トップ 東京工業大学 1964年 理系 第1問

東京工業大学 1964年 理系 第1問 解説

数学1/方程式不等式数学2/式と証明テーマ/最大・最小テーマ/存在証明テーマ/場合分け
東京工業大学 1964年 理系 第1問 解説

方針・初手

与えられた分数式 $w = \frac{z-x}{z-y}$ において、各変数 $x, y, z$ の動く範囲が独立に与えられています。(1) は背理法や直接の不等式評価で矛盾を導きます。(2) は $z$ が定数扱いであり、しかも $x$ と $y$ が互いに独立に動くことに着目すれば、分子を最大化し分母を最小化することで直ちに求まります。(3) は (2) の結果を $z$ の関数と見て最大値を求めます。(4) は「すべての $z$ について、ある条件を満たす $x, y$ が存在する」という論理構造(全称記号 $\forall$ と存在記号 $\exists$ の混在)を正確に処理する力が問われます。

解法1

(1)

$w = 3$ となるとき、

$$ \frac{z-x}{z-y} = 3 $$

分母を払って整理すると、

$$ z - x = 3(z - y) $$

$$ 2z = 3y - x $$

ここで、$0 \leqq x \leqq 1, 0 \leqq y \leqq 1$ であるから、右辺 $3y - x$ は $x = 0, y = 1$ のとき最大値 $3$ をとる。よって、

$$ 2z \leqq 3 $$

$$ z \leqq \frac{3}{2} $$

しかし、これは $z$ の条件 $2 \leqq z \leqq 3$ に矛盾する。 したがって、$w = 3$ となることはない。

(2)

$z$ を一定としたとき、$x$ と $y$ はそれぞれ独立に $0 \leqq x \leqq 1, 0 \leqq y \leqq 1$ の範囲を動く。 また、$z \geqq 2$ より、分母 $z - y \geqq z - 1 \geqq 1 > 0$、分子 $z - x \geqq z - 1 \geqq 1 > 0$ である。 したがって、$w = \frac{z-x}{z-y} > 0$ であり、$w$ が最大となるのは、分子 $z-x$ が最大となり、かつ分母 $z-y$ が最小となるときである。

分子 $z-x$ は $x = 0$ のとき最大値 $z$ をとる。 分母 $z-y$ は $y = 1$ のとき最小値 $z-1$ をとる。

これらは互いに独立に選べるため、$w$ の最大値は

$$ \frac{z}{z-1} $$

(3)

(2) より、$z$ を固定したときの $w$ の最大値は $\frac{z}{z-1}$ であるから、$w$ 全体の最大値は、この関数を $2 \leqq z \leqq 3$ の範囲で最大化した値である。

$$ f(z) = \frac{z}{z-1} = \frac{z-1+1}{z-1} = 1 + \frac{1}{z-1} $$

$2 \leqq z \leqq 3$ において、$z$ が増加すると $z-1$ も正の値のまま増加するため、$f(z)$ は単調に減少する。 したがって、$f(z)$ は $z = 2$ のとき最大値をとる。

最大値は $f(2) = 1 + \frac{1}{1} = 2$ である。 (このとき $x=0, y=1, z=2$ であり、各変数の定義域を満たす)

(4)

$z$ を固定したとき、$0 \leqq x \leqq 1, 0 \leqq y \leqq 1$ によって $w$ がとりうる値の範囲(値域)を考える。 (2) と同様に考えると、$w$ が最小となるのは分子が最小、分母が最大のときであり、$x = 1, y = 0$ のとき最小値 $\frac{z-1}{z}$ をとる。 $x, y$ は連続的に変化するため、$w$ は最小値から最大値までのすべての値をとりうる。よって、$z$ を固定したときの $w$ の値域は、

$$ \frac{z-1}{z} \leqq w \leqq \frac{z}{z-1} $$

条件「$z$ のどんな値に対しても $w = k$ を満たす $x, y$ が存在する」とは、任意の $z \in [2, 3]$ において $w$ の値域に $k$ が含まれること、すなわちすべての $2 \leqq z \leqq 3$ に対して

$$ \frac{z-1}{z} \leqq k \leqq \frac{z}{z-1} $$

が成り立つことと同値である。 これは次の2つの条件を同時に満たすことと同じである。

(i) $2 \leqq z \leqq 3$ を満たすすべての $z$ について $\frac{z-1}{z} \leqq k$ (ii) $2 \leqq z \leqq 3$ を満たすすべての $z$ について $k \leqq \frac{z}{z-1}$

(i) について、

$$ \frac{z-1}{z} = 1 - \frac{1}{z} $$

は単調増加であるため、$2 \leqq z \leqq 3$ における最大値は $z=3$ のときの $\frac{2}{3}$ である。よって、

$$ k \geqq \frac{2}{3} $$

(ii) について、

$$ \frac{z}{z-1} = 1 + \frac{1}{z-1} $$

は単調減少であるため、$2 \leqq z \leqq 3$ における最小値は $z=3$ のときの $\frac{3}{2}$ である。よって、

$$ k \leqq \frac{3}{2} $$

以上より、$k$ が満たすべき条件は

$$ \frac{2}{3} \leqq k \leqq \frac{3}{2} $$

これを満たす $k$ の最大値は $\frac{3}{2}$ である。

解法2

(4) の別解:方程式の解の存在条件に着目する方法

$w = k$ すなわち $\frac{z-x}{z-y} = k$ より、

$$ z - x = k(z - y) $$

$$ x - ky = z(1 - k) $$

(1)(2) の考察より $w > 0$ であるため、$k > 0$ としてよい。 $x, y$ は $0 \leqq x \leqq 1, 0 \leqq y \leqq 1$ を自由に動くため、$x - ky$ がとりうる値の範囲は $-k \leqq x - ky \leqq 1$ である。 したがって、「$w = k$ を満たす $x, y$ が存在する」ための必要十分条件は、固定された $z$ と $k$ に対して

$$ -k \leqq z(1 - k) \leqq 1 $$

が成り立つことである。 これが「どんな $z \in [2, 3]$ に対しても」成り立つような $k$ の条件を求める。

左側の不等式 $-k \leqq z(1 - k)$ より、

$$ k(z - 1) \leqq z $$

$z \geqq 2$ より $z - 1 > 0$ であるから、

$$ k \leqq \frac{z}{z-1} $$

これがすべての $2 \leqq z \leqq 3$ で成り立つためには、$k$ は $\frac{z}{z-1}$ の最小値以下であればよい。 $\frac{z}{z-1} = 1 + \frac{1}{z-1}$ は単調減少より最小値は $\frac{3}{2}$ ($z=3$ のとき) なので、$k \leqq \frac{3}{2}$。

右側の不等式 $z(1 - k) \leqq 1$ より、

$$ z - 1 \leqq zk $$

$z > 0$ であるから、

$$ k \geqq \frac{z-1}{z} $$

これがすべての $2 \leqq z \leqq 3$ で成り立つためには、$k$ は $\frac{z-1}{z}$ の最大値以上であればよい。 $\frac{z-1}{z} = 1 - \frac{1}{z}$ は単調増加より最大値は $\frac{2}{3}$ ($z=3$ のとき) なので、$k \geqq \frac{2}{3}$。

両方を満たす範囲は $\frac{2}{3} \leqq k \leqq \frac{3}{2}$ であり、$k$ の最大値は $\frac{3}{2}$ である。

解説

分数関数の最大・最小において、分子と分母の変数が独立に動くことに気づけるかが (2)(3) の鍵です。(4) は「任意の $z$ に対して、ある $x, y$ が存在して~」という入れ子になった論理構造の処理がテーマです。解法1のように「ある変数を固定したときにとりうる値の範囲(値域)の共通部分を考える」アプローチと、解法2のように「方程式の解が存在するための条件式を導く」アプローチは、どちらも頻出の定石ですので、両方とも理解しておくことが望ましいです。

答え

(1) なることはない (2) $\frac{z}{z-1}$ (3) 2 (4) $\frac{3}{2}$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。