東北大学 1996年 文系 第1問 解説

方針・初手
交点の $x$ 座標を $x_1,\ x_2$ とし,対応する $y$ 座標を $y_1,\ y_2$ とする。
まず,直線 $y=ax+b$ をだ円
$$ 4x^2+y^2=4 $$
に代入して,交点の $x$ 座標が満たす2次方程式を作る。 その2次方程式が相異なる2実根をもつことが「相異なる2点で交わる」という条件である。
さらに,$y_1,\ y_2$ がともに正である条件は,$y_1+y_2>0,\ y_1y_2>0$ に言い換えると処理しやすい。
解法1
直線 $y=ax+b$ をだ円 $4x^2+y^2=4$ に代入すると,
$$ 4x^2+(ax+b)^2=4 $$
すなわち
$$ (a^2+4)x^2+2abx+(b^2-4)=0 $$
を得る。 この2次方程式の解を $x_1,\ x_2$ とすると,対応する交点の $y$ 座標は
$$ y_1=ax_1+b,\qquad y_2=ax_2+b $$
である。
まず,相異なる2点で交わるためには,上の2次方程式が相異なる2実根をもてばよい。 判別式を $D$ とすると,
$$ \begin{aligned} D &=(2ab)^2-4(a^2+4)(b^2-4) \\ &=4{a^2b^2-(a^2+4)(b^2-4)} \\ &=16(a^2-b^2+4) \end{aligned} $$
であるから,
$$ D>0 \iff a^2-b^2+4>0 \iff b^2<a^2+4 $$
が必要十分である。
次に,$y_1,\ y_2$ がともに正である条件を調べる。 $x_1,\ x_2$ について解と係数の関係より,
$$ x_1+x_2=-\frac{2ab}{a^2+4},\qquad x_1x_2=\frac{b^2-4}{a^2+4} $$
である。よって
$$ \begin{aligned} y_1+y_2 &=a(x_1+x_2)+2b \\ &=a\left(-\frac{2ab}{a^2+4}\right)+2b \\ &=\frac{8b}{a^2+4}, \end{aligned} $$
また
$$ \begin{aligned} y_1y_2 &=(ax_1+b)(ax_2+b) \\ &=a^2x_1x_2+ab(x_1+x_2)+b^2 \\ &=a^2\frac{b^2-4}{a^2+4}+ab\left(-\frac{2ab}{a^2+4}\right)+b^2 \\ &=\frac{4(b^2-a^2)}{a^2+4}. \end{aligned} $$
したがって,$y_1,\ y_2$ がともに正であるための必要十分条件は
$$ y_1+y_2>0,\qquad y_1y_2>0 $$
より
$$ \frac{8b}{a^2+4}>0,\qquad \frac{4(b^2-a^2)}{a^2+4}>0 $$
すなわち
$$ b>0,\qquad b^2>a^2 $$
である。
ここで $b^2>a^2$ かつ $b>0$ は
$$ b>|a| $$
と同値である。
以上をまとめると,求める条件は
$$ b>|a|,\qquad b^2<a^2+4 $$
である。したがって
$$ |a|<b<\sqrt{a^2+4} $$
が求める範囲である。
解説
交点の $y$ 座標に条件がついているので,単に判別式だけでは不十分である。 「2点で交わる」は判別式で処理し,「その2点の $y$ 座標がともに正」は $y_1+y_2$ と $y_1y_2$ に分けて調べるのが自然である。
境界の意味は次の通りである。
- $b^2=a^2+4$ は接する場合であり,相異なる2点では交わらない。
- $b^2=a^2$,すなわち $b=|a|$ は,交点の一方の $y$ 座標が $0$ になる境界である。
したがって,$ab$ 平面では,上側の双曲線
$$ b=\sqrt{a^2+4} $$
の下側で,かつ2直線
$$ b=a,\qquad b=-a $$
の上側にある部分が求める範囲になる。
答え
求める $(a,b)$ の範囲は
$$ |a|<b<\sqrt{a^2+4} $$
である。
すなわち,$ab$ 平面において,2直線 $b=\pm a$ の上側かつ双曲線 $b^2-a^2=4$ の上側の枝 $b=\sqrt{a^2+4}$ の下側にある部分である。
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