$ へ最短経路を進むため、経路の全長は $3+3=6$ である。 $B$ も $(3,3)$ から $(0,0)$ へ最短経路を進むため、経路の全長は $6$ である。

$A, B$ が同時に出発し、$A$ の速さが $B$ の速さの 3 倍であるため、$A$ が距離 $3d$ を進んだとき、$B$ は距離 $d$ を進む。 $A$ と $B$ が出会うのは、同じ線分上を逆向きに進んで交差するときであるから、2 人が進んだ距離の和は経路の全長 $6$ となる。 したがって、出会うまでにかかる時間を $t$、出発から出会うまでに $B$ が進んだ距離を $d$ とすると、

$$ 3d + d = 6 \iff 4d = 6 \iff d = 1.5 $$

ゆえに、$B$ は $(3,3)$ から距離 $1.5$ だけ進んだ地点で $A$ と出会う。同時に $A$ は $(0,0)$ から距離 $4.5$ だけ進んだ地点にいる。 このとき、出会う点の座標 $(x,y)$ は $x+y=4.5$ を満たす。 $L$ 上の点で $x+y=4.5$ を満たすのは、格子点間の線分の中点である。 考えられる線分は、$x+y=4$ の格子点から $x+y=5$ の格子点へ向かう以下の 4 本である。

これらの線分上で $x+y=4.5$ を満たす点を求める。

(i)

$(1,3)$ から $(2,3)$ の線分上では、$y=3$ であるから $x = 1.5$ となり、点は $\left(\frac{3}{2}, 3\right)$。 (ii)

$(2,2)$ から $(2,3)$ の線分上では、$x=2$ であるから $y = 2.5$ となり、点は $\left(2, \frac{5}{2}\right)$。 (iii)

$(2,2)$ から $(3,2)$ の線分上では、$y=2$ であるから $x = 2.5$ となり、点は $\left(\frac{5}{2}, 2\right)$。 (iv)

$(3,1)$ から $(3,2)$ の線分上では、$x=3$ であるから $y = 1.5$ となり、点は $\left(3, \frac{3}{2}\right)$。

これらが $A$ と $B$ が出会う可能性のある点である。

(2)

進む方向の可能性が 2 つある場合、$A$ は確率 $p$ で上($y$ 軸正の方向)へ、確率 $1-p$ で右($x$ 軸正の方向)へ進む。 進路が 1 つしかない境界上の格子点($x=3$ や $y=3$)に達した場合は、確率 $1$ で残りの方向へ進む。 $B$ も同様に、確率 $p$ で下、確率 $1-p$ で左へ進み、境界では確率 $1$ で進む。

(1) で求めた 4 つの点を順に $P_1 \left(\frac{3}{2}, 3\right), P_2 \left(2, \frac{5}{2}\right), P_3 \left(\frac{5}{2}, 2\right), P_4 \left(3, \frac{3}{2}\right)$ とおき、各点で出会う確率を求める。

(i)

$P_1 \left(\frac{3}{2}, 3\right)$ で出会う確率 $A$ が $P_1$ を通るためには、格子点 $(1,3)$ を通過する必要がある。 $(1,3)$ に到達する経路は、$(0,3)$ を経由するものと、$(1,2)$ を経由するものがある。 $(0,3)$ を経由する確率:$(0,2)$ まで上に進み、そこから上に進み、その後右へ確率 1 で進むので、$p^2 \times p \times 1 = p^3$。 $(1,2)$ を経由する確率:$(1,2)$ に到達する確率が ${}_3C_1 p^2(1-p) = 3p^2(1-p)$。そこから上に進み、その後右へ確率 1 で進むので、$3p^2(1-p) \times p \times 1 = 3p^3(1-p)$。 よって、$A$ が $P_1$ を通る確率は $p^3 + 3p^3(1-p) = p^3(4-3p)$。 一方、$B$ は $(3,3)$ から $(2,3) \to \left(\frac{3}{2}, 3\right)$ と進むので、常に 2 つの選択肢がある中から左を選ぶため、確率は $(1-p) \times (1-p) = (1-p)^2$。 したがって、$P_1$ で出会う確率は

$$ p^3(4-3p)(1-p)^2 $$

(ii)

$P_2 \left(2, \frac{5}{2}\right)$ で出会う確率 $A$ は $(2,2)$ を経由して上へ進む。 $(2,2)$ に到達する確率は ${}_4C_2 p^2(1-p)^2 = 6p^2(1-p)^2$。そこから上へ進むので $6p^3(1-p)^2$。 $B$ は $(3,3)$ から $(2,3)$ へ進み、下へ進む。 確率は $(1-p) \times p = p(1-p)$。 したがって、$P_2$ で出会う確率は

$$ 6p^3(1-p)^2 \times p(1-p) = 6p^4(1-p)^3 $$

(iii)

$P_3 \left(\frac{5}{2}, 2\right)$ で出会う確率 $A$ は $(2,2)$ を経由して右へ進む。 確率:$6p^2(1-p)^2 \times (1-p) = 6p^2(1-p)^3$。 $B$ は $(3,3)$ から $(3,2)$ へ進み、左へ進む。 確率:$p \times (1-p) = p(1-p)$。 したがって、$P_3$ で出会う確率は

$$ 6p^2(1-p)^3 \times p(1-p) = 6p^3(1-p)^4 $$

(iv)

$P_4 \left(3, \frac{3}{2}\right)$ で出会う確率 $A$ は $(3,1)$ を通過して上へ進む。 $(3,1)$ に到達する経路は、$(3,0)$ を経由するものと、$(2,1)$ を経由するものがある。 $(3,0)$ を経由する確率:右に 3 回進み、確率 1 で上へ進むので、$(1-p)^3 \times 1 = (1-p)^3$。 $(2,1)$ を経由する確率:${}_3C_1 p(1-p)^2 = 3p(1-p)^2$。そこから右へ進み、確率 1 で上へ進むので、$3p(1-p)^2 \times (1-p) = 3p(1-p)^3$。 よって、$A$ が $(3,1)$ を通過する確率は $(1-p)^3 + 3p(1-p)^3 = (3p+1)(1-p)^3$。 一方、$B$ は $(3,3)$ から $(3,2) \to \left(3, \frac{3}{2}\right)$ と下へ 2 回進むので、確率は $p^2$。 したがって、$P_4$ で出会う確率は

$$ p^2(3p+1)(1-p)^3 $$

(3)

(2) で求めた確率を順に $p_1, p_2, p_3, p_4$ とおく。 $x$ 座標が最も小さい点は $P_1 \left(\frac{3}{2}, 3\right)$ であり、その確率は $p_1$ である。 求める条件は $p_1 > p_2$ かつ $p_1 > p_3$ かつ $p_1 > p_4$ である。 $0 < p < 1$ に注意して各不等式を解く。

(i)

$p_1 > p_2$ について

$$ p^3(4-3p)(1-p)^2 > 6p^4(1-p)^3 $$

両辺を $p^3(1-p)^2 > 0$ で割ると

$$ 4-3p > 6p(1-p) \iff 6p^2 - 9p + 4 > 0 $$

この 2 次方程式の判別式を $D$ とすると、$D = 81 - 96 = -15 < 0$ となるため、すべての実数 $p$ で成り立つ。

(ii)

$p_1 > p_3$ について

$$ p^3(4-3p)(1-p)^2 > 6p^3(1-p)^4 $$

両辺を $p^3(1-p)^2 > 0$ で割ると

$$ 4-3p > 6(1-p)^2 \iff 6p^2 - 9p + 2 < 0 $$

$6p^2 - 9p + 2 = 0$ の解は $p = \frac{9 \pm \sqrt{33}}{12}$ であり、$\sqrt{25} < \sqrt{33} < \sqrt{36}$ より $5 < \sqrt{33} < 6$ であるから、 $\frac{9-\sqrt{33}}{12} < \frac{4}{12} = \frac{1}{3} < \frac{1}{2}$ である。 不等式の解は $\frac{9-\sqrt{33}}{12} < p < \frac{9+\sqrt{33}}{12}$ である。

(iii)

$p_1 > p_4$ について

$$ p^3(4-3p)(1-p)^2 > p^2(3p+1)(1-p)^3 $$

両辺を $p^2(1-p)^2 > 0$ で割ると

$$ p(4-3p) > (3p+1)(1-p) $$

$$ 4p - 3p^2 > -3p^2 + 2p + 1 \iff 2p > 1 \iff p > \frac{1}{2} $$

(i), (ii), (iii) および $0 < p < 1$ の共通範囲を求める。 (ii) より $\frac{9-\sqrt{33}}{12} < \frac{1}{2}$ であり、また $\frac{9+\sqrt{33}}{12} > \frac{14}{12} > 1$ であるから、 $p > \frac{1}{2}$ の条件を重ね合わせると、求める範囲は

$$ \frac{1}{2} < p < 1 $$

解説

出会う点の座標を求める際、速さの比が 3:1 であることから、距離の和が 6 になる瞬間に着目して $x+y=4.5$ となる点を特定するのが確実な初手である。 確率の計算では、「境界にぶつかった後の移動確率」が最大の罠になる。例えば $(0,3)$ に到達した後は上に行く選択肢がなく、右へ行くしかないため「確率 $1-p$」ではなく「確率 $1$」を掛けなければならない。この処理を誤ると $P_1$ や $P_4$ の確率が狂い、最後の不等式が解けなくなってしまう。

答え

(1)

$\left(\frac{3}{2}, 3\right), \left(2, \frac{5}{2}\right), \left(\frac{5}{2}, 2\right), \left(3, \frac{3}{2}\right)$

(2)

$\left(\frac{3}{2}, 3\right)$ で出会う確率:$p^3(4-3p)(1-p)^2$ $\left(2, \frac{5}{2}\right)$ で出会う確率:$6p^4(1-p)^3$ $\left(\frac{5}{2}, 2\right)$ で出会う確率:$6p^3(1-p)^4$ $\left(3, \frac{3}{2}\right)$ で出会う確率:$p^2(3p+1)(1-p)^3$

(3)

$\frac{1}{2} < p < 1$

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