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東北大学 1982年 文系 第1問 解説

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東北大学 1982年 文系 第1問 解説

方針・初手

$A^2=A$ であるから,成分を比較して $a,b,c,d$ の満たす連立方程式を作るのが初手である。

特に対角成分については

$$ a^2+bc=a,\qquad d^2+bc=d $$

となるので,$bc\ge \dfrac14$ という条件を使えば $a,d$ を直接しぼることができる。

解法1

$A=\begin{pmatrix}a&b\ c&d\end{pmatrix}$ とすると,

$$ A^2= \begin{pmatrix} a^2+bc & ab+bd\ ac+cd & bc+d^2 \end{pmatrix} $$

である。これが $A$ に等しいので,成分比較により

$$ \begin{cases} a^2+bc=a\ ab+bd=b\ ac+cd=c\ bc+d^2=d \end{cases} $$

を得る。すなわち

$$ \begin{cases} a^2-a+bc=0\ b(a+d-1)=0\ c(a+d-1)=0\ d^2-d+bc=0 \end{cases} $$

である。

(1) $bc\ge \dfrac14$ のときの $a,d$

まず

$$ a^2-a+bc=0 $$

を変形すると

$$ \left(a-\frac12\right)^2=\frac14-bc $$

である。

ここで $bc\ge \dfrac14$ だから,

$$ \frac14-bc\le 0 $$

となる。一方,左辺 $\left(a-\dfrac12\right)^2$ は平方であるから $0$ 以上である。したがって両辺が両立するには

$$ \left(a-\frac12\right)^2=0,\qquad \frac14-bc=0 $$

でなければならない。よって

$$ a=\frac12,\qquad bc=\frac14 $$

である。

同様に

$$ d^2-d+bc=0 $$

から

$$ \left(d-\frac12\right)^2=\frac14-bc=0 $$

となるので,

$$ d=\frac12 $$

である。

したがって,

$$ a=d=\frac12 $$

を得る。

(2) さらに $0\le a+b+c+d<2$ のときの $A$

(1) より

$$ a=d=\frac12,\qquad bc=\frac14 $$

であるから,

$$ a+b+c+d=1+b+c $$

である。条件 $0\le a+b+c+d<2$ は

$$ 0\le 1+b+c<2 $$

すなわち

$$ -1\le b+c<1 $$

と書ける。

ここで $bc=\dfrac14>0$ であるから,$b,c$ は同符号である。

(i) $b,c>0$ の場合

相加平均・相乗平均より

$$ b+c\ge 2\sqrt{bc}=2\sqrt{\frac14}=1 $$

となる。これは $b+c<1$ に反する。

(ii) $b,c<0$ の場合

$-b,-c>0$ であり,

$$ (-b)+(-c)\ge 2\sqrt{(-b)(-c)}=2\sqrt{bc}=1 $$

だから

$$ b+c\le -1 $$

となる。これと $-1\le b+c$ を合わせると

$$ b+c=-1 $$

である。

さらに $bc=\dfrac14$ なので,$b,c$ は2次方程式

$$ x^2-(b+c)x+bc=0 $$

すなわち

$$ x^2+x+\frac14=0 $$

の2解である。よって

$$ \left(x+\frac12\right)^2=0 $$

より

$$ b=c=-\frac12 $$

となる。

したがって

$$ A= \begin{pmatrix} \frac12 & -\frac12\ -\frac12 & \frac12 \end{pmatrix} $$

である。

解説

この問題の要点は,$A^2=A$ を成分比較して,

$$ \left(a-\frac12\right)^2=\frac14-bc,\qquad \left(d-\frac12\right)^2=\frac14-bc $$

という形に持ち込むことである。$bc\ge \dfrac14$ という条件と平方の非負性を組み合わせると,$a,d$ がただちに確定する。

(2) では $bc=\dfrac14$ がすでに分かっているので,$b,c$ は同符号であることに注意し,相加平均・相乗平均を使って $b+c$ の範囲をしぼれば一意に決まる。

答え

$$ \text{(1)}\quad a=d=\frac12 $$

$$ \text{(2)}\quad A= \begin{pmatrix} \frac12 & -\frac12\ -\frac12 & \frac12 \end{pmatrix} $$

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