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東北大学 2000年 文系 第4問 解説

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東北大学 2000年 文系 第4問 解説

方針・初手

まず内分点の座標を $t$ で表し、$R(t)$ の座標から媒介変数 $t$ を消去して曲線 $\mathcal R$ の方程式を求める。

つぎに、$P(t),Q(t)$ を通る直線 $l(t)$ の傾きを求め、$\mathcal R$ の微分係数と比較すれば接線であることが分かる。

最後に、三角形 $ABC$ 内で $l(t)$ が通る点を、線分 $P(t)Q(t)$ 上の点として表し、その取りうる範囲を調べれば領域と面積が求まる。

解法1

(1) 曲線 $\mathcal R$ を $x,y$ で表す

$P(t)$ は線分 $AB$ を $t:1-t$ に内分する点であるから、

$$ P(t)=(1-t)A+tB=\bigl(-a(1-t),,bt\bigr) $$

同様に、$Q(t)$ は

$$ Q(t)=(1-t)B+tC=\bigl(at,,b(1-t)\bigr) $$

である。

さらに $R(t)$ は線分 $P(t)Q(t)$ を $t:1-t$ に内分する点であるから、

$$ R(t)=(1-t)P(t)+tQ(t) $$

より、

$$ \begin{aligned} x&=(1-t){-a(1-t)}+t(at)=a(2t-1),\\ y&=(1-t)(bt)+t{b(1-t)}=2bt(1-t) \end{aligned} $$

となる。

ここで

$$ x=a(2t-1) $$

より

$$ t=\frac{x+a}{2a} $$

であるから、これを $y=2bt(1-t)$ に代入すると

$$ y=2b\cdot \frac{x+a}{2a}\cdot \frac{a-x}{2a} =\frac{b}{2}\left(1-\frac{x^2}{a^2}\right) $$

を得る。

したがって、曲線 $\mathcal R$ は

$$ y=\frac{b}{2}\left(1-\frac{x^2}{a^2}\right) \qquad (-a\le x\le a) $$

である。

(2) 直線 $l(t)$ の方程式と接線であることの証明

$P(t)=\bigl(-a(1-t),bt\bigr)$、$Q(t)=\bigl(at,b(1-t)\bigr)$ より、直線 $l(t)$ の傾きは

$$ \frac{b(1-t)-bt}{at-(-a(1-t))} =\frac{b(1-2t)}{a} $$

である。

したがって、$P(t)$ を通ることから

$$ y-bt=\frac{b(1-2t)}{a}{x+a(1-t)} $$

すなわち

$$ l(t):\quad y=\frac{b(1-2t)}{a}x+b(1-2t+2t^2) $$

である。

一方、(1) で求めた曲線 $\mathcal R$ は

$$ y=\frac{b}{2}\left(1-\frac{x^2}{a^2}\right) $$

であるから、その導関数は

$$ \frac{dy}{dx}=-\frac{b}{a^2}x $$

である。

点 $R(t)$ の $x$ 座標は $x=a(2t-1)$ であるので、$\mathcal R$ の $R(t)$ における接線の傾きは

$$ -\frac{b}{a^2}\cdot a(2t-1)=\frac{b(1-2t)}{a} $$

となる。これは $l(t)$ の傾きと一致する。

また、$R(t)$ は定義より $P(t)Q(t)$ 上の点であるから、$R(t)$ は直線 $l(t)$ 上にある。

よって、$l(t)$ は点 $R(t)$ で曲線 $\mathcal R$ に接する。

(3) 直線 $l(t)$ が三角形 $ABC$ 内で通る点の領域と面積

三角形 $ABC$ 内で直線 $l(t)$ が通る部分は、ちょうど線分 $P(t)Q(t)$ である。

そこで、線分 $P(t)Q(t)$ 上の点を、$0\le s\le 1$ を用いて

$$ X=(1-s)P(t)+sQ(t) $$

とおく。

すると、

$$ \begin{aligned} x&=(1-s){-a(1-t)}+s(at)=a(s+t-1),\\ y&=(1-s)(bt)+s{b(1-t)}=b(s+t-2st) \end{aligned} $$

となる。

ここで

$$ u=\frac{x}{a}=s+t-1 \qquad (-1\le u\le 1) $$

とおくと、$s+t=1+u$ であり、

$$ \frac{y}{b}=1+u-2st $$

となる。

固定した $u$、すなわち固定した $x$ に対して、$st$ の最大値は $s=t=\dfrac{1+u}{2}$ のときであるから、そのとき $y$ は最小となり、

$$ \frac{y_{\min}}{b} =1+u-2\left(\frac{1+u}{2}\right)^2 =\frac{1-u^2}{2} $$

すなわち

$$ y_{\min} =\frac{b}{2}\left(1-\frac{x^2}{a^2}\right) $$

となる。これは曲線 $\mathcal R$ である。

また、$y$ の最大値は $st$ の最小値のときに生じる。

(i)

$-a\le x\le 0$ のときは $-1\le u\le 0$ であり、$s+t=1+u\le 1$ だから $st$ の最小値は $0$ である。よって

$$ y_{\max}=b(1+u)=b\left(1+\frac{x}{a}\right) $$

であり、これは辺 $AB$ の方程式である。

(ii)

$0\le x\le a$ のときは $0\le u\le 1$ であり、$s+t=1+u\ge 1$ だから $st$ の最小値は $u$ である。よって

$$ y_{\max}=b(1+u-2u)=b(1-u)=b\left(1-\frac{x}{a}\right) $$

であり、これは辺 $BC$ の方程式である。

以上より、求める領域は三角形 $ABC$ のうち、放物線

$$ y=\frac{b}{2}\left(1-\frac{x^2}{a^2}\right) $$

より上の部分、すなわち辺 $AB,BC$ と曲線 $\mathcal R$ に囲まれた部分である。

したがって、その面積 $S$ は

$$ S=\text{(三角形 }ABC\text{ の面積)}-\text{(放物線 }\mathcal R\text{ の下の面積)} $$

である。

三角形 $ABC$ の面積は

$$ \frac{1}{2}\cdot 2a\cdot b=ab $$

また、放物線 $\mathcal R$ の下の面積は

$$ \int_{-a}^{a}\frac{b}{2}\left(1-\frac{x^2}{a^2}\right),dx =\frac{b}{2}\left[x-\frac{x^3}{3a^2}\right]_{-a}^{a} =\frac{2ab}{3} $$

である。

よって

$$ S=ab-\frac{2ab}{3}=\frac{ab}{3} $$

となる。

解説

この問題の要点は、内分を2回行ってできる点 $R(t)$ の軌跡をまず正確に求めることである。計算すると $x$ は $t$ に関して1次式、$y$ は2次式になり、媒介変数消去によって放物線が現れる。

また、$P(t)Q(t)$ は単なる補助線ではなく、そのまま軌跡 $\mathcal R$ の接線族になっている。したがって 軌跡を出すことと接線を出すことが一体になっている のがこの問題の本質である。

(3) では「直線が通る領域」といっても、三角形内では各 $l(t)$ は線分 $P(t)Q(t)$ として現れる。したがって、その線分全体を $s,t$ の2変数で表して範囲を調べるのが自然である。境界の下側が放物線、上側が三角形の辺になることを押さえれば、面積は差で簡単に求まる。

答え

$$ \mathcal R:\quad y=\frac{b}{2}\left(1-\frac{x^2}{a^2}\right) \qquad (-a\le x\le a) $$

$$ l(t):\quad y=\frac{b(1-2t)}{a}x+b(1-2t+2t^2) $$

であり、$l(t)$ は点 $R(t)$ で $\mathcal R$ に接する。

また、三角形 $ABC$ 内で $l(t)$($0\le t\le 1$)が通る点の領域は、辺 $AB,BC$ と放物線 $\mathcal R$ に囲まれた部分であり、その面積は

$$ S=\frac{ab}{3} $$

である。

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