東北大学 1989年 理系 第4問 解説

方針・初手
採択条件は「3個のうち黒球が2個以上」である。
したがって、
- 仮説 $H$ が正しいときの誤棄却確率は、「Aの箱から取り出した3個の中に黒球が1個以下」となる確率
- 仮説 $H$ が正しくないときの誤採択確率は、「実際にはBまたはCの箱なのに、黒球が2個以上出る」確率
を求めればよい。いずれも超幾何分布で数える。
解法1
まず、3個の取り出し方の総数はどの箱でも
$$ {}_{10}\mathrm{C}_{3}=120 $$
である。
(1) 仮説 $H$ が正しいときの誤棄却確率
$H$ が正しいとは、指定した箱がAの箱であることを意味する。Aの箱には黒球8個、白球2個が入っている。
このとき仮説を棄却するのは、3個の中の黒球が1個以下のときである。
しかしAの箱には白球が2個しかないので、3個とも白球であることは不可能である。よって棄却となるのは、黒球1個・白球2個の場合だけである。
したがって、求める確率は
$$ \frac{{}_{8}\mathrm{C}_{1}{}_{2}\mathrm{C}_{2}}{{}_{10}\mathrm{C}_{3}} ============================================== # \frac{8}{120} \frac{1}{15} $$
である。
(2) 仮説 $H$ が正しくないときの誤採択確率
$H$ が正しくないとき、指定した箱はBまたはCである。
箱は外見から区別できず、A・B・Cの3箱から1つを指定しているので、$H$ が正しくないという条件のもとでは、指定した箱がBである確率とCである確率はそれぞれ
$$ \frac{1}{2} $$
である。
したがって、Bの場合とCの場合の誤採択確率をそれぞれ求めて平均すればよい。
Bの箱の場合
Bの箱には黒球4個、白球6個が入っている。
誤って採択するのは、黒球が2個以上出るときであるから、
$$ \frac{{}_{4}\mathrm{C}_{2}{}_{6}\mathrm{C}_{1}+{}_{4}\mathrm{C}_{3}{}_{6}\mathrm{C}_{0}}{{}_{10}\mathrm{C}_{3}} ======================================================================= # \frac{36+4}{120} # \frac{40}{120} \frac{1}{3} $$
となる。
Cの箱の場合
Cの箱には黒球3個、白球7個が入っている。
同様に、
$$ \frac{{}_{3}\mathrm{C}_{2}{}_{7}\mathrm{C}_{1}+{}_{3}\mathrm{C}_{3}{}_{7}\mathrm{C}_{0}}{{}_{10}\mathrm{C}_{3}} ======================================================================= # \frac{21+1}{120} # \frac{22}{120} \frac{11}{60} $$
となる。
よって、仮説 $H$ が正しくないときの誤採択確率は
$$ \frac{1}{2}\cdot \frac{1}{3}+\frac{1}{2}\cdot \frac{11}{60} =========================================================== # \frac{20+11}{120} \frac{31}{120} $$
である。
解説
この問題は、検定の設定であっても本質は「条件に合う取り出し方を組合せで数える」ことである。
(1) ではAの箱の白球が2個しかないため、「黒球1個以下」は実質的に「白球2個を含む場合」と同じになる。この見落としがあると場合分けが不必要に増える。
(2) では「$H$ が正しくない」はBかCのどちらかという複合事象である。したがって、Bの場合とCの場合の確率を別々に出し、条件付きで平均することが重要である。
答え
$$ \text{(1)}\ \frac{1}{15} $$
$$ \text{(2)}\ \frac{31}{120} $$
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