大阪大学 2014年 理系 第3問 解説

方針・初手
与えられた数列の和は直接計算することができないため、定積分を用いて和の値を評価する。関数 $y = \frac{1}{\sqrt{x}}$ が単調減少であることを利用し、長方形の面積と曲線の下の面積を比較することで不等式を作る。
解法1
関数 $f(x) = \frac{1}{\sqrt{x}}$ は $x > 0$ において単調減少である。
自然数 $k$ に対して、$k \leqq x \leqq k+1$ のとき、以下の不等式が成り立つ。
$$ \frac{1}{\sqrt{k+1}} \leqq \frac{1}{\sqrt{x}} \leqq \frac{1}{\sqrt{k}} $$
等号は常に成立することはないため、各辺を $x$ について $k$ から $k+1$ まで定積分すると、大小関係はそのまま保たれ、以下のようになる。
$$ \int_{k}^{k+1} \frac{1}{\sqrt{k+1}} dx < \int_{k}^{k+1} \frac{1}{\sqrt{x}} dx < \int_{k}^{k+1} \frac{1}{\sqrt{k}} dx $$
$$ \frac{1}{\sqrt{k+1}} < \int_{k}^{k+1} \frac{1}{\sqrt{x}} dx < \frac{1}{\sqrt{k}} $$
まず、右側の不等式 $\int_{k}^{k+1} \frac{1}{\sqrt{x}} dx < \frac{1}{\sqrt{k}}$ について、$k=1, 2, \dots, N-1$ とし、それぞれの辺の和をとる。
$$ \sum_{k=1}^{N-1} \int_{k}^{k+1} \frac{1}{\sqrt{x}} dx < \sum_{k=1}^{N-1} \frac{1}{\sqrt{k}} $$
$$ \int_{1}^{N} \frac{1}{\sqrt{x}} dx < \sum_{k=1}^{N-1} \frac{1}{\sqrt{k}} $$
ここで、左辺の定積分を計算する。
$$ \int_{1}^{N} \frac{1}{\sqrt{x}} dx = \left[ 2\sqrt{x} \right]_{1}^{N} = 2\sqrt{N} - 2 $$
これを代入すると、以下の不等式が得られる。
$$ 2\sqrt{N} - 2 < \sum_{k=1}^{N-1} \frac{1}{\sqrt{k}} $$
両辺に $\frac{1}{\sqrt{N}}$ を加えることで、求める和の形に揃える。
$$ 2\sqrt{N} - 2 + \frac{1}{\sqrt{N}} < \sum_{k=1}^{N} \frac{1}{\sqrt{k}} $$
次に、左側の不等式 $\frac{1}{\sqrt{k+1}} < \int_{k}^{k+1} \frac{1}{\sqrt{x}} dx$ について、$k=1, 2, \dots, N-1$ とし、それぞれの辺の和をとる。
$$ \sum_{k=1}^{N-1} \frac{1}{\sqrt{k+1}} < \sum_{k=1}^{N-1} \int_{k}^{k+1} \frac{1}{\sqrt{x}} dx $$
$$ \sum_{k=2}^{N} \frac{1}{\sqrt{k}} < \int_{1}^{N} \frac{1}{\sqrt{x}} dx $$
右辺の定積分は先ほど計算した通り $2\sqrt{N} - 2$ であるから、以下のようになる。
$$ \sum_{k=2}^{N} \frac{1}{\sqrt{k}} < 2\sqrt{N} - 2 $$
両辺に $1$ を加えることで、求める和の形に揃える。
$$ \sum_{k=1}^{N} \frac{1}{\sqrt{k}} < 2\sqrt{N} - 1 $$
以上により、求める和について以下の不等式が成り立つ。
$$ 2\sqrt{N} - 2 + \frac{1}{\sqrt{N}} < \sum_{k=1}^{N} \frac{1}{\sqrt{k}} < 2\sqrt{N} - 1 $$
ここで $N = 40000$ を代入する。$\sqrt{40000} = 200$ であるから、各辺の値を計算する。
左辺は以下のようになる。
$$ 2 \cdot 200 - 2 + \frac{1}{200} = 400 - 2 + 0.005 = 398.005 $$
右辺は以下のようになる。
$$ 2 \cdot 200 - 1 = 400 - 1 = 399 $$
したがって、求める和 $S = \sum_{n=1}^{40000} \frac{1}{\sqrt{n}}$ は、以下の範囲にあることがわかる。
$$ 398.005 < S < 399 $$
この不等式より、$398 < S < 399$ が成り立つため、$S$ の整数部分は 398 である。
解説
極限や和の評価において、定積分を利用する典型的な問題である。和そのものを計算できない場合、関数の単調性を利用して長方形の面積の和と定積分(曲線の下の面積)の大小関係を比較し、不等式で評価する手法が基本となる。
この評価方法では、積分区間を $k$ から $k+1$ までとして不等式を作ることが定石である。両側から評価を行うことで、求める値が存在する範囲を絞り込むことができ、上端と下端の差が $1$ 未満になることを確認すれば、一意に整数部分を決定することができる。
答え
398
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