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大阪大学 2014年 理系 第4問 解説

数学1/立体図形数学3/積分法数学3/極限テーマ/空間図形テーマ/面積・体積
大阪大学 2014年 理系 第4問 解説

方針・初手

自分で適切な座標軸を設定し、立体の配置を数式に落とし込むことが第一歩である。 問題の対称性から、$S_1$ と $S_2$ の接点を原点とし、中心を結ぶ直線を $z$ 軸として座標空間を設定する。この設定により、$T_1, \dots, T_n$ の中心がすべて $xy$ 平面上にあることを式で示せるようになる。 (1)では、球が環状に並んで接する条件から、中心が正 $n$ 角形をなすことに着目し、断面の直角三角形を用いて関係式を立てる。 (2)では、$T_1$ を回転させた立体(トーラス)の体積 $V_n$ を求めるために、$z$ 軸に垂直な平面で切断したときの切り口の面積を積分する。極限の計算は $\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1$ の形に帰着させる。

解法1

(1)

空間座標を設定する。球 $S_1, S_2$ は半径1で1点で接しているため、$S_1$ の中心を $A(0, 0, 1)$、$S_2$ の中心を $B(0, 0, -1)$ としても一般性を失わない。このとき、2球の接点は原点 $O(0, 0, 0)$ となる。

球 $T_i$ ($i = 1, 2, \dots, n$) の半径を $r_n$ とし、$T_i$ の中心を $C_i(x_i, y_i, z_i)$ とする。

$T_i$ は $S_1, S_2$ とそれぞれ外接するため、中心間の距離について以下の2式が成り立つ。

$$ x_i^2 + y_i^2 + (z_i - 1)^2 = (1 + r_n)^2 $$

$$ x_i^2 + y_i^2 + (z_i + 1)^2 = (1 + r_n)^2 $$

辺々を引くと、

$$ (z_i - 1)^2 - (z_i + 1)^2 = 0 $$

$$ -4z_i = 0 \iff z_i = 0 $$

したがって、$T_i$ の中心 $C_i$ は $xy$ 平面上に存在する。

$C_i$ の原点からの距離を $R_n = \sqrt{x_i^2 + y_i^2}$ ($R_n > 0$) とおくと、先の式から

$$ R_n^2 + (-1)^2 = (1 + r_n)^2 $$

$$ R_n^2 = r_n^2 + 2r_n $$

$$ R_n = \sqrt{r_n^2 + 2r_n} $$

条件(イ)より、$n$ 個の球 $T_1, \dots, T_n$ は互いに外接して環状に並んでいる。中心 $C_i$ は原点 $O$ を中心とする半径 $R_n$ の円周上に等間隔に配置されており、$n$ 個の点は正 $n$ 角形の頂点をなす。

隣接する球の中心 $C_i, C_{i+1}$ (ただし $C_{n+1} = C_1$) の間の距離は $2r_n$ である。

$\triangle OC_iC_{i+1}$ は、$OC_i = OC_{i+1} = R_n$、$C_iC_{i+1} = 2r_n$ であり、$\angle C_iOC_{i+1} = \frac{2\pi}{n}$ の二等辺三角形である。原点 $O$ から線分 $C_iC_{i+1}$ に垂線を下ろしてできる直角三角形に着目すると、

$$ \sin \frac{\pi}{n} = \frac{r_n}{R_n} $$

が成り立つ。これに $R_n = \sqrt{r_n^2 + 2r_n}$ を代入すると、

$$ \sin \frac{\pi}{n} = \frac{r_n}{\sqrt{r_n^2 + 2r_n}} $$

両辺ともに正であるから、2乗して整理する。

$$ \sin^2 \frac{\pi}{n} = \frac{r_n^2}{r_n^2 + 2r_n} = \frac{r_n}{r_n + 2} $$

$$ r_n \sin^2 \frac{\pi}{n} + 2 \sin^2 \frac{\pi}{n} = r_n $$

$$ r_n \left( 1 - \sin^2 \frac{\pi}{n} \right) = 2 \sin^2 \frac{\pi}{n} $$

$$ r_n \cos^2 \frac{\pi}{n} = 2 \sin^2 \frac{\pi}{n} $$

$n \geqq 3$ より $\cos \frac{\pi}{n} \neq 0$ であるから、両辺を割って

$$ r_n = 2 \tan^2 \frac{\pi}{n} $$

(2)

球 $T_1$ の中心は $xy$ 平面上の原点からの距離が $R_n$ の点である。回転体の体積を考えるにあたり、対称性より $T_1$ の中心を $(R_n, 0, 0)$ としても一般性を失わない。

$T_1$ を $S_1$ と $S_2$ の中心を結ぶ直線(すなわち $z$ 軸)の周りに回転させてできる立体(トーラス)の体積 $V_n$ を計算する。

$T_1$ は方程式 $(x - R_n)^2 + y^2 + z^2 \leqq r_n^2$ で表される球体である。これを平面 $z = t$ ($-r_n \leqq t \leqq r_n$) で切断した断面は、中心 $(R_n, 0, t)$、半径 $\sqrt{r_n^2 - t^2}$ の円である。

この断面を $z$ 軸の周りに1回転させてできる図形は、外半径が $R_n + \sqrt{r_n^2 - t^2}$、内半径が $R_n - \sqrt{r_n^2 - t^2}$ のドーナツ状の領域(アニュラス)である。その面積 $S(t)$ は、

$$ S(t) = \pi \left( R_n + \sqrt{r_n^2 - t^2} \right)^2 - \pi \left( R_n - \sqrt{r_n^2 - t^2} \right)^2 $$

$$ S(t) = 4\pi R_n \sqrt{r_n^2 - t^2} $$

したがって、$V_n$ はこれを $-r_n$ から $r_n$ まで積分して求められる。

$$ V_n = \int_{-r_n}^{r_n} 4\pi R_n \sqrt{r_n^2 - t^2} \, dt = 4\pi R_n \int_{-r_n}^{r_n} \sqrt{r_n^2 - t^2} \, dt $$

ここで、定積分 $\int_{-r_n}^{r_n} \sqrt{r_n^2 - t^2} \, dt$ は半径 $r_n$ の半円の面積に等しいので、$\frac{1}{2}\pi r_n^2$ である。よって、

$$ V_n = 4\pi R_n \cdot \frac{1}{2}\pi r_n^2 = 2\pi^2 R_n r_n^2 $$

一方、$W_n$ は半径 $r_n$ の球 $n$ 個分の体積の和であるから、

$$ W_n = n \cdot \frac{4}{3}\pi r_n^3 = \frac{4n}{3}\pi r_n^3 $$

求める極限は、(1)で求めた関係式 $\frac{r_n}{R_n} = \sin \frac{\pi}{n}$ を用いて計算する。

$$ \frac{W_n}{V_n} = \frac{\frac{4n}{3}\pi r_n^3}{2\pi^2 R_n r_n^2} = \frac{2n}{3\pi} \cdot \frac{r_n}{R_n} = \frac{2n}{3\pi} \sin \frac{\pi}{n} $$

これを極限の公式が使える形に変形する。

$$ \frac{W_n}{V_n} = \frac{2}{3} \cdot \frac{\sin \frac{\pi}{n}}{\frac{\pi}{n}} $$

$n \to \infty$ のとき $\frac{\pi}{n} \to 0$ であるから、$\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1$ を用いて、

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{W_n}{V_n} = \lim_{n \to \infty} \frac{2}{3} \cdot \frac{\sin \frac{\pi}{n}}{\frac{\pi}{n}} = \frac{2}{3} \cdot 1 = \frac{2}{3} $$

解説

空間図形の問題では、図形の対称性を最大限に活かせるように自ら座標軸を設定する技術が問われる。本問では接点と中心の配置から直交座標を導入することで、幾何的な条件を代数的な処理に持ち込むことができる。

また、(2)のトーラスの体積計算は頻出のテーマである。パップス・ギュルダンの定理(回転体の体積は「断面の面積 $\times$ 重心の移動距離」となる)を知っていれば $V_n = (\pi r_n^2) \times (2\pi R_n) = 2\pi^2 R_n r_n^2$ と直感的に結果を予想できるが、記述式の解答では本解答のように定積分を用いて導出過程を明記するべきである。

答え

(1)

$r_n = 2 \tan^2 \frac{\pi}{n}$

(2)

$\lim_{n \to \infty} \frac{W_n}{V_n} = \frac{2}{3}$

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