京都大学 1971年 文系 第1問 解説

方針・初手
(i) は直線 $y = ax$ と曲線 $xy = 1$ の交点 $P$ の座標を $a$ を用いて表し、原点からの距離 $OP$ を計算する。最小値は相加平均と相乗平均の大小関係を利用し、増減については微分して調べる。
(ii) は (i) の結果が誘導になっていることに着目する。比 $\frac{y}{x}$ を媒介変数とおき、条件を整理して $OQ$ の最大値を求める。極座標を利用した解法も有効である。
解法1
(i) $x > 0$ において、直線 $y = ax$ と曲線 $xy = 1$ の交点 $P$ の座標を求める。 $x(ax) = 1$ より $x^2 = \frac{1}{a}$ であり、$x > 0$ より $x = \frac{1}{\sqrt{a}}$ である。 このとき $y = a \cdot \frac{1}{\sqrt{a}} = \sqrt{a}$ となるから、$P\left(\frac{1}{\sqrt{a}}, \sqrt{a}\right)$ である。 線分 $OP$ の長さの2乗は、
$$ \overline{OP}^2 = \left(\frac{1}{\sqrt{a}}\right)^2 + (\sqrt{a})^2 = \frac{1}{a} + a $$
$a > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$ \frac{1}{a} + a \geqq 2\sqrt{\frac{1}{a} \cdot a} = 2 $$
等号は $\frac{1}{a} = a$、すなわち $a^2 = 1$ で、$a > 0$ より $a = 1$ のとき成立する。 したがって、$\overline{OP}^2$ は $a=1$ のとき最小値 2 をとる。$\overline{OP} > 0$ であるから、$\overline{OP}$ は $a=1$ のとき最小値 $\sqrt{2}$ をとる。
次に、$f(a) = a + \frac{1}{a}$ とおき、$a$ の増減による $f(a)$ の増減を調べる。
$$ f'(a) = 1 - \frac{1}{a^2} = \frac{a^2 - 1}{a^2} $$
$a \geqq 1$ のとき、$f'(a) \geqq 0$ (等号は $a=1$) であるから、$f(a)$ は単調に増加する。したがって $\overline{OP}$ も増加する。 $0 < a < 1$ のとき、$f'(a) < 0$ であるから、$f(a)$ は単調に減少する。したがって $\overline{OP}$ も減少する。
(ii) $a = \frac{y}{x}$ とおくと、$x > 0$ かつ $1 \leqq \frac{y}{x} \leqq \sqrt{3}$ より、$y = ax$ かつ $1 \leqq a \leqq \sqrt{3}$ と表せる。 点 $Q(x, y)$ は直線 $y = ax$ 上の点である。 また、$0 < xy \leqq 1$ より、$0 < x(ax) \leqq 1$ であるから、$0 < x^2 \leqq \frac{1}{a}$ となる。 線分 $OQ$ の長さの2乗を考えると、
$$ \overline{OQ}^2 = x^2 + y^2 = x^2 + (ax)^2 = x^2(1 + a^2) $$
ここで、$x^2 \leqq \frac{1}{a}$ を用いると、
$$ \overline{OQ}^2 \leqq \frac{1}{a}(1 + a^2) = \frac{1}{a} + a $$
等号は $x^2 = \frac{1}{a}$、すなわち $xy = 1$ のとき成立する。 したがって、与えられた $a$ に対して $\overline{OQ}$ が最大となるのは $xy = 1$ を満たすときであり、その最大値の2乗は $a + \frac{1}{a}$ である。これは (i) における $\overline{OP}^2$ と等しい。
(i) より、$a \geqq 1$ において $a + \frac{1}{a}$ は $a$ が増加するとともに単調に増加する。 いま $1 \leqq a \leqq \sqrt{3}$ であるから、$a + \frac{1}{a}$ は $a = \sqrt{3}$ のとき最大値をとる。 その最大値は、
$$ \sqrt{3} + \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{4\sqrt{3}}{3} $$
したがって、$\overline{OQ}^2$ の最大値は $\frac{4\sqrt{3}}{3}$ であり、$\overline{OQ}$ の最大値は、
$$ \sqrt{\frac{4\sqrt{3}}{3}} = \frac{2\sqrt[4]{3}}{\sqrt{3}} = \frac{2}{\sqrt[4]{3}} $$
である。 このとき $a = \sqrt{3}$ であり、点 $Q$ は直線 $y = \sqrt{3}x$ 上にある。 線分 $OQ$ が $x$ 軸となす角 $\theta$ は、$\tan \theta = \sqrt{3}$ かつ $x > 0$ であるから、$\theta = \frac{\pi}{3}$ である。
解法2
(ii) の別解 点 $Q$ の座標を極座標を用いて $x = r \cos \theta, y = r \sin \theta$ ($r > 0$, $0 < \theta < \frac{\pi}{2}$) とおく。 条件 $1 \leqq \frac{y}{x} \leqq \sqrt{3}$ に代入すると、
$$ 1 \leqq \tan \theta \leqq \sqrt{3} $$
$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ の範囲で解くと、
$$ \frac{\pi}{4} \leqq \theta \leqq \frac{\pi}{3} $$
となる。次に、条件 $0 < xy \leqq 1$ に代入すると、
$$ 0 < r^2 \sin \theta \cos \theta \leqq 1 $$
2倍角の公式 $\sin 2\theta = 2\sin \theta \cos \theta$ を用いると、
$$ 0 < \frac{1}{2} r^2 \sin 2\theta \leqq 1 $$
$$ 0 < r^2 \leqq \frac{2}{\sin 2\theta} $$
ここで、$\frac{\pi}{4} \leqq \theta \leqq \frac{\pi}{3}$ より $\frac{\pi}{2} \leqq 2\theta \leqq \frac{2\pi}{3}$ である。 この範囲において $\sin 2\theta$ は単調に減少し、その値の範囲は、
$$ \frac{\sqrt{3}}{2} \leqq \sin 2\theta \leqq 1 $$
となる。 $\overline{OQ} = r$ を最大にするには、$r^2$ を最大にすればよい。 与えられた $\theta$ に対して $r^2$ の最大値は $\frac{2}{\sin 2\theta}$ であり、これがさらに最大となるのは分母の $\sin 2\theta$ が最小となるときである。 $\sin 2\theta$ の最小値は $\frac{\sqrt{3}}{2}$ であり、そのとき $2\theta = \frac{2\pi}{3}$、すなわち $\theta = \frac{\pi}{3}$ である。 このとき、$r^2$ の最大値は、
$$ \frac{2}{\frac{\sqrt{3}}{2}} = \frac{4}{\sqrt{3}} = \frac{4\sqrt{3}}{3} $$
したがって、$r$ の最大値は、
$$ r = \sqrt{\frac{4\sqrt{3}}{3}} = \frac{2}{\sqrt[4]{3}} $$
となり、これが $\overline{OQ}$ の最大値である。 そのとき線分 $OQ$ が $x$ 軸となす角は $\theta = \frac{\pi}{3}$ である。
解説
(i) は相加平均と相乗平均の大小関係を用いた最小値の導出と、微分法を用いた関数の増減判定という標準的な手法の確認である。微分の代わりに $1 \leqq a < b$ として $f(b) - f(a) > 0$ を示す差の計算でも証明できる。 (ii) は (i) を誘導として利用し、比 $\frac{y}{x}$ を媒介変数 $a$ と見立てて距離の最大値を評価する解法が本筋といえる。また、解法2のように極座標表示を利用すると、図形的な条件が角度 $\theta$ と動径 $r$ にきれいに分離でき、見通しよく計算を進めることができる。
答え
(i)
ア: $1$ イ: $\sqrt{2}$ ウ: 増加 エ: 減少
(ii)
$\overline{OQ}$ の最大値: $\frac{2}{\sqrt[4]{3}}$ (または $\sqrt{\frac{4\sqrt{3}}{3}}$ ) 線分 $OQ$ が $x$ 軸となす角: $\frac{\pi}{3}$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











