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東北大学 1961年 文系 第5問 解説

数学2/図形と式数学2/三角関数テーマ/軌跡・領域テーマ/最大・最小
東北大学 1961年 文系 第5問 解説

方針・初手

この問題は、媒介変数 $\theta$ を含む方程式が表す直線群の通過領域(包絡線)とその図形的な性質を考察する問題である。 (1) では、与えられた方程式を $\tan \theta$ について整理し、実数 $\theta$ が存在するための条件から $x, y$ の関係を導く方針が最も簡明である。または、倍角の公式を用いて $\cos 2\theta, \sin 2\theta$ の一次結合の形にし、コーシー・シュワルツの不等式や三角関数の合成を用いる方法も有効である。 (3) は条件の不等式を利用して、距離の2乗を1変数関数に帰着させて最小値を求める。 (4) は(3)で求めた具体的な点の座標を用いて、直線の方程式を決定し傾きの積が $-1$ になることを示す。

解法1

(1)

与えられた方程式は以下の通りである。

$$y \cos^2 \theta = x \sin 2\theta + 1 \quad \cdots \cdots \text{①}$$

$\cos \theta = 0$ と仮定すると、$\sin 2\theta = 2 \sin \theta \cos \theta = 0$ となり、方程式①は $0 = 1$ となって矛盾する。 したがって、$\cos \theta \neq 0$ である。 方程式①の両辺を $\cos^2 \theta$ で割ると、次のようになる。

$$y = x \frac{2 \sin \theta \cos \theta}{\cos^2 \theta} + \frac{1}{\cos^2 \theta}$$

$$y = 2x \tan \theta + 1 + \tan^2 \theta$$

ここで、$t = \tan \theta$ とおく。$\cos \theta \neq 0$ を満たす範囲で $\theta$ が変化するとき、$t$ はすべての実数値をとる。 方程式を $t$ について整理すると、

$$y = t^2 + 2xt + 1$$

$$y = (t + x)^2 - x^2 + 1$$

定まった $x$ に対して、$t$ がすべての実数値をとって変化するとき、$(t + x)^2 \ge 0$ であるから、

$$y \ge -x^2 + 1$$

これが求める $y$ のとる値の範囲である。

(2)

(1) の結果より、点 $(x, y)$ の存在範囲は不等式 $y \ge -x^2 + 1$ が表す領域である。 これは、座標平面上において放物線 $y = -x^2 + 1$ およびその上側の領域を表す。境界線を含む。 図示すると、頂点が $(0, 1)$ で上に凸の放物線を描き、その曲線を含む上側全体を斜線で塗りつぶした図となる。

(3)

(2) で求めた領域内の点 $(x, y)$ と原点 $O(0, 0)$ との距離の2乗を $L$ とすると、

$$L = x^2 + y^2$$

領域の条件 $y \ge -x^2 + 1$ より、$x^2 \ge 1 - y$ である。これを $L$ の式に適用すると、

$$L \ge (1 - y) + y^2$$

$$L \ge y^2 - y + 1$$

$$L \ge \left( y - \frac{1}{2} \right)^2 + \frac{3}{4}$$

この右辺の2次関数は、$y = \frac{1}{2}$ のとき最小値 $\frac{3}{4}$ をとる。 等号が成立するのは、$y = \frac{1}{2}$ かつ $x^2 = 1 - y$ のときである。 このとき、$x^2 = 1 - \frac{1}{2} = \frac{1}{2}$ より、$x = \pm \frac{1}{\sqrt{2}}$ となる。 したがって、原点に最も近い点($L$ を最小にする点)の座標は以下の通りである。

$$\left( \frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{1}{2} \right), \quad \left( -\frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{1}{2} \right)$$

(4)

(3) で求めた点のうち、点 $P$ を $P \left( \frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{1}{2} \right)$ とする。 直線 $OP$ の傾き $m_1$ は、

$$m_1 = \frac{\frac{1}{2}}{\frac{1}{\sqrt{2}}} = \frac{1}{\sqrt{2}}$$

次に、直線①が点 $P$ を通るときの直線の方程式を求める。 (1) の変形より、直線①は $t = \tan \theta$ を用いて以下のように表される。

$$y = 2xt + t^2 + 1$$

これが点 $P \left( \frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{1}{2} \right)$ を通るから、

$$\frac{1}{2} = 2 \left( \frac{1}{\sqrt{2}} \right) t + t^2 + 1$$

$$t^2 + \sqrt{2}t + \frac{1}{2} = 0$$

$$\left( t + \frac{1}{\sqrt{2}} \right)^2 = 0$$

よって、$t = -\frac{1}{\sqrt{2}}$ である。 この $t$ の値を直線①の式に代入すると、

$$y = 2x \left( -\frac{1}{\sqrt{2}} \right) + \left( -\frac{1}{\sqrt{2}} \right)^2 + 1$$

$$y = -\sqrt{2}x + \frac{3}{2}$$

この直線の傾き $m_2$ は $-\sqrt{2}$ である。 直線 $OP$ の傾き $m_1$ と直線①の傾き $m_2$ の積を計算すると、

$$m_1 m_2 = \frac{1}{\sqrt{2}} \times (-\sqrt{2}) = -1$$

傾きの積が $-1$ となるため、直線①は直線 $OP$ と直交する。 なお、点 $P \left( -\frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{1}{2} \right)$ とした場合も、同様の計算により $m_1 = -\frac{1}{\sqrt{2}}$、$t = \frac{1}{\sqrt{2}}$、直線①の傾き $m_2 = \sqrt{2}$ となり、積が $-1$ となって直交することが示される。

解法2

(1) の別解

半角の公式と倍角の公式を用いて、与えられた方程式①を変形する。

$$y \frac{1 + \cos 2\theta}{2} = x \sin 2\theta + 1$$

両辺に $2$ を掛けて整理する。

$$y + y \cos 2\theta = 2x \sin 2\theta + 2$$

$$y \cos 2\theta - 2x \sin 2\theta = 2 - y$$

ここで、コーシー・シュワルツの不等式 $(a^2 + b^2)(c^2 + d^2) \ge (ac + bd)^2$ において、$a=y, b=-2x, c=\cos 2\theta, d=\sin 2\theta$ とすると、

$$\{y^2 + (-2x)^2\} (\cos^2 2\theta + \sin^2 2\theta) \ge (y \cos 2\theta - 2x \sin 2\theta)^2$$

$\cos^2 2\theta + \sin^2 2\theta = 1$ であり、方程式より $y \cos 2\theta - 2x \sin 2\theta = 2 - y$ であるから、

$$y^2 + 4x^2 \ge (2 - y)^2$$

$$y^2 + 4x^2 \ge 4 - 4y + y^2$$

$$4x^2 \ge 4 - 4y$$

$$4y \ge -4x^2 + 4$$

$$y \ge -x^2 + 1$$

$\theta$ が変化するとき、点 $(\cos 2\theta, \sin 2\theta)$ は単位円周上をすべて動くため、ベクトル $(y, -2x)$ と方向が一致するような $\theta$ が存在し、等号は成立しうる。 したがって、求める $y$ の範囲は $y \ge -x^2 + 1$ である。

解説

直線群の通過領域や包絡線を求める典型問題である。(1)において $\tan \theta$ の2次方程式に帰着させる手法は、三角関数の式変形における強力な定石である。別解として示した $\cos 2\theta, \sin 2\theta$ への変換と不等式評価の組み合わせも、応用範囲が広い。 (3)では、2変数関数の最大最小問題として $x^2 + y^2$ を扱う際、不等式 $x^2 \ge 1 - y$ を用いて1変数 $y$ の関数に帰着させる論理展開が鮮やかである。 (4)の直交性は、曲線の包絡線に関する幾何学的な性質(包絡線上の点における接線が、その直線群を構成する直線の1つと一致する)の背景を持つ問題である。

答え

(1) $y \ge -x^2 + 1$

(2) 放物線 $y = -x^2 + 1$ およびその上側の領域(境界線を含む)

(3) $\left( \frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{1}{2} \right), \left( -\frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{1}{2} \right)$

(4) 点 $P$ における直線 $OP$ の傾きと直線①の傾きの積が $-1$ となることから、直交することが示された。

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