東京工業大学 1977年 理系 第2問 解説

方針・初手
$X$ と $Y$ はそれぞれ独立に $10$ 通りの値をとり得るため、すべての $(X, Y)$ の組み合わせは $100$ 通りあり、これらは同様に確からしい。 $X, Y$ の一の位を四捨五入した値をそれぞれ $X', Y'$ とする。四捨五入の性質から、$X$ および $Y$ の値の範囲によって $X', Y'$ の値が決まるため、それらの組み合わせで4つのグループに場合分けをして考える。 条件 $S < S'$ は $XY < X'Y'$ であり、これを $Y < \frac{X'Y'}{X}$ と変形することで、各 $X$ に対する $Y$ の個数を効率よく数え上げることができる。
解法1
$X$ は $20$ から $29$ までの整数、$Y$ は $80$ から $89$ までの整数をとる。 $X$ と $Y$ の選び方はそれぞれ $10$ 通りであり、独立に選ばれるため、全事象は $10 \times 10 = 100$ 通りである。
$X, Y$ の一の位を四捨五入した値をそれぞれ $X', Y'$ とする。四捨五入の結果により、$X, Y$ を以下のように分類できる。
- $20 \le X \le 24$ のとき、$X' = 20$
- $25 \le X \le 29$ のとき、$X' = 30$
- $80 \le Y \le 84$ のとき、$Y' = 80$
- $85 \le Y \le 89$ のとき、$Y' = 90$
面積 $S$ および $S'$ は、$S = XY$、$S' = X'Y'$ である。 求める条件 $S < S'$ は $XY < X'Y'$ と表され、$X > 0$ より以下のように変形できる。
$$ Y < \frac{X'Y'}{X} $$
$X'$ と $Y'$ の値の組み合わせによって、以下の4つの場合に分けて条件を満たす $(X, Y)$ の組の数を数える。
(i)
$X'=20, Y'=80$ のとき
$X$ は $20 \le X \le 24$、$Y$ は $80 \le Y \le 84$ の範囲にある。 条件式は $Y < \frac{1600}{X}$ となる。 $X \ge 20$ であるから、$\frac{1600}{X} \le 80$ が成り立つ。 したがって $Y < 80$ とならなければならないが、$80 \le Y \le 84$ を満たす範囲にそのような $Y$ は存在しない。 よって、条件を満たす組は $0$ 通りである。
(ii)
$X'=20, Y'=90$ のとき
$X$ は $20 \le X \le 24$、$Y$ は $85 \le Y \le 89$ の範囲にある。 条件式は $Y < \frac{1800}{X}$ となる。各 $X$ について調べる。
- $X=20$ のとき、$Y < \frac{1800}{20} = 90$。これを満たす $Y$ は $85, 86, 87, 88, 89$ の $5$ 通り。
- $X=21$ のとき、$Y < \frac{1800}{21} = 85.7\cdots$。これを満たす $Y$ は $85$ の $1$ 通り。
- $X=22$ のとき、$Y < \frac{1800}{22} = 81.8\cdots$。これを満たす $Y \ge 85$ は存在しない。
- $X \ge 23$ のときも、$\frac{1800}{X}$ はさらに小さくなるため、満たす $Y$ は存在しない。
よって、条件を満たす組は $5 + 1 = 6$ 通りである。
(iii)
$X'=30, Y'=80$ のとき
$X$ は $25 \le X \le 29$、$Y$ は $80 \le Y \le 84$ の範囲にある。 条件式は $Y < \frac{2400}{X}$ となる。各 $X$ について調べる。
- $X=25$ のとき、$Y < \frac{2400}{25} = 96$。これを満たす $Y$ は $80, 81, 82, 83, 84$ の $5$ 通り。
- $X=26$ のとき、$Y < \frac{2400}{26} = 92.3\cdots$。これを満たす $Y$ は $5$ 通り。
- $X=27$ のとき、$Y < \frac{2400}{27} = 88.8\cdots$。これを満たす $Y$ は $5$ 通り。
- $X=28$ のとき、$Y < \frac{2400}{28} = 85.7\cdots$。これを満たす $Y$ は $5$ 通り。
- $X=29$ のとき、$Y < \frac{2400}{29} = 82.7\cdots$。これを満たす $Y$ は $80, 81, 82$ の $3$ 通り。
よって、条件を満たす組は $5 \times 4 + 3 = 23$ 通りである。
(iv)
$X'=30, Y'=90$ のとき
$X$ は $25 \le X \le 29$、$Y$ は $85 \le Y \le 89$ の範囲にある。 条件式は $Y < \frac{2700}{X}$ となる。 $X \le 29$ の範囲において、$\frac{2700}{X}$ の最小値は $X=29$ のときであり、$\frac{2700}{29} = 93.1\cdots$ である。 すなわち、常に $Y \le 89 < \frac{2700}{X}$ が成り立つため、この範囲にあるすべての $(X, Y)$ の組み合わせが条件を満たす。 よって、条件を満たす組は $5 \times 5 = 25$ 通りである。
以上 (i) ~ (iv) より、条件を満たす $(X, Y)$ の組の総数は、
$$ 0 + 6 + 23 + 25 = 54 $$
通りである。 したがって、求める確率は
$$ \frac{54}{100} = \frac{27}{50} $$
となる。
解説
四捨五入によって基準となる面積 $S'$ が $1600, 1800, 2400, 2700$ の4パターンに限定されることに着目し、場合分けを行うことが問題解決の鍵となる。 $XY < X'Y'$ の不等式を直接計算して比較してもよいが、$Y < \frac{X'Y'}{X}$ と片方の変数について解くことで、不等式を満たす整数の個数を効率的に数え上げることができる。
答え
$$ \frac{27}{50} $$
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