トップ 東北大学 1972年 理系 第3問

東北大学 1972年 理系 第3問 解説

数学C/複素数平面数学1/図形計量テーマ/軌跡・領域
東北大学 1972年 理系 第3問 解説

方針・初手

複素数平面上の点の移動を、複素数の演算を用いて表現する。 平行四辺形の条件から、点 $Q$ を表す複素数を点 $P$ を表す複素数を用いて表し、点 $P$ の満たす方程式に代入して点 $Q$ の軌跡を求める。 さらに、正三角形の条件から、点 $R$ は点 $Q$ を原点の周りに $\pm \frac{\pi}{3}$ 回転させた点であることに着目し、点 $R$ を表す複素数の満たす方程式を導く。図形(円)の中心がどのように移動するかを追う方針でも解くことができる。

解法1

点 $A, P, Q, R$ を表す複素数をそれぞれ $\alpha, z, w, r$ とする。 条件より $\alpha = 1+\sqrt{3}i$ である。 四角形 $OAQP$ は $OA, OP$ を隣り合う $2$ 辺とする平行四辺形であるから、

$$ w = \alpha + z = z + 1 + \sqrt{3}i $$

が成り立つ。

(1) 上の式より $z = w - (1 + \sqrt{3}i)$ であり、これを点 $P$ の満たす条件 $|z+2|=1$ に代入する。

$$ |w - (1 + \sqrt{3}i) + 2| = 1 $$

整理すると、

$$ |w - (-1 + \sqrt{3}i)| = 1 $$

よって、点 $Q$ の描く図形は、点 $-1 + \sqrt{3}i$ を中心とする半径 $1$ の円である。

(2) $\triangle OQR$ は $OQ$ を $1$ 辺とする正三角形であるから、点 $R$ は点 $Q$ を原点 $O$ の周りに $\frac{\pi}{3}$ または $-\frac{\pi}{3}$ だけ回転させた点である。 すなわち、$r = w \left( \cos \frac{\pi}{3} + i \sin \frac{\pi}{3} \right)$ または $r = w \left( \cos \left(-\frac{\pi}{3}\right) + i \sin \left(-\frac{\pi}{3}\right) \right)$ である。 ここで、$\beta_1 = \cos \frac{\pi}{3} + i \sin \frac{\pi}{3} = \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i$、$\beta_2 = \cos \left(-\frac{\pi}{3}\right) + i \sin \left(-\frac{\pi}{3}\right) = \frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i$ とおく。

(i) $r = \beta_1 w$ のとき

$w = \frac{r}{\beta_1}$ であり、これを (1) で求めた $|w - (-1 + \sqrt{3}i)| = 1$ に代入する。

$$ \left| \frac{r}{\beta_1} - (-1 + \sqrt{3}i) \right| = 1 $$

両辺に $|\beta_1|$ を掛ける。$|\beta_1| = 1$ であるから、

$$ |r - \beta_1(-1 + \sqrt{3}i)| = 1 $$

ここで、

$$ \begin{aligned} \beta_1(-1 + \sqrt{3}i) &= \left(\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i\right)(-1 + \sqrt{3}i) \\ &= -\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i - \frac{\sqrt{3}}{2}i - \frac{3}{2} \\ &= -2 \end{aligned} $$

したがって、

$$ |r + 2| = 1 $$

となり、このとき点 $R$ は点 $-2$ を中心とする半径 $1$ の円を描く。

(ii) $r = \beta_2 w$ のとき

$w = \frac{r}{\beta_2}$ を同様に代入して、両辺に $|\beta_2| = 1$ を掛けると、

$$ |r - \beta_2(-1 + \sqrt{3}i)| = 1 $$

ここで、

$$ \begin{aligned} \beta_2(-1 + \sqrt{3}i) &= \left(\frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i\right)(-1 + \sqrt{3}i) \\ &= -\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i + \frac{\sqrt{3}}{2}i + \frac{3}{2} \\ &= 1 + \sqrt{3}i \end{aligned} $$

したがって、

$$ |r - (1 + \sqrt{3}i)| = 1 $$

となり、このとき点 $R$ は点 $1 + \sqrt{3}i$ を中心とする半径 $1$ の円を描く。

(i)、**(ii)**より、点 $R$ の描く図形は、点 $-2$ を中心とする半径 $1$ の円、および点 $1 + \sqrt{3}i$ を中心とする半径 $1$ の円である。

解法2

図形的な意味を考えて解くこともできる。

(1) 条件より、点 $P$ は点 $-2$ を中心とする半径 $1$ の円を描く。 四角形 $OAQP$ は平行四辺形であるから、$\vec{OQ} = \vec{OP} + \vec{OA}$ である。 これは、点 $Q$ が点 $P$ を $\vec{OA}$ だけ平行移動した点であることを意味する。 点 $A$ を表す複素数は $1+\sqrt{3}i$ であるから、点 $Q$ は点 $P$ を実軸方向に $1$、虚軸方向に $\sqrt{3}$ だけ平行移動した点である。 したがって、点 $P$ が描く円の中心 $-2$ も同じだけ平行移動され、その中心は $-2 + (1+\sqrt{3}i) = -1 + \sqrt{3}i$ となる。半径は $1$ のままである。 よって、点 $Q$ は点 $-1 + \sqrt{3}i$ を中心とする半径 $1$ の円を描く。

(2) (1) より、点 $Q$ は点 $C(-1+\sqrt{3}i)$ を中心とする半径 $1$ の円を描く。 $\triangle OQR$ は正三角形であるから、点 $R$ は点 $Q$ を原点 $O$ を中心として $\pm \frac{\pi}{3}$ だけ回転させた点である。 この回転により、点 $Q$ の描く円全体も原点 $O$ を中心に $\pm \frac{\pi}{3}$ だけ回転する。 したがって、点 $R$ の描く図形は、円の中心 $C$ を原点周りに $\pm \frac{\pi}{3}$ だけ回転させた点を中心とする、半径 $1$ の円となる。 中心 $C$ を表す複素数を $\gamma = -1+\sqrt{3}i$ とすると、$\frac{\pi}{3}$ 回転させた点は、

$$ \begin{aligned} \gamma \left( \cos \frac{\pi}{3} + i \sin \frac{\pi}{3} \right) &= (-1+\sqrt{3}i) \left( \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i \right) \\ &= -\frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i + \frac{\sqrt{3}}{2}i - \frac{3}{2} \\ &= -2 \end{aligned} $$

また、$-\frac{\pi}{3}$ 回転させた点は、

$$ \begin{aligned} \gamma \left( \cos \left(-\frac{\pi}{3}\right) + i \sin \left(-\frac{\pi}{3}\right) \right) &= (-1+\sqrt{3}i) \left( \frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i \right) \\ &= -\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i + \frac{\sqrt{3}}{2}i + \frac{3}{2} \\ &= 1 + \sqrt{3}i \end{aligned} $$

よって、点 $R$ の描く図形は、点 $-2$ を中心とする半径 $1$ の円、および点 $1+\sqrt{3}i$ を中心とする半径 $1$ の円である。

解説

複素数平面における図形の平行移動と回転移動を問う典型的な問題である。 平行移動は複素数の和、原点を中心とする回転移動は極形式を用いた複素数の積で表現される。 本問では、図形上の任意の点に関する関係式から順次軌跡の方程式を導く代数的なアプローチ(解法1)と、図形(ここでは円)の中心の移動に着目する幾何学的なアプローチ(解法2)のいずれでも見通しよく解くことができる。 正三角形の頂点は $2$ 通り存在することに注意し、場合分けを忘れないようにしたい。

答え

(1) 点 $-1+\sqrt{3}i$ を中心とする半径 $1$ の円 (2) 点 $-2$ を中心とする半径 $1$ の円、および点 $1+\sqrt{3}i$ を中心とする半径 $1$ の円

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。